登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

山での出会い

私は太陽の光を浴びながら山頂でお昼寝、という時間が最高に好きです。

日焼け?

山では優先順位が圏外、どうでもよくなります。

朝イチで日焼け止め塗ったってどうせ、汗で10分ともたないし。

塗り直すの面倒、手もべたつくしウェットティッシュ減るし。

 

ガンガン浴びてお昼寝してます。

皮むければいいや~って思っています。

実際はマズイみたいですね。

いちばんむけた年の夏~秋、4回むけました。

 

「お昼寝に適した山頂リスト」作成中。

リストはなかなか増えません。

いい場所は少ないからです。

 

番外編で、双六岳から笠ヶ岳へ向かう途中の岩も入れています。

見ればきっと、昼寝したくなりますよ。

場所は非公開にしておきます。

私が寝ていると、前日同じ小屋に泊まった人(追いつかれた)に起こされまして

「ほんとに昼寝してるんだねー、すっごく気持ちよさそう!」

えぇ、趣味ですから。

 

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ここの山頂も広くてくつろげます

 

my基準

  • 広い(山頂はみなさんの記念の場所ですから、写真の背景に入ってしまうようなところに転がりません)
  • 横になれずともOK、くつろげる角度の岩などがあれば
  • 太陽があたる場所であること(木など、遮るものがないこと)
  • 寝ぼけても、落っこちてしまわない場所であること(これ、いちばん大事)

 

リストのひとつ。

北アルプスの三俣蓮華岳です。

山頂が3つの県にまたがっているんですよ。

富山・岐阜・長野。

三角点も3つ、ひしめきあっています。

 

この山頂大好き。

鷲羽岳の眺望もよく、すっぽりとはまってくつろげる場所があるんです。

裸足になります。

太陽がぽかぽかと気持ちいー!!

 

すぐは眠らず、360度の眺望を心ゆくまで楽しんで…

よし、昼寝!

1時間くらいして、ふと目が覚めました。

 

近くにいた若い男性が「どんなルートで歩いていますか?」と話しかけてきます。

…? 他人のルートに興味わく?

わかねー。

私には意味不明ながらも、ざっくり説明すると「もっと詳しく」としつこい。

なんで?

初対面の人とすぐに打ち解ける特技がない私にとって、なんだか苦痛。

 

さらっと流そうとしたけど、しつこい。

答えないと再び昼寝はできないと悟ったので、「1日目はどこに泊まって~~~」から詳細に説明。

「今日はどこで?」

ここが目的地だけど?

あとはすぐそこの小屋に行くだけ。

「もったいない時間の使い方ですねー」

うっさいな、ほっとけ!!

 

なんで私が単独でいるか分かります?

1人でいたいからなんですよ。

1人の時間を思う存分楽しみたいからですよ。

もう話しかけないでほしい。

 

目をつぶりシャットダウン。

頭から追い出し、また心地よい眠りにつきました。

 

少し冷えてきたので、三俣山荘へ。

私は残念ながら飲めませんが、サイフォンで入れるコーヒーを出している小屋です。

並んだサイフォンの向こうには絶景が広がっており、ステキな空間です。

夕食には、増えすぎて駆除している鹿肉が提供されます。

熱々だったので臭みもあまりなく、おいしかったです。

 

読んでみたかった「黒部の山賊」があったので、さっそく読み始めます。

すると、年齢が近いと思われる男性が話しかけてきて、先ほどの失礼なヤツと同じ質問。

1回だけでしたけど。

思い返すと恥ずかしくなるくらい、素っ気ない態度をとりました。

 

読み終わり顔を上げると、あんな態度をとってしまったにもかかわらず、笑顔でお菓子をすっと差し出されました。

「おもしろいですよねー、それ」

 

「さっき同じ質問を山頂でされて、イヤな思いしたから…すみませんでした」

謝り、今日まで歩いてきた道の話をすると

「えー、すごく贅沢な過ごし方。いつもそうなんですか?いいですねぇ!」

と。

 

長く山を歩くときは、通常「予備日」を設けます。

天候が悪化した際にキツキツの日程だと、計画通りに下山するために、必ず先まで進まなくてはならず危険を伴うことがあるためです。

予備日があれば、無理して進まず同じ場所にとどまることもできます。

1日たって天気が良くなり、また計画通り自分の行きたかった山を歩けたら楽しいですもんね。

 

その予備日を最後の方で使えたり、真ん中あたりに半日でもいいので、余裕をもたせた日程を組むことにより、こんな幸せなお昼寝の時間を過ごすことができるのです。

「時間をつぶす」という言葉がキライです。

時間は限りがあり、つぶすような時間はないです。

「ぼーっとする」のも、時間をつぶしてはいません。

ぼーっとしたいから、ぼーっとするのです。

私にとって「山頂でお昼寝」は、本当に幸せな時間の過ごし方です。

 

この方とは、翌日泊まる小屋も同じで、その翌日に下山するルートも同じでしたが、単独同士いっしょには歩きません。

1人でいる時間が好きだからです。

小屋で顔を合わせれば、言葉を交わします。

「最後の夜だから、お菓子とツマミを減らすの手伝ってくださいよー」

とお菓子をもらいましたが、別々に本を読んでいるだけ。

 

こういう距離感、いいなぁと思いました。

山で出会った人についてほとんど記憶に残りませんが、この方とは、またいつか他の山で出会っても楽しく言葉を交わしたいです。