いつものバッグに入れているような財布を山に持って行く方は、あまりいないと思います。
トイレでチップとして入れる小銭、お札の他には往復の乗り物で使用するSuicaなどのカード、人によってはクレジットカードを持つ場合もあるでしょう。
すごく小さなジップロックに入れて、かさばらないように現金だけを持つ方も多いようです。
私は、小さな財布と小さなジップロックの2つ持ちです。
南アルプスを下山しているときに、それは起こりました。
景色がいいところでのんびりする以外は、登りも下りも立ったまま休憩をとることが多いのですが、そのときも一息ついたあと、ついでにチョコでも食べようとザックを下ろしました。
下ろしたザックを自分の体に寄りかからせて、麦茶も飲みました。
登ってきた方に話しかけられ、不用意に体の向きを変えました。
すると…体に寄っかかっていたザックは支えを失い、コロンと転がりました。
「わっ」
決して狭い道で休憩していたわけではありません。
しかし、角度が悪かったのでしょう。
30リットルの小さなザックはコロコロと加速し、フッと視界から消えました。
登山道から落ちてしまったのです。
血の気が引きました。
あの中にある財布がなければ、帰りのバス代がない!
甲府から帰るための切符も入ってる…ひぇ~~~!!
ザックは見えませんでしたが、落ちた辺りから、おそるおそる下りました。
本当は登山道を外れてはいけない。
分かっていますが、あれがないと帰れない。
さらに希望を言えば汗も拭きたい、着替えも入ってる。
あった…本当に幸運でした。
もっと転がっていたら、川に落ちてました。
いい場所に止まってくれていた。
拾い上げ、登山道まで戻ります。
すぐに持っていた小さなジップロックに1万円を入れて、ズボンのポケットに押し込みました。
この1万円があれば、もしこのあと財布を無くしても家まで帰れます。
家まで帰れないのも困りますが、お金を無くしたのが1日目だったらもっとショックです。
楽しみにしていた山歩き、中止になっちゃいます。
泣きます。
それからは財布のほかに、ジップロックに3万円を入れて山に向かうようにしています。
もし、財布を無くしてもそこから1~2日は山を楽しめ(計画を変える必要はあるかもしれませんが)て、自宅まで帰れるだけのお金を入れています。
ジップロックに入れているのは、かさばらないという理由もありますが、汗でお札が濡れてしまうからです。
肌身離さず持てる場所に、この大切なお金を入れておきましょう。