登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

アルプス入門 その1 仙丈ヶ岳

「自分の体力は普通レベルです」と言える人なら、山に登るのが初めてでも歩ける入門の山を、今日と明日で2座ご紹介します。

 

まずは南アルプス仙丈ヶ岳

 

 

ここもお気に入りの山です。

アクセスは、都心から中央本線甲府駅」へ。

バスタ新宿から高速バスも出ています。

仕事帰りに甲府駅へ向かうなら、高速バスか特急あずさですね。

普通電車で大きなザックを持って座席に座ることは難しいかと…周囲の視線が。

時間も2時間ほどかかります。

高速バスなら、普通電車の運賃と同じくらいだったと記憶しています。

道がすいていれば2時間ほど。

いつも八王子料金所あたりが渋滞ですが、気にしません。

新宿でご飯食べて、予約したバスに乗って、そのまま寝ていけばいいんですもん。

「運転手さん、いつも安全運転ありがとうございます」と思いながら。

 

そして甲府駅前のホテルで素泊まり(翌日の朝昼食は、新宿で購入しています。甲府駅前にもファミリーマートはありますが小さい店舗なので)し、海の日あたりからお盆が終わるまでだけ毎日運行する甲府発4時30分くらいの登山口へ行くバスに乗れば、歩くペースによっては山頂でゆっくりできないかもしれませんが、日帰りも可能です。

このバスに2時間乗って、広河原(日本で第2位の標高の北岳への登山口がありますので、ほとんどがここで降りて乗り換えません)で乗り換え、さらに25分ほどかかるんですけどね…。

 

仙丈ヶ岳を日帰りで歩き、翌日に峠をはさんで反対側にそびえる甲斐駒ヶ岳へ日帰りもできます。

そうすると2日間で2座登れますが、ご来光を見るにはちょっとな…と思います。

ある程度歩かないと景色が開けないので、太陽が見えないからです。

真っ暗な道を長い時間歩くのは、もう少し山を歩くのに慣れてからでも。

 

仙丈ヶ岳山頂はのんびりと過ごせますしご来光を見たいので、休み次第ですが山頂から近い仙丈小屋に泊まるようにしています。要予約です。

日帰りと合わせると、何回登っただろう。

それくらい通っています。

 

f:id:yueguang:20190217175737j:plain

私の影の周りに、虹のような輪っかがあるのが見えますか?

この写真のような光景は、ブロッケン現象といいます。

仙丈ヶ岳の山頂から見たカール地形(すり鉢状にえぐれている地形)を、太陽が背にある時間にのぞきこむと見えます。

カール地形でなくても、高さの差がある場所を上から見ることができる場所ならよく見られるのですが、輪っかの大きさはまちまちです。

雲海にうつりこむこともありますが、ちょっとぼんやり気味です。

 

2日間の休みで、「1日目の天候がかなり悪いけれど2日目は晴れる」と分かっているとき、この登山道は風をもろにうける距離が短いので、予定を変更して仙丈ヶ岳に登ることもあります。

登山口までの道が通行止めになってしまうとダメなので、甲府へ向かう前に要確認です。

時刻表や季節ごとの運行状況も、このサイトで確認できます。

広河原 | 山梨交通株式会社

 

天気が悪いと、すぐ着いちゃうんですよね~。

景色がいいと、なんだかんだ理由をつけて立ち止まってしまうので、なかなか前に進めません。

逆に、真っ白でなんにも見えないと、立ち止まって休憩する気もおきずに、どんどん歩くしかないので…お腹がすいても歩きながらもぐもぐ。

すると「え? もう着いたの?」となります。

 

仙丈小屋から山頂までは15分ほど。

トイレに行きたくなったらすぐ戻れる、そんな距離です。

ご来光は翌朝ですが、山小屋に到着したらよっぽど天気が悪くない限り、山頂まで行ってみます。

その時間ならではの景色が見られることもありますし、翌朝の下見も兼ねて。

 

翌朝、まだ暗い中を登り山頂へ。

ご来光の瞬間だけでなく、その前からぜひ!

夜が明けるのを完全防寒の装いで待ちましょう。

じっとしていると本当に冷えます。テルモスについ手がのびます。

でも、温かいものを飲みすぎるとトイレがね…トイレのためにご来光を見逃したくない!

出ているのは目だけ。耳もフードの中へ。

お尻の下には携帯マットを敷いて。

 

ごく小さな音量で好きな音楽をイヤホンで聴きながら、いちばん好きなこの30分ほどの景色を全身で満喫します。

夜明け前の空のグラデーション、徐々にオレンジに染まる雲海と空の境、強烈に四方へ放たれる光、天頂にはまだ月や星が瞬いていて…

山頂で待つ私たちも、鮮やかなオレンジに染まります。

Enyaの「ブック・オブ・デイズ」太陽が雲海から昇ってきた瞬間に聴いていたい音楽です。

力強く昇ってくる太陽に「世界が始まった」といつも思います。