登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

屋久島へ その1

9年間勤めた会社を退職したとき、行きたかったところがありました。

屋久島と四国。

体力があるうちに行けて良かった、と思えます。

歩けなくなってからでは、行きたくても行けない。

 

この会社に定年まで勤めるつもりでした。

家のローンもあるし、この年齢(40歳オーバー)で資格もない私には、いくら10年前(今の会社に入社したとき)より求人が増えてようが、再就職はきつい。

いくつもいくつも不採用になるだろうな。

でも辞めることにしました。

辞めると決めたのだから、くるか分からない老後を憂えるよりも、手に入れた時間で

「定年後じゃなければ行けない」

とずっとあきらめていた場所に行こう。

 

退職した翌日の朝には、大きなザックを背に、東京から大阪へ向かう新幹線に乗っていました。

鹿児島からだけでなく、大阪からも屋久島へ直行便が飛んでいます。

船酔いがきついため、できれば船は避けたい。

費用はかかってしまいますが、この方法にしました。

 

 

屋久島ではガイドさんをお願いして、登山や人生初めてのリバーカヤックなどで1週間を過ごしました。

1人でガイドさんを頼むのですから、けっこうな費用。

バスが出ている時間に出発するならいいのですが、私が希望したコースは避難小屋泊まりで早朝出発のため、タクシーでした。

これがまた高い。

東京だったら絶対乗らないような金額でした。

さらに復路もタクシー利用です。

繰り返しますが、1人で負担するから高いのです。

「全部でこの金額かぁ」…迷いました。

でもお願いして本当に良かった!

 

いつも1人で歩いているのに、なぜガイドさんを頼もうと思ったか。

ただ歩くだけなら、シュラフや食料を担いだって歩けます。

でも、苔など見どころが多いコースであり、これから先何度も訪れることのできる場所ではないかもしれない。

「あー、苔きれいだったなぁ」だけでは終わりたくなかったのです。

 私だけなら素通りしてしまうようなことに、たくさん目を向けさせてもらえました。

 

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濃い緑が美しいです…すごい形!

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たとえばシャクナゲ

奥多摩などでも見られます。

花に興味がない私も、たまたま通りがかった方々が親切に何度も教えてくれるため、なんとなく覚えています。

「ふぅん、シャクナゲ~。それなら知ってますよ」

と思ったのですが、

「裏を触ってみて」

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きもちいい~

!!

なに、この起毛感。

柔らかな手触り。

暖かいイメージがある屋久島ですが、ここは標高2000メートルの宮之浦岳です。

冬は雪も降る。

寒さから守るための、もふもふ。

想像もしていなかった手触りにビックリです。

 

あと、1人だったらこれにも気づけたかどうか。

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たくさんあります

岩に絆創膏が貼ってあるみたい。

なんだっけ、名前は忘れてしまいました。

 

初めての人(ガイドさん)と2人きり。

何かを教えてくれる以外はずっと無言で歩くことになったらどうしよう。

いつも1人で歩いていますから無言には慣れていますが、誰かと歩いているのに無言…。

2人で歩いていると思わなければいいのか?などと前日まで不安でしたが、さすがはガイドさんですね。

歩きだして数時間で「なんとなく知ってる人」になりました。

 

屋久島ガイド旅楽(たびら)

こちらでガイドをお願いしました。

コースの提案もしていただけますが、自分が歩きたいところを伝えればいいのです。

私のように1人の場合、費用を抑えるために日程とコースが同じ人を募り、一緒に歩くことも可能ですが…

でも1人で歩きたいから、1人で申し込んでいるんですよね。

1人だからこそ、気になった場所で立ち止まれる。

時間をとってもらえる。

写真を撮るなら、いろんなアングルを試すことができる。

誰かのペースに合わせなくてもいい。

1人って、いいことだらけじゃないですか!!

 

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食事だって、山の中にいると思えないくらいの食材が、ガイドさんの背中のでっかいでっかいザックから「え?」と思うくらい出てきます。

四角いカッチリとしたクーラーバッグが出てきたときは…度肝を抜かれました(この表現、つかってみたかったのです)。

調理も全部してもらえてその間、近くをぶらぶら。

至れり尽くせり、です。

ひとつの後悔もなく、大満足で1泊2日を終えました。

 

人生初めての登山は「富士山」が多いと思うのですが、女性に限っては「屋久島で縄文杉!」の方が多いのかもしれませんね。

 

続きは、また次回。

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ご・ち・そ・う

じゃがりこに少量のお湯をいれて混ぜてマッシュポテトにしたワザ、今も使わせてもらっています。