さて、ついさっき下りてきた道ですが、また登り返します。
見上げれば夏の空だなぁと嬉しくなります。
目の視力回復手術をして以来、光を強く感じるようになりサングラスが必須になってしまったけれど、眼鏡とコンタクトレンズを持参しなくていいのが嬉しいです。
コンタクトレンズをはめるのに、手をきれいにするのも山では一苦労だったから。
水が貴重ですからウェットティッシュで拭いてレンズを目に入れると、しみて…
毎回、痛い!と思っていたので。
鼻歌が歌える速度を意識して歩きます。
知らず知らずのうちに速く歩いてしまって息が上がってしまうと、落ち着くまで時間がかかる。
誰かと歩いているのなら、おしゃべりできそうなくらいの速さがいいと思います。

夜明け前の淡い光はすでに消えて、太陽が姿を見せました。
この景色、鏡池にどんなふうに映っているんだろうなー。
やっぱり待ってりゃ良かった。
実際、この日の岐阜県の気温が高かった(39℃予想だった)ためかどうかは分かりませんが、このあと9時前ですでに稜線がガスで覆われてしまっていたのです。
急ぐことなかった。
池で2時間ぼけぇ~っとしてるのもアリだったなぁ、と幻想的(=ガスで真っ白けっけなのを、前向きな言葉に置き換えてみました)な稜線を歩きながら思っていました。
まぁ、結果論ですけどね。
この稜線も天空の散歩道なので楽しみにしていたのですが、ライチョウを探してしまうくらいのガスガスっぷりでした。
笹や這松(ハイマツ)で登山道が覆われている箇所が多く、夜露で濡れた葉で腰から下がけっこう濡れます。
天気が良ければ、乾きやすい素材のパンツを履いていればいいですが、早朝に出発する方で下半身を冷やしたくない場合は雨具の下は履いておくのがいいかも。
すぐ終わるかな?と思って突っ込んでいったら、しっかり濡れてしまった。
松脂の香りがする~。
けっこう好きな香りです。
アロマオイルあったら買いたいくらい。
笠ヶ岳への道には、お昼寝ができる岩があるので、そこでのお昼寝を予定していたのですが、何度も通っている道なのに今回初めて気づいた別のお昼寝岩。

ファーストクラスの寝心地でした。
脚を投げ出して体をすっぽり包んでくれるカーブに加え、頭を少し傾けて固定できる出っ張りがあるのです。
太陽の真正面なのでサングラスをかけたまま、昨夜の寝不足を解消しようと1時間ばかり眠りました。
スッキリ目が覚めて、また元気に歩きます。
休憩後の歩き始めは要注意です。
まず、忘れ物がないか、必ず振り返ります。
気づいてもすぐ取りに来れないもん。
長く休んだ足は、意外と力が入らないことがあります。
急に動かすのではなく、いつもよりも慎重に地面を踏みしめます。
このあたりは花も多い。
昨年はコバイケイソウが爺ヶ岳で当たり年でしたが、ここも負けてない。
たくさん咲いていて驚きました。


ここからが長かった…
ガスで展望が楽しめないというのが大きいです。
何度も歩いて知っている道なのに、稜線に出てから下山で歩く笠新道の入り口までがなんだかとても遠い。
さらにそこから山荘まで1時間ちょっと。



そして、最後の登り。
笠ヶ岳山荘が見えた=テント場に着いた、ということなのですが…
ここのテント場は絶景だと思います。
今日はちょっと(本当はだいぶ)ガスっているけれど、目の前に槍ヶ岳から穂高岳の稜線がバーンですから。
でもトイレが遠い!
テント場にトイレはないので山荘のトイレを使うのですが、距離にしてたった200メートルなのに10分かかるような登りですよ。
夜中寝ぼけてたら間に合わないんじゃないか、なんて心配をしてしまいます。
トイレを我慢するのも良くないし、トイレに行きたくないために水分摂取を控えるのはもっと良くない。


こんなふうに、ちょくちょく励ましてくれます。
ありがとう。
でも、登山者の「あとちょっと」や「もうすぐ」は当てになりません。
そこから30分以上かかることはザラです。
信用してはなりません。
私も「歩いて50分くらいかなー」と言うと、
「あのさ… 普通は50分も歩かないからさ… よく分からないよ」と返されてしまうので、
「5kmだよ」と言い直さなければならない。
でも、それも分かりづらいらしいです。

やっとこさ、到着しました。
ここはご来光も(見えるなら)山荘前から見られるので、2食付でお願いしました。
夕食はカレーでハンバーグ付き。
このカレー、とってもおいしくて3杯ぺろっといっちゃいました。
いっぱいおかわりさせてくれて、ありがとうございます。
到着時も夕方も夜も、山頂はガスっていたため、登りませんでした。
この山頂も「すぐそこ」と表現されますが、往復30分ですからね。
続きます。