登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

北アルプス 黒部五郎岳、三俣蓮華岳へ その3

今日は、トイレがない歩行時間7時間弱のコースです。

まず、それなの? と思われるかもしれませんが、トイレがあっても行かないのと、「ない」のとでは全然違います!

気がかりすぎる。

まぁ、夏は汗でほとんど出るから。

大丈夫ってことで。

 

4:30に電気がつきました。

みんなゴソゴソ起き始めます。

なーんだ、これなら支度しやすい。

 

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予定通りに5:00に出発。

小屋からすぐの太郎山に登っていくとスマホが通じました。

ここだけでなく、小屋の周囲は通じなくても、少し稜線に出るだけでいいことも多いのです。

太郎平小屋の場合、折立方面へ5分ほど下っても通じます。

 

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雲が鮮やかに染まっていきます。

木道の階段を上がったあとは、いきなりいい道の始まりです。

気分いい~。

ここの地形が丸いだけなんだけど、「地球は丸い」と思ったりします。

 

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6:15 槍ヶ岳の先っぽも見えました。

「槍の穂先」と呼ばれています。

いい景色だなぁ。

天空の散歩道に、勝手に認定します!

 

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雫をたっぷりまとったチングルマ

チングルマの花は、白い花びらに真ん中が黄色だそうです。

花を見たら素通り(多分気づかない)ですが、花のあとのこの状態が好き!

宝石よりも、ずっとずっときれいです。

今、ふと思いましたが、雫のツブツブが沖縄の海ブドウにも似ているような。

 

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木道が多いから、9月下旬くらいになると朝、凍りそうだなぁ。

昨年、別の木道ですがつるつる滑ってヒヤっとした記憶が…

 

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たまに登りはありますが、いい道をルンルン歩いていたら

6:50 北ノ俣岳 標高2661m に到着

 

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このあとは、背の低い笹でおおわれた箇所もあり、膝下(場所によっては~胸の下)が少しばかり濡れます。

でもすぐ乾きますから。

気になる方は、気温が低く天気が悪ければレインウェアを着たりするかもしれません。

 

7:40 赤木岳 標高2622m

ライチョウが多いってわざわざ書いてあるけど、ハイマツからちょこんとお風呂のように顔を出している1羽しか見つかりませんでした。

まぁ、ちょっと見飽きている感もあるので探さずに先を急ぎます。

 

アップダウンが続きます。

 

8:10 中ノ俣乗越

左には、ずっと歩いてきた道が見えます。

それにしても日差しが強い!

前回の大天井岳で鼻だけが真っ赤に焼けてしまったのですが、さらに赤くなりました。

とっくに日焼け止めは流れています。

「真っ赤なお鼻のトナカイさんか、ドラえもんだなー」

と職場で笑われました。

 

8:45 ここからガツンと標高差300m以上の登りが始まります。

黒部五郎岳の大展望が待っている。

黙々と歩を進めますが、燃料切れ~。

休憩に良さそうな岩があったので座って、アンパンをほおばります。

今回はローソンのアンパンにしたのですが、ずっしりとあんこが入っており、即エネルギーになりそう。

 

風が気持ちよくて、気づいたら30分も休憩してしまっていた。

さて、登りましょう。

くたびれると振り返り、こんなに歩いてきた、こんなに登ってきた自分を自分で褒めながら足を前に出します。

よし、肩まで着いたか。

あとちょっとだ。

 

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10:15 ぐるり大展望! の黒部五郎岳 標高2839mに到着

石仏が2体ありました。

何度か来ているのに初めて気づいた…

 

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薬師岳剱岳水晶岳、鷲羽(わしば)岳、槍ヶ岳笠ヶ岳

雲がちょっとかかってしまっている山もあるけれど、それでも本当にすごい景色です。

ウォークマンを聴きながら、しばし無になります。 

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「すみません」

少し離れた岩に座っていた男性に声をかけられました。

写真かな?

「お撮りしますか?」

「いえ、そうではなくて」

では何でしょうか?

「音楽を聴きながら山を眺めているのがすごくいい感じなので、お撮りしましょうか?」

いやいや…顔はまだらに焼けているし、髪は多分ボサボサだし。

だから1人で登っても、撮ってもらったことないのです。

お礼を言って遠慮すると

「じゃあ、顔は映しません! あ、失礼ですかね。どうしても撮ってあげたいんです」

そうですか…ではお願いします。

顔を撮らないで、みたいなこと言ったくせにポーズを取ろうとしたら、

「さっきのままがいいです!」

思わず吹き出してしまった。

 

あとで見てみたら、大きな景色の中にぽつんと座っている自分がいました。

撮ってもらって良かった。

ありがとうございます。

 

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さてと、景色を存分に目に焼き付けました。

黒部五郎小舎へ下りましょう。

トイレも心配になってきています。

 

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10:45 出発

「五郎」と名前についている山は、岩がゴーロゴーロしています。

カールの地形をどんどん下っていきます。

沢で手ぬぐいをひたして日焼けを冷やしたり。

 

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11:20 小舎まで2時間、と岩に白く書いてあります。

絶対、とは言いませんがそんなにかかりません。

振り返ると、あんなに高いところからもうこんなに下ってきたんだ…と驚きます。

静か。

水の流れる音、鳥の声、自分の足音しか聞こえません。

ずっと左に見えている赤い屋根の小屋は、雲ノ平山荘です。

 

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12:35  黒部五郎小舎に到着

暑い中、水も1.5リットルでよくもちました。

ギリギリでしたが。 

 

そして男性も読んでいるかもしれませんが、この日はツイてないことに生理2日目でした。

私は生理痛がほとんどなく、中学生の頃から水泳の授業なども平気で出ていたくらいですが、初めて貧血のような症状と頭痛が出ました。

調べたら、生理のときに激しい運動をすると頭痛になることもあるようです。

山に行くときにあたらないことがいいに決まっていますが、もしなってしまうようなら、1日の行動時間を短くするなど考えなければいけないと初めて気づかされました。

何歳なんだよ、おそっ!

 

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小屋でゆっくり休みます。

続きます。