昨日の青空、星空はどこへやら…
まぁ、天気予報どおりなのだけれど…雲が優勢。
お願い、着くまでは降らないで!
ポンチョ着たら暑そうな気温だから。
2020年、今シーズン最後の北アルプス。
8月からたくさん北アルプスを歩き、いくつもの山小屋にお世話になりました。
コロナウィルス対策という未経験の大変な状況で、おそらく働く人の数も減っている中、登山道の整備などもしていただいたおかげで安全に歩くことができました。
温かい食事と暖かな寝床を用意していただきました。
さて、蝶ヶ岳へ向かって出発です。
徳澤園の標高は1562m。
徳澤園の玄関を出て左手にある登山口から、長塀(ながかべ)尾根を上ります。
4時間弱登ったところに、標高2564mの長塀山があります。
そこからおよそ1時間、蝶ヶ岳は標高2677m。
7:50 おいしい朝ご飯でいっぱいのお腹で出発!
同じ頃に何組も出発しましたが、みーんな、涸沢か槍ヶ岳なんですね~。
蝶ヶ岳に向かったのは私たちだけのようでした。
下山してきたのも2人だけ。
自分たちのペースで静かに歩けます。
やはり最初は苦しい。
どんなに歩いていても苦しいです。
「30分だけがんばろう」と思っていつも歩き始めます。
上司も「きっついなぁ~~~」
途中でザックを持ってみたら、昨日持ってみたより明らかに重い。
「なにか、入ってるね???」
バレたか…という感じでお酒を出してきます。
昨日、徳澤園で飲んだお酒がおいしくて、蝶ヶ岳に着いたら飲もうと買った1本が入っていました(しかもその他にウィスキーまで!)。
必要なものがどうしても背負えなくなったなら、代わりに持ってあげることはもちろんできます。
「それ、最後まで自分で持てるんだよね???」
念を押すと「お清めにします…」
すでに1時間近く登ってきてしまっているので、徳澤園に預けに戻るのもなぁ…帰りもこの道を通るので木の根元に隠しました(下山時、回収しました)。
上司には、事前に地図も見せ、
「高尾山3つ分くらい登るんだよ」
と言ってありました。
登り始めてからずっと
「脚がつりそう」「きつい…」
と言い続ける上司に
「高尾山で練習してくるって言ってたよね???」
と疑いの眼差しを向けると、
「しませんでした」
自業自得。
やっておけば全然違ったと思いますよ?
私はもともと休憩をとらないので、他の人の休憩したいタイミングが分かりません。
話ができるペースで登り続けて1時間を過ぎた頃から、何度も「休憩する?」と聞いても
「座ると歩くのがおっくうになりそう」
との答え。
「いつでも休憩したければ言って!」
とゆっくり歩き続けました。
これが悪かったのか…
10:50
ひーひー言いながらも、3時間で3km地点まで登りました。
標高は2300mくらい。
思っていたより少し遅いですが、まぁ、大丈夫かなと思っていたら…
「脚が痛い」
つりそうでもあるし、ひざまづいて圧迫しないと痛いほどだそうです。
そんなのなったことない。
どうすればいいんだろう。
本人が何と言おうと、休憩をとらせなければいけなかったんだ、きっと。
とりあえず座り、痛みが落ち着くまで待つことにしました。
「下山しよう」
と言いましたが
「下るのも痛い」と。
下るなら800m、上るなら400m弱。
歩くkmは同じ。
上司のザックを、自分のザックに載せて背負ってみました。
うん、この重さなら背負える。
それまでは上司が先頭を歩いていましたが、私に先に行ってほしい、と。
私が後ろにいると焦っちゃうのかな、と思ったら
「姿が見えなくなった方が置き去りにされてる~、どうしよう~ってがんばれそう」
…そういうものですか?
よく分からないけれど。
もうひとつ心配なことがありました。
私はこの季節だと、汗をかかないのでトイレが心配。
なので4~5時間だと500mlくらいしか水分補給をせず、着いたらたくさんお湯を飲むようにしているのです。
でも、上司には500mlを2本持たせていました。
「喉が渇き切る前に少しずつ飲んで」
と言ってありましたが、この地点ですでに残りが200mlほどになっており、明らかに減りが早かったので、途中から自分が飲むのをセーブしていました。
自分のを300mlうつしてあげながら
「お酒じゃなくて水を持ってくれば良かったね」
とチクリ。
しょんぼりしていました。
この綿毛、雪のようでとても幻想的でした。
途中に3つの池がありました。
地図にある「妖精の池」ではありませんが、木漏れ日でキラキラしていて、1つめの池がいちばんきれいでした。
12:45
何度も立ち止まりながら、どうにか長塀山まで来ました。
あとは1.8km。
標高100mを1時間かけて登るだけですが、ここからがきつかったそうです。
「なだらか、って言ったのに登りじゃん」
と寝言を言う上司に
「ずっとなだらかだったら、一生、山頂に着かないでしょうがっっっ! 100m上がるって言ったでしょうがっっっ!」
迷いようもない一本道。
先で待っていてくれというので、姿は見えないけれどそんなに離れない距離を保ちながら先に進みます。
もうすぐ、もうすぐ絶景が見える。
以前歩いた記憶が一瞬でよみがえりました。
見えた…
あぁ、懐かしい。
この景色だ。
どの季節に来てもいいなぁ。
夏は緑が濃くてこんな感じです。
ここまで来れば蝶ヶ岳の山頂とヒュッテはすぐ。
14:00に上司と無事、到着。
続きます。