登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

山景 その7

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ここも毎年のように見たくなる景色です。

鳳凰三山のひとつ、地蔵岳

標高は2,764mです。

 

南アルプスには日本標高2位の北岳があります。

北岳の登山口である広河原へは、甲府駅から2時間ほどバスでかかりますが、その途中1時間半ほどのところに「夜叉神峠(やしゃじんとうげ)」バス停があります。

 

夜叉神峠から登ると薬師岳観音岳地蔵岳と続きます。

薬師岳の白砂の景色も、なんだか急に別世界に来たようで好きですが、

鳳凰三山のなかで、どれかひとつ!」

となると、やっぱり地蔵岳なんですよね~。

 

合掌したような形の岩はオベリスクと呼ばれています。

稜線を歩いていて、このオベリスクが見えてどんどん近づいてくると、何度も見ているのにいつもドキドキします。

とっても大きな岩です。

このてっぺんに登っている人をたまに見かけますが、もし登る技術があっても、私はここには絶対登らない。

大日如来薬師如来に土足でよじ登る人はいない。

私には、ここは祈りの場にしか見えないんです。

ひとり静かに見ることができるときだけ、ゆっくり眺めて過ごします。

本当に好きな場所。

そして、大切な場所。

 

手前に映っているお地蔵さまについてです。

このあたりは「賽の河原」と呼ばれているので、なんとなくですが、亡くなった人のためのお地蔵さまなのかと思っていました。

違っていました。

子どもを授かるためのお地蔵さまだったのです。

「1体を持ち帰れば子どもが授かり、2体をお返しすれば健やかに育つ」

相当重いでしょう…願う人すべてができることではありません。

 

新しいものもあれば、長い年月を経て崩れているものもあります。

お地蔵さまの数だけ、新しい命が誕生したということ。

この賽の河原は、命がうまれたことを喜ぶ場所にもなるんだ。

 

トイレがあったら、きっと、もっと長居してしまう。

ここからは長い下りが待っています。