登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

青木ヶ原樹海ツアー その1

ブログに書くのが遅くなってしまいましたが…
4月の半ばに、青木ヶ原樹海を歩いてきました。
 
今年のはじめ、なぜか急に
「樹海を歩いてみたい」
ひとりで歩くこともできるかもしれないけれど、不安のほうが勝って楽しめないだろうな、と考えてガイドさんを頼もうと決めました。
検索してみると、樹海ツアーはたくさんあるようです。
観光洞窟ではなく、青木ヶ原樹海の最奥の洞窟に行けるツアーがいくつかありましたが「富士エコツアーサービス」を選びました。
たまに山を一緒に歩いている職場のおじちゃんに声をかけてみると「行きたい!」
平日ということもあり、私たち2人だけでのツアー開催となりました。
料金はお弁当とお茶付きで、ひとり8500円。
 
当日の服装は、
・長袖と長ズボン
・歩きやすい靴(私たちはトレッキングシューズですが、スニーカーで問題ないです)
・冷えるので、はおるもの
のみというお手軽さ。
お弁当とお茶が配られるので、それらとはおるものが入る程度のリュックがあるといいです。
雨具、ヘルメット、ヘッドライト、手袋は用意してくださいます。
 
送迎場所は、
・河口湖周辺のホテル
・道の駅なるさわ
のどれか。
私たちは9時過ぎに河口湖駅へ到着する電車で向かいました。
桜やミツバツツジが満開!
 
トイレは、道の駅なるさわで行くのが最後。
約5時間後、ここへ戻ってくるまで、森の中にトイレはありません。
「どうしても!」のときは、ガイドさんにこそっと頼みましょう。
 
歩く前に、簡単な説明を受けます。
少し先に見える山は、大室山。
千円札の富士山の左下に描かれている山です。

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青木ヶ原樹海は、ちょうど山手線の内側と同じくらいの面積で、1200年前の噴火でできました。
これから3つの洞窟に入ります。
安全に歩ける観光洞窟じゃなく天然の洞窟なので、学術調査か、こういったツアーに申し込まない限り、危険なため立ち入れない洞窟だそうです。
富士山の裾野、高さとしては0.6〜1合目の間を歩くことになります。
1合目というと、標高1000~1200メートルあたり。
出発地の河口湖駅で、すでに900メートルくらいあります。
5合目からしか登ったことがないから、1合目~5合目も歩いてみたいんだよなぁ。
 
樹海に行く最大の目的は「氷筍(ひょうじゅん)」を見ること。
訪れたのは4月半ばでしたが、だんだん小さくなってきているということで、見られるのは4月末になるとかろうじて…
という感じだそうです。
 
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氷筍とは、雪解けの冷たい水が垂れて、1滴ずつ凍って筍のように上へのびていくもの。
つららの逆ですね。
上からのつららと、下からの氷筍がくっつくと氷の柱になるそう。
見てみたい!
このツアーが始まるのは3月です。
その頃はもっと大きな氷筍が見られるのだろうか。
 

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まずは、道の駅なるさわからすぐの「蝙蝠穴(こうもりあな)」へ。
一帯は陥没を繰り返しており、天然の落とし穴がそこかしこにあるとのこと。
鹿が落ちたりすることもあるそうです。
地元で昔、「神隠し」と恐れられていたっていうのも分かるなぁ。
見つからなかったんだろうなぁ。

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奥には蝙蝠がたくさんいるので、入りすぎないように決められています。
年間とおして1℃だということですが、風がないため寒さはかんじません。
夏に入ったらヒンヤリしそうですけどね。
最初はしゃがんで進みますが、すぐ立てるくらいの高さになります。
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ガラス質の溶岩は、ザラザラしていてこすったら切れそうなほど。
音を吸収する素材で、洞窟の中でしゃべっても響かないのが驚きでした。

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今にも崩落しそうな石があちこちに。
 

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白いのは菌類。
 

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ミソサザイの巣がありました。
茶色の小さな鳥です。
 

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また車で少し移動し、そこから遊歩道を3時間くらい歩きます。
車で移動中に、雨が降り始めました。
「え~、雨?」って思いました、はじめは。
でも、これは恵みの雨でした。
雨で森は生きる。
苔も森も、色が濃くなりました。
もやがきれい~。
土の香りもいい。

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ここで、ヘルメットやヘッドライトなどの装備とお弁当・お茶が配られます。
小さいリュックに防寒着とともに入れていきますが、洞窟へ入るときは貴重品とカメラ以外は持ちません。

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歩く際、遊歩道は外れないこと。
噴火してできて1200年もたつけれど、まだ若い森。
遊歩道だけは土が入れてあります。
木々があるあたりの土は10センチくらいの深さしかないので、横に根をはったり、隣の木と根をからめたりして生きているのです。
そうしないと台風でたやすく倒れてしまう。
 
見上げると木々の高さが同じ。
18メートルの高さで揃っているそうです。
それを越えると、富士山からの風にあたって倒れる。
それより低いと、日陰になり育たず倒れる。
風が吹くと揺れて、上から見ると海のよう。
だから樹海なんですね。
 

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これは、ロクショウグサレキンモドキ。
カビの一種で、木を食べて分解しています。
昔はこれで木綿、絹、麻を染めていたそう。
美しい青です。
 

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これ、よく見かけるけど…
サルノコシカケっていうんだ。
漢方薬にもつかわれるんだそうです。

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胞子を飛ばし木にとりついて、中をスポンジのようにふにゃふにゃにしてしまって木を倒します。
その木に苔がつきます。
苔は森の始まり。
「倒れたら木は終わり」ではなく、次の命のもとになるんだ。
 

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山のようにこんもりとした杉苔。
 

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花のような水苔
 

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檜と共生してる檜苔。
ふわっふわだ~。
断トツで手触りナンバー1です。
 
続きます。