白駒荘で申し込んだ「苔ツアー」
参加費は、ひとり3000円です。
時間は約2時間なので、山から下りて泊まって、あとは帰るだけ~、なんてときにもちょうどいい。
まずは、八ヶ岳の成り立ちから。
10万年前に硫黄岳が爆発して、にゅう(ここからの景色も好き)の方に崩れ、
左半分はもともとある森。
絶滅危惧種の「ウカミカマゴケ」が、白駒荘のすぐ前にあります。
阿寒湖では、マリゴケがまりもになる。
屈斜路湖では、ウカミカマゴケがまりもになる。
白駒池では、波がないのでまりもになれないそうです。
最も多い苔は「イワダレゴケ」
5年ものもありました。
1年ずつ少しのびていくそうです。
長くなる苔を見たことがなかった(きっと気づかないだけです)ので、ちょっと驚きました。
八ヶ岳は、ほとんどが岩稜帯です。
鳥が種を運んでくるが、土が少ないので倒れる木も多い。
倒木に落ちた種を苔が守り、そのまま発芽して根を張ります。
根元が空洞の木(盛り上がってる)は、そこに古い倒木があったということ。
常緑針葉樹林のため、葉っぱが落ちないから苔も育ちやすい。
湿気を保ち、陽を完全に遮るわけではないので光合成も促す環境です。
亜高山帯に生える「ミヤマカタバミ」

胞子体にはフタ(白く見えています)があります。
雨が降る前気圧が下がったときに、蒴(さく)の中の内圧が上がり、そのときにフタを開けて勢いよく胞子を飛ばして命をつなぎます。
苔は根っこ(仮根)から水分を吸い上げるわけではないそうです。
知らなかった…植物はみんなそうだと思っていた。
茶色く見えるのは枯れているわけではなく、休眠して生命活動をとめている状態。
水がまた得られそうなら取り入れて、活動を始めます。
環境に適した進化だ。
苔、すごいなぁ。
葉っぱの下に花が咲く高山植物の「タケシマラン」
もう花は終わって種を飛ばす段階でした。
咲いているときに見ても分からないかもしれない…
見えないところになぜ花を咲かせるの?
蘭って華やかで「見て見て!」って感じかと思っていた。
これじゃ、気づかないでしょ?
カタバミは虫にたべられ、ランは鹿にたべられてどんどん減っている(食害)そうです。
苔は毒素はないけれど、虫や動物にたべられてもおいしくないように進化してきたから減ることがありません。
ちなみに、人間がたべると…苦かったり、山椒のように辛かったりとのこと。
「ムツデチョウチンゴケ」
胞子体が多いのは日本固有種。
胞子体があるのがメス、ないのがオスです。
水を含んで花のような「サワゴケ」

「フジノマンネングサ」
大きくて苔に見えず、富士山にもたくさんあるのでこの名前をつけてしまった。
え?
そんな理由?
同じものを高野山ではコウヤノマンネングサと呼んでいるそうです。
木は手前から
・オオシラビソ(柔らかく加工しやすいので建材として輸入)
・コメツガ(窓枠として輸入)
・トウヒ 樹齢1500年くらい
八ヶ岳の森は、1年の半分は凍っているので、その前に含んでいる水を地中に下ろす。
失敗すると木が割れてしまう。
そんな営みが静かにずっと繰り返されてるんだ、この森で。
木はドラム缶2本分以上の水を有しているんですって。
聴診器できくと水が流れる音がするから、持参する人もいるそうです。
「カギカモジゴケ」
女性が昔、頭につけていたつけ毛のように丸くふわふわ。
「チズゴケ」
石にくっついて、窒素やリンなどを吸い上げています。
パッチワークというか、ほんとに地図みたい。

「ゴゼンタチバナ」
葉が4枚のときは花を咲かせず、5枚か6枚になると咲く出世花。
もののけの森に到着。
少し歩くと、巨大な朝鮮五葉松が。
外来種です。
葉が落ちるから、ここは苔が育ちにくい。
確かに、ここの地面には落葉した茶色い葉ばかり。
この森の下には水がわいているので、白駒池はきれいな水が保たれているのです。
雨で伏流水が流れ出るので、常に水が入れ替わります。
耳をすませると、こぽこぽ聞こえました。
もののけの森をすぎると、白駒荘から見たときに低くなってる部分です。
ここを境に森が変わります。
「セリバオウレンソウ」
葉っぱがセリのようだから。
これには「森自体が水を保有しているので守ろう」という法律が書いてあります。
「ホソバミズゴケ」
殺菌作用があり、昔は傷口にあてていたそう。
こういうツアーって、大人の社会科見学ですね。
おもしろかった!