登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

南アルプス 北岳肩の小屋

【北岳山頂まで50分】肩の小屋 公式サイト

15年以上?

もっと前だろうか。

20人くらいしかいないのに

「これから混む(コロナ前は予約をとらないことが当たり前だったので、その日何人くるか分からないのです)から」

と、寝返りができないほどギュウギュウにつめこまれて以来、泊まることを避けていた山小屋です。

混むと言っていたのに結局、うまらなかった。

それならそれで、スペースの割り当てをやり直してくれればいいのに…と不満でした。

両隣がすごくガタイのいい男性で、その方たちの体温で暖かいけれど寝返りは一切できず狭かった〜。

夕食の豚肉はすごくおいしかったんだよなぁ。

私、食べ物でいろんなことを記憶するタイプです。

北岳山荘で連泊してもよかったのですが、肩の小屋からの景色は好きだったし、初めてブロッケン現象を見て感動したのもここでした。

息子さんに代替わりしたし、コロナ禍も経ていいふうに変わっているかも、と泊まることにしたのです。

ずいぶんきれいになった、と思っていたら2022年に改装されたばかりですって。

パーテーションで仕切りもあるし、そうなるとある程度のスペースは確保されます。

周りは女性だけですので、着替えられてラク

私は2段のかいこ部屋の上でしたが、下も全員女性でした。

男女で来れば、同じく男女で来られている方々と同じ区画になると思われます。

 

荷物を置いて、汗拭いて着替えてさっぱりしました。

あー!

牛乳がある!

飲む飲む!

うまい!

 

ほかのグッズは、何があるかね…

北岳に来ただけ」ボールペンは買いました。

同じ日に甲斐駒に登っている職場の先輩にもお土産にする。

ラインしたら「いらない」と言われ「もう買いました」と強引にあげたのですが、気に入ってもらえたようで毎日使ってくれています。

手ぬぐいは好みじゃなかったので、珍しく買いませんでした。

Tシャツはけっこう売れてましたね~。

自分用とお土産用、と言って2枚以上買ってく人が多かった。

でも私、最近気づいたんです。

山に登るときに、違う山のTシャツは着づらいなぁ、と。

かと言って、普段着るわけでもないし…

で、Tシャツは買うのをやめています。

 

ランチ、こんなにおいしそうなら山頂でパン食べなきゃよかったよ…

 

・水は1リットル200円(夜間は不可)

・トイレは外ですが、通路に屋根がついており濡れずに行ける。男女共用

スマホの充電200円 〜19:00まで(重いモバイルバッテリーを持ち歩かずとも、充電させてくれる小屋は多いです)

 

山にいると、ほかの方との体感温度の差をより感じます。

昔に比べると山は絶対暑くなっていて、それは間違いない。

でも今、私は長袖のシャツ1枚で袖をまくっていても暑いのに、隣に座っている女性は上下ダウンを着ていて。

接客が難しい…

「ご自身で山の天気予報で気温を確認して、普段の生活でその気温のときに着ているものを思い浮かべてみてください。風があればさらに寒く感じます」

と、まず言うことにしよう。

寒い思いをさせてしまっては大変だから。

 

夕食は今日も3回転です。

食卓にずらっと並ぶコンロの上で鍋がぐつぐつ。

熱々で、汗がとまらない~。

テーブルが背中もくっつくほどギュウギュウなので居心地悪く、同じテーブルの人たちの会話も面倒、早く食べ終わりたい。

黙食がなつかしいです…

でも、おかわりはする。

肉は、食卓にあるスパイスを振りかけるとさらにおいしくなりました。

ただ、昔の方が肉は断然おいしかった。

厚くて食べ応えもありました。

後ろのテーブルの方もそう言っていたので、記憶に間違いはないと思います。

 

おかわりするときは、この言い方で!

さすがに「北岳盛り」にはできませんでした…

最初からこう盛られていれば食べられたけど。

 

お弁当もおかずがいっぱいですね。

私は山小屋で働いていたときに魚の甘露煮が出ることが多く、苦手になったのでお弁当でなく朝ごはんにします。

早朝に出発し、間ノ岳方面まで行かれる方はお弁当ですね。を

 

外へ出ると、さきほどよりガスはとれて少し景色が見えるようになりました。

え、タンポポ

もう8月ですけど…

 

驚いたことがありました。

食事後に歯磨きをしますが、流しが外にあるので景色を見ながらになるのは普通。

でも、最後に流しでなく、地面にむかって「ぺっ」

排水用の流しがあり、そこでうがいなどをすると決まっているのに…

歯磨き粉を使用したあげく、高山植物に吐きかける?

高山植物が枯れたらどうすんの。

今またコロナが再流行しているのに、みんながいるところで、ぺっ?

文化の違いなのでしょうか、韓国からの団体さんでした。

韓国から来る方、全員が全員、そういうわけではないとは思いますが。

翌朝も、ゴミを全部置いて出発していました。

ガイドさん、最後に忘れ物がないか見てまわらないのかなぁ。

 

寝床には、毛布や布団だけでなくシュラフもあります。

暑い!

いらん!

インナーシーツだけで充分、館内は暖か(18℃)でした。

ここの宿泊の予約をする際、

「インナーシーツか寝袋を持参してください」

と言われました。

HPにもそのように記載があります。

ほとんどの山小屋では、寝具を毎日洗ったり干したりすることができません。

水を得ることがどれだけ大変か。

なので、寝具と体が接しないようにインナーシーツなどに入ってから布団に体を横たえてくださいね、というお願いです。

でも使っている人、半分もいない。

山小屋を利用するなら、その山小屋のルールは守らねば、と思うのです。

守らないならテント泊にしたらどうでしょう?

 

18:30頃から、再び外に出ます。

まだ白いなぁ…

 

18:55が日の入りだったのですが、5分前!

いきなり、雲に浮かぶ甲斐駒が見えました。

準備が整って幕をさぁっと開けたかのように、唐突に。

 

お隣の仙丈ケ岳、後ろに八ヶ岳

さらに北アルプス槍ヶ岳から穂高の稜線、笠ヶ岳鹿島槍も見える。

中央アルプスまで。

 

なんだよぅ~。

すごくすごく嬉しい。

 

陽が沈み、マジックアワーの始まりです。

19:50まで刻々と変わる空の色をずっと眺めていました。

さすがに上着ナシじゃ寒くなってきた。

お布団へ帰ろう。

 

今夜も、20:00に消灯です。

山に泊まる経験が浅かった頃、

「起きたい時間に起きられなかったらどうしよう」

と不安でした。

心配いりません!

みんなうるさいので!

3:00前からガサゴソ、ペチャクチャ。

耳栓していても聞こえる音量です。

一睡もできなかったとは言わないけれど、呼応するかのようないびきの大合唱で、寝たのは確実に1:00過ぎなんですよ…

グガー、ゴゴゴゴゴ、フガッ!!

いびきかく人って、たいてい1番に寝ますよね。

なんでだろ。

遅れをとったわ〜、と悔しくなります。

私の周囲の女性たちも眠れてないのが分かりました。

みんな、ため息をついて寝返りばかりうっていた。

そして、4:15頃起きればいいや…と思っていたのに、起こされるのも早すぎる。

でも、もう眠れはしないでしょう。

外に出ます。

おぉ~、きれいな雲海。

星もいっぱい。

こりゃ、期待しちゃう。

 

北岳の山頂で日の出を迎える人たちが続々と上がっていきます。

 

4:51の日の出を、今から1時間半以上待ちます。

風があるから、けっこう寒い。

でも布団に戻っても、イライラするだけか。

上着とカメラを取りに戻り、4:00前から染まり始めた空に見とれていました。

ほんのり桜色に染まってゆく空。

山の上で朝を迎えられる幸せを、じんわりかみしめる。

ここに今いるから、この景色が見られる。

すごく幸せな時間です。

 

そして、太陽が今日もお出ましになりました。

 

5:00から先着順に朝ごはんです。

食べるから元気に歩ける。

ごちそうさまでした。

 

朝の気温は8℃でした。

下界は熱帯夜だったでしょうねぇ…

 

続きます。