登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

「バリ山行」を読みました

山の小説は、樋口明雄さんの南アルプス北岳を舞台とした山岳救助隊の物語であるK‐9シリーズが好きです。

 

この小説は、私の周りの誰かの話かと思うくらい、設定がフツウでした。

思いどおりにならない仕事や環境、その中に身をおいているのは同じなのに、一緒にバリエーションルートを歩いた人の思考は自分とは全く違うと感じ、でもそのルートをひとりでたどることで、その人を想像する…

 

主人公がおかれている状況は、この世界で多数の人がおかれているのと似ています。

だから、その中に自分がいる気になってしまった。

今、そんな環境で働いていないのに、働くってやっぱり他者から影響を受けるわけで。

主人公に感情移入というか、私がそこにいてメガさんとバリエーションルートを歩いたかのように思えてしまいました。

 

主人公のこれからがどうなるかわからないし、主人公が心配していたことの原因は何も解決できていません。

でも、でも、バリエーションルートを歩く前と歩いたあと、確実に気持ちは変化していて。

 

難しい漢字が多く、調べながら読むのもおもしろかった〜。