登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

雨降る山へ

そりゃあ、登山の前日(登山道が乾いていてほしい)から、下山して交通機関に到着するまで晴れてたら嬉しい。

でも、例えば1週間の縦走を計画していて、一度もレインウェアを着ないなんてあるだろうか。

1日でも雨マークがついていたらやめよう、なんてもったいないですよね。

お客さまが先日、

「今まで雨の日は登るのをやめていたけれど、それじゃ行けなくなってしまうことが多いから、今年からは雨が降っても行くことにしたんです」

山へ行く機会が増えますね!

雨でも楽しめる山はたくさんあるはずです。

そのためには、雨の山を楽しむための準備をします。

 

まずは、

・信頼できる品質で、洗濯など使用後のメンテナンスをきちんとしているレインウェア

・中まで濡れない素材の登山靴

を用意します。

 

そして、雨の日に歩く練習をします。

やったことがないことを、いきなり長時間やるって緊張するし、怖いと思いませんか?

雨の休日を心待ちにして、レインウェアをザックに入れて準備万端で山へ向かいます。

ザックの上など、出しやすいところにレインウェアの上下とザックカバーをまとめて入れておきます。

 

私は雨が降り始めたら、まず、ザックカバーをザックにかけます。

ザックカバーをかけるのって一瞬で済むので、それからレインウェアの上を着て、最後に下を。

下がいちばん時間かかりますからね。

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ザックカバーをかけても背中部分から水が入ってきたりして、濡れるのを完全に防げないこともあります。

着替えや防寒具など濡れたら困るものは、防水のスタッフバッグに入れています。

 

練習ですから、行ったことのある山がいいですね。

・レインウェアをスムーズに着れたか

・いつもと比べて、どのくらい疲れ方が違うか

・レインウェアのフードをかぶると視界が遮られることもありますが、歩きにくくなかったか、ルートミスをしそうにならなかったか

・いつもと比べて、かかる時間は増えたか

 

などなど、登ったことのある山だからこそ、気づけることがあると思うのです。

慣れたら、稜線に出る山でも歩いてみます。

風や雨の当たり方が全然違いますし、強さによっては恐怖を感じるくらいのこともあります。

それを知るっていうのも大事なことだと思います。

 

 

あえて「雨の日に行きたい山リスト」を作っておくのもいいかもしれません。

起きたときに迷わないですみそう。

今まで登った山で眺望がなかった山はもちろん、地図を見て山頂に「眺望なし」って書いてある山も狙い目です。

眺望がいい山だと、見えないとガッカリしちゃうかもしれないけれど、もともと見えないならガッカリもしない。

そして、山頂近くまで森だったら最高。

風雨をやわらげてくれますし、しっとりした緑は本当にきれいです。

苔がある道もいいですね~。

私は一時、北八ヶ岳の森を雨の日に歩くのが大好きでした。

台風ほどひどくならなさそう(交通機関がダメになると帰ってこられなくなるので)なら、積極的に行っていたくらいです。

晴天続きでパサパサ、色あせてしまった苔よりも、雨でしっとり濃い緑になり雫を含んでぷっくりとしている苔はほんとにきれいです。

 

あと、山を選ぶときに気にすることは

・岩場歩きが少ない

・歩行時間が長くない

くらいでしょうか。

下山したところに温泉施設があると、さらに嬉しいです~。

 

雨と風もチェック。

しとしとがベスト。

雨がザァザァ、風がゴゥゴゥ、そういうことも多々ありましたが、あまりにひどいなら、やめる。

何度か雨の日を歩いてからにする、とか。

 

雨の中、歩くときの注意は「滑らない、転ばない」はもちろんですが、心がけたいことが他にもあります。

足元が悪かったり寒いときは、休憩がおろそかになります。

緊張しっぱなしということも危ないけれど、水分・塩分・カロリー補給を忘れてしまったり、後まわしにしたりも危ない。

あとは体温調節です。

レインウェアを着る前に、気温によっては1枚脱いでおくことも考えておきたいです。

着こんでザックを背負ってからだと脱ぐのが億劫になって汗を大量にかいて、雨でなくて汗で濡れてしまう。

 

 

コロナ後、山小屋は予約必須になりました。

雨だとキャンセルも出るので、日程をちょっとだけ変えられるなら予約を取り直すというのもいいと思います。

8時間歩く予定だったのを、ひとつ手前の小屋までにする、というふうに。

でも、雨のときって意外と早く歩けちゃうんだよなぁ。

晴れていて景色がいいと立ち止まってしまい、なかなか進めないんだけど、雨だと黙々と歩くからか?

ただ、下りはやっぱり時間がかかると思います。

 

何度かこのように変更したことがあるのですが、本来の計画では

1日目、夜行バスで早朝に上高地に着いて「上高地から槍ヶ岳山荘まで一気に登る」と計画していたとします。

雨が横殴りに降っているのに槍ヶ岳山荘までというのは、なかなか気が滅入る行程。

もし、予備日があるならば、1日目を「上高地から槍沢ロッヂまで」にします。

いつもは速足で通過するだけだった、上高地から横尾までの約3時間の道。

明神で穂高神社の奥宮へおまいりしたり、徳澤園で食事やソフトクリームを楽しむ余裕もある。

美しい森をゆっくり歩く、贅沢な時間ももてます。

雨の森は最高!

槍沢ロッヂまでは森歩きなので、ポンチョや折りたたみ傘でも行けてしまう。

傘をさす(横尾から先は道幅が狭いので、レインウェアで)場合、すれ違う際はお気をつけください。

 

槍沢ロッヂ | 山小屋のご案内 | 槍ヶ岳山荘グループ

お風呂もあります。

なんて贅沢なんでしょう。

早めの到着、時間はたっぷりあるのですから。

夜行バスで移動してきた疲れもとれます。

2日目は朝食をお弁当にしてもらって早い時間に出れば、暑くなる前にキツイところを登れますし、槍ヶ岳の山頂へ行くのも混むタイミングをずらせるかもしれません。

 

 

雨だから行かない、ではなく、雨だからこそ行きたくなる山が見つかるといいですね。

でもやっぱり晴れている山が好きー。