登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

本沢温泉 ~ 硫黄岳 ~ 赤岳 ~ 権現岳へ その3

こう真っ白だと、昨日

「明日は快晴だし、下山するときに赤岳を通るんだから、今日はのんびりしちゃお~」

と、談話室でぬくぬくしていた自分が残念すぎます。

予定より早く着いたんだから、空身で登ってもよかったよね、って。

何度も赤岳には登っている。

でも、でも。

そのときに登った人だけが見られる景色なのだから。

同じところから見ても、いつも同じ景色ではないのだから。

 

6:45 出発

晩秋から初冬へ、たった1日で一気に季節が進んだ感があります。

小屋の前で感じた強風は、登り始めたら少し弱まってきました。

 

このあと、エビのしっぽはもっと発達するんだろうなぁ。

エビのしっぽとは、くっついた氷のことです。

 

きれい〜。

 

7:20 赤岳北峰(赤岳頂上山荘)

 

標高を170mほど上げただけで、霧氷の着き方がこんなに違うのか。

 

わー。

雲が少しとれてきた。

 

赤岳山頂 △2899.4

 

おまいり。

 

7:35 

出発しようとしたら、外人さんが登ってきて。

カタコトの英語と日本語で、今の状況(晴れるんじゃなかったのかーい、って)を嘆き合いました。

硫黄岳へ行こうと思ったけれど、この風だし寒いし、やめて行者小屋へ戻ろうと思っていること、昨日こちらへ来るときに電車の中から見た富士山がとてもきれいで山頂から見てみたかったこと、などの会話が成立。

時間はあるみたいだから天望荘で少し待って、見れたらいいなと思う。

 

7:45 

白い世界は一旦、終わりました。

風向きなんだなー。

 

ハシゴも氷がついています。

手で握った部分の氷がとれて風にあおられ、顔に当たる。

 

白くなって、なんて書いてあるか分からない方へ進みます。

 

ちょっと大きくなっている、エビのしっぽ。

 

また白くなってきました。

 

ぐんぐん下ります。

 

ダイナミックな景色。

 

鎖とハシゴは、まだまだ続きます。

 

ほんと、ガレ場の下りが苦手だわー。

うっすら白くて、滑ったりもする。

 

鼻水がとまんない。

いちいちかんでられないから、口呼吸になって喉が渇く。

 

8:05 キレット小屋方面へ

 

風が弱まってよかった。

突然の横風は怖いもん。

 

下りが得意になる方法はないものか。

 

ちょっと、ホッとできる道になりました。

こういうところで速足になり、遅れた分を取り戻します。

 

9:20 キレット小屋(今年は休業)

 

ここから権現岳へ、標高差300m近く登ります。

でもガレ場じゃなくなったので歩きやすーい。

 

9:45~9:55

120mほど登って、ひらけたとこ。

景色がいいいので休憩します。

 

あそこから下ってきたんだー。

少し天気が回復してきたような…

でも、これは気のせいだったことが約1時間後に判明します。

 

10:00 ツルネ △2550

 

分かっちゃいたけど、そびえたってるなー。

高いと感じる今日は、気力がイマイチということでしょうか。

しかも権現岳の山頂はもっと奥です。

 

細い道のすれ違い。

数人が下ってきそうだったので、羊羹タイム。

行動職としては、ひとくち羊羹がいちばんだと思っています。

 

権現岳が見えてきた。

 

また、ガレ場になりました。

 

あ、あれか…

権現岳の直下に、長いハシゴがあるのです。

今まで上り下りした中でいちばん長いハシゴだ。

 

誰かとすれ違うたびに

「今日、いい天気のはずだったんですけどね~」

「おかしいですね~」

こんなやりとりが繰り返されます。

みんな、思いは同じ。

今日から山に入り、赤岳を経て北上していく人も多いようです。

 

振り返ると、厚い雲が赤岳の山頂を隠していました。

さっきまでは見えていたのに。

みんながいい景色を見られたらいい。

 

さぁ、ハシゴまでやってきました。

ながー。

20mくらいある?

よかった、垂直じゃなくて斜めで。

誰もいなかったので、途中で休憩しました。

長すぎて疲れちゃった。

暑いから手袋外していたけれど、素手で握ると少し冷たかったです。

50段まで数えてたけど、途中でわかんなくなっちゃって。

 

11:10 権現岳 △2715

ずいぶん時間がかかってしまいました。

遅いことを予想して今日の計画をたてたけれど…

まさか、本当にこんな時間になってしまうとは。

 

 

続きます。

 

帰って調べました。

権現岳のハシゴ、やはり20mくらいあるようです。

「源治梯子」「ゲンジー梯子」という名前もついてるみたい。

20mは6階建て、7階建ての高さに相当するんですって。

そう思うと高いですね~。