公開初日の昨日、ツレと行ってきました。
静かに何度も泣きました。
「You Raise Me Up(ユー・レイズ・ミー・アップ)」は、2006年に荒川静香さんが金メダルをとった時のエキシビジョンの曲ですが、このときから大好きで、山でもよく聴いています。
日本語の歌詞があったとは。
これが劇中で歌われたときも泣きました。
観ている間、いろんな方向から思いがあふれて、どうしていいかわからなくなっていましたが、帰ってからもいろんな場面が出てきて考えてしまう。
登れなかった人が「私だって登りたかった」と思うのは当たり前だ。
「誰かを支えるために頑張ってきたわけじゃない」と。
エベレストに登るための体づくり、資金づくり…
じゃあ、どうすればよかったのか。
編成した隊の中から選ばれた人が山頂へのアタックを託され、みんなの思いを背負って登っていた時代。
女性初エベレスト登頂の田部井さん「山登りでいちばん疲れたのは、人の問題」 | AERA DIGITAL(アエラデジタル)
だから、このときの隊の決断は特別なことではないのでしょう。
間違いなく人生を変えたその時間を過ごした大切な仲間は、主人公以外は誰も、頂からの景色を見ることが叶わなかった。
準備期間のみんなの笑顔、ベースキャンプで無事を願う姿…
帰国後、それらは失ったままになってしまいます。
ツレは、いくつかのガンと心筋梗塞になったことがあり、軽いハイキングは一緒に行っていますが、本格的な登山はもう難しいのです。
佐藤浩市さん演じる旦那さんのセリフが、ツレがいつものように言っていることだったので驚き、上映中にお互いの顔を見てしまいました。
毎回「いってらっしゃい」と見送ってくれて「おかえりなさい」と出迎えてくれる。
「好きなことをしてくれるのがすごく嬉しい」と、山の話も海の話もいつも聞いてくれる。
誰かが待っていてくれる登山って、いいものです。
定年退職したツレが、私が下山してくるのに合わせて登山口へ迎えに来てくれることも増えましたし、かなり前のことですが、新穂高ロープウェイに乗って西穂高岳へ登る私を、父が下から見送ってくれた(登山に行くと言ったら、岐阜に行ってみたいとついてきた)ことがありました。
笑顔で、ずっと両手を大きく振っていて。
小さくなっていくその姿を見ていたら、なんだか胸がいっぱいになってしまって…
歩き始めても、その姿のことしか考えられなくなってしまって…
西穂高岳へ行かずに下山してきた私を、父は不思議そうな顔をしながら車で迎えに来てくれ、温泉で1泊しました。
今でも父が手を振る姿、覚えています。
ツレが笑顔で登山口に立っている姿も。
人には、いくつもの役割があります。
役割というか、置かれている立場、か。
父や母でもあり、子どもでもあり、職場でのポジション、そして誰かの大切な人でもある。
それらも大切ですが、その立場だからできないとあきらめるのではなく、やってみたいことを「やってみたいんだ」って言えるのはすごく大切だと思うのです。
山は行かなくてはならない場所ではなく、好きだから行く場所。
「生きている」などと大げさなことは思ったことがないけれど、山を歩いていると、いつも「自由だ」と思う。
景色を見ながら歩いているだけで気持ちがいい。
笑顔になっている。
山にまた来られたことを喜び、心の底から幸福感がわいてくるんです。
何書いてるか、わかんなくなっちゃったー。
観てよかった。
大切なことを考えることができました。