秋や冬は、登山を始めるのにとってもいい季節だと思うのです。
重ね着の難しさはありますが、補給するそばから汗になって出ていくような暑い時季の登山と違い、快適に歩けることが多いからです。
それに葉が落ちて、標高が低い山でも見晴らしがいいですしね。
登山を始めたばかりのお客さまによく聞かれるのは、
「どの山に登ればいいかわからない」
こんなに情報があふれていると却って選びにくいのか。
それとも、ネットの情報は鵜呑みにできないと慎重になる方が増えてきているのか。
慎重になるのは大賛成です。
以前、奥秩父の山小屋の小屋番さんから聞いたのですが、
「トレランの人のブログを読んで、そのコースタイムを参考に昼から登ってきてしまった人がいた」と。
トレランの人(そのブログの人は朝から入山していた)なら日帰りで行けるような山であっても、スタートの時間にもよるでしょうが、歩いて登るのであれば1泊2日の行程でした。
トレランの人の装備そのままで、晩秋なのに夜を過ごせるような防寒具も持っておらずに、下半身は短パンのみ。
山小屋にあった服を貸してあげたそうです。
同じような歩き方をしている方の情報なら大いに参考になるかもしれませんが、それすらも判断できないで鵜呑みにしてしまった結果。
しかもその山小屋、営業前だったんですよ。
来週から小屋をあけるための準備で入っていた日に、その登山者が来たそうです。
幸運でしたね、その方は。
山小屋が開いていなければ、どうやって夜を過ごしたのでしょう。
お客さまに聞かれたときに、初心者でも歩きやすい山をいくつか挙げるようにしていますが、オススメなのが「ご自分の行きやすいエリアで初心者用のガイド本」を1冊購入して、載っている山を全部歩いてみること。
冬は標高が低い山から始めるといいですね。
気に入った山に季節を変えて登ったり。
慣れてきて「山と高原の地図」で好きなエリアの地図を選び、交通や登山道の状況、山小屋の情報を調べて歩くようになれば、もっと楽しいと思います。
自分で計画をたてることがいちばん大切だと思います。
トイレあるかな。
それだって大切な下調べです。

左の「フラット登山」は、山頂まで息を切らして行くことよりも、歩くことの楽しさを! という本。
ほんと、まずはそれですよ。
楽しむために歩くのですから。
雪山を歩ける人、重い荷物を背負える人、速く歩ける人、難しいルートや地図に載ってないルートを歩ける人だけがエライんじゃない。
そうなれてもいいでしょうが、それがいいと思う人ばかりではないですもん。
山の楽しみ方は人それぞれ。
無事に帰ってこれたら、それがエライ。
私はひとりで歩くことが多いので、何が何でも山頂を目指す派ではありません。
気分がのらなければ、くるりと下山して温泉につかって、その土地のものをたらふく食べて帰るだけのこともあります。
自分の好きな景色のところがあったなら、山頂の手前だろうと、そこでランチにすればいいんです。
そこで満足したなら、下山したっていい。
山頂へは、また行きたいときに行けばいい。
そこで見た景色に、次に登ってみたい山が見つかればそれを目指すのもいいですね。
登った山から見た山って、登りたくなるんですよねぇ。
楽しく、心地いい時間を過ごし、無事に家まで帰ること。
それだけでいいんです。