登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

山小屋で働く その6 お風呂には入れるの?

最後にお風呂事情。

 

実際に現地へ行くまでは「1週間に1度」を覚悟していました。

それまで雨が少なかったからです。

 

初めてのお風呂は、山小屋に着いてから4日目でした。

初日にめいっぱい汗をかいていますから、嬉しかったなぁ。

 

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入浴後、心地よい風が吹いています

「入浴の心得」なるものが扉に貼ってあります。

まず体を洗い、湯船につかる。

公共の浴場なら当たり前の内容でした。

1人ずつしか入れませんから、持ち時間は20分以内。

けっこう急がないと。

 

体操座りで1人が入れる大きさの浴槽がありました。

その浴槽から湯をすくい、髪と体を洗います。

配慮してくださっていて女性が先でしたが、10番目近くになると…なんだか湯の色が…浮遊物が…。

休みをいただいて最後に入ったときには、ハッキリ言って無色透明ではありませんでしたし、網ですくってもすくいきれない何かが浮いていました。

洗髪などで使って、浴槽から減った分は湯を沸かして足します。

 

浴槽から湯でをすくい髪を洗うのですが、どうやれば顔にかからないか。

シャワーなら背を向けてあごを上げれば髪だけを洗い流せますが、桶の湯ですから…なかなか難しい。

試行錯誤している間に勤務が終了。

ですので「山小屋で働く その2」で持ち物の紹介をした際に「クレンジングシートを多めに」としたのです。

キレイになるために入浴していますが、これが顔にかかったままだとどうなのかな…のときがあるので。

 

洗い流すときは、もちろん目はギュッとつぶり呼吸はとめました。

そして、いつも洗髪後にクレンジングシートで顔をこすっていました。

 

下山後、山小屋で働いた話でみんながいちばん興味津々だったのは、やっぱりお風呂でした。

まず、毎日入れないことに驚き、全員が同じ湯に入ることに驚き…

反応は、女性は全員「ムリーーー!!」でした。

 

シャンプーは置いてあるものを使用していましたが、私の短髪でも泡立ちが悪い。

でもシャンプーが悪いのではないです。

日常のシャンプーも毎日洗っていれば泡立ちますが、風邪などで2日くらい洗えないと泡立ち悪いですよね。

2回洗いたくなります。

でも上でも書いたように、洗い流すのが大変なので2回洗いたくないんです、時間も限られているし。

だから指の腹でよ~く頭皮をもみ、1回で終了。

入院時に使うような、もみこむだけで洗い流さないシャンプーを持参すれば良かった。

髪が長い人は大変だったことでしょう。

実際、長い人は大きなフケが残ってしまっている人もいました。

仕事中は手ぬぐいを巻いていますので分かりませんが。

 

心配していた入浴回数でしたが、4~6日に1度の割合で入れていました。

その残り湯で洗濯(古いですが洗濯機アリ!)をしている人もいましたが、果たしてきれいになるのだろうか。

私は肌着だけ、入浴時に手洗いで済ませていました。

 

「湯がキレイじゃない」とか文句みたいなことを書いてしまいましたが、それでもお風呂は楽しみでした。

沸かす水をポンプであげてくれていた男性陣にも感謝です。

手足の先まで温められるありがたさ、全身を湯に沈めたときのホッとする気持ち…お風呂は文化ですね。

お風呂のある国に生まれて良かったなぁ。

 

山で入れる温泉、意外とたくさんあるんですよ。

そういう山小屋で働けば、毎日入浴できたんですよね、きっと。

 

北アルプスでは

 

八ヶ岳では

  • 本沢温泉

 

八ヶ岳には、赤岳鉱泉や赤岳展望荘、オーレン小屋など温泉ではないものの、気持ちの良いお風呂を備えている山小屋も多くあります。

ですが入浴できる期間が限られている山小屋もありますので、詳しくは各山小屋のHPでご確認いただければと思います。

 

山の中の温泉は、自分の足で歩いてたどり着けるホンモノの秘湯です。