「全部揃えなければ山へ登れませんか?」
たまにいただく質問です。
いいえ。
山と季節を選べば、そんなことありません。
装備を最初から全て揃えるにはお金がかかります。
そんなこと(金銭面)を理由に
「山へ行ってみようかな」
という気持ちを引っ込めてほしくない。
「これがあればもっと快適に歩けます」
というものは、いくらでもご提案できる。
でも、命が危険にさらされない程度で困ってみてもいいと思うのです。
これがあった方がいい。
そう実感したら、買い足していけばいいのではないでしょうか。
上から下まで、山の格好じゃなきゃいけないわけじゃない。
普段の生活の延長で行ける山だってたくさんあります。
揃えている人は、それで歩けば快適だからそうしてるだけで、あるもので代用できますもん。
「ユニクロのTシャツとジョガーパンツなら持ってるんですけど」
ジョガーパンツだけだと今はちょっと寒いでしょうから、下にタイツはいて。
綿よりはポリエステルのTシャツがいいですよ。
ヒートテックは着ないでほしいです。
これくらいしか言わない。
「山の服を買えって言わないんですか?」と笑われることもあります。
でも、とりあえずやってみればいい。
それで山の服を買ってみたいと思えば買えばいい。
夏と冬、学校の制服と同じです。
1組ずつあれば、過酷な環境の山でなければ1年中歩くことができますから。
体育の授業のとき、そんなにもこもこしてなかったでしょう?
体操している間は寒くても、バスケをしたりサッカーをしたり走ったり。
そうこうしている間に体も温まってきましたよね。
大人になっていくら汗をかかなくなったといっても、絶対にかいてますよ~。
重ね着するなら薄手のもので。
3年ほど前からよく来店してくださるご夫婦がいらっしゃるのですが、全く登山はしないけれど「「早く乾くし着やすいから」という理由で職場でも休日でも、いつもお店で買ってくださった服。
「登山に必要なものは全部持ってらっしゃるんだし、いつか始めてみませんか?」
その「いつか」がきた!
「高尾山行ってみようかなって思ってるんです」
そうなんだ、なんか嬉しいなぁ。
私の登山歴は、もうすぐ25年になります。
山岳会などに入ったこともなく、手探りの独学で今までやってこられました。
毎月、図書館で山の雑誌を借りて隅々まで読む。
覚えておきたいことはメモ。
書かれていることを鵜呑みにしない。
疑うわけでなく、自分に合うか合わないか、です。
セカンドオピニオンではないけれど、信用している人から言われたことでも、必ずしも私にも合っているわけではない、ということ。
何かを試すときはホームグラウンドというか、私なら高尾山で試します。
もしダメでもケーブルカーやリフトで下山できるという選択肢、どういう道かわかっている安心感もあります。
初めてのことをいきなり、長時間歩く山や初めての山で試すのって怖い。
レインウェアを買ったけれど使ったことがないのなら、あえて雨の日に行ってみる。
アルプス縦走を計画していれば、ずっと晴れることはまれです。
初めてのことを、自分にとって難易度高めの山でやってみるのではなく、完全に同じ環境(森林限界を超えると気象の影響は大きくなります)ではなくとも、一度でも経験していれば、苦手なこと、気をつけなければいけないことを知れる。
濡れた岩場の足の置き方など、実際歩いたことがあるのとないのとでは全然違います。
何時間もかけてツライ道のりを歩くだけじゃない。
「今日は気持ちよく過ごせたね、よく眠れそう!」なんて思えれば最高。
山はもっと身近でいいと思うんです。
山を好きな人が増えてくれたら嬉しいなぁー。