登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

山小屋で働く その4 まかない飯やおやつ

働くなら気になる山小屋で働く人たちのご飯事情。

お酒が好きな人は「飲めるのか」が気になっていたようですが、飲めない私は日常の食事と近いものが食べられるか、がヒジョーに心配でした。

 

私の好きな食べ物ざっくり。

  • 白米
  • 野菜

白米はクリアできそうです。

味噌汁も毎日あるでしょう。

どこの山小屋でも「ご飯(水不足だと味噌汁のおかわりがない小屋も)はおかわり自由です」と言われます。

従業員もおかわりさせてくれるでしょう、きっと。

 

それ以外の3つ…

主食は、白米のほかが乾麺であろうとなんでもいいんです。

毎日3食とも白米でいいくらいなので。

 

魚や肉は冷凍保存できそうだけどあるかな?

ヘリでの荷揚げが一般的になった今、野菜はどのくらい食べられるかな?

あ、卵も食べたいよなぁ。

 

便秘解消や美肌をつくるため!ではなく、食い意地がはっているからただただ好きなものを食べたいだけ。

野菜やきのこたっぷりの鍋やコンソメスープが恋しくならないだろうか…

「お風呂には実際どのくらい入れるのか?」と同じくらい心配でした。

 

私が働かせてもらった山小屋での「まかない飯」について書きます。

ほかの山小屋の内情は調べたことがありませんので、ご了承ください。

結論から言うと…

心配していたより豪華でした。

お酒に関しても、その日の宿泊客が目標人数を上回れば、ビールを含む好きな飲み物がふるまわれました。

ほかには、10日に1回お休みをいただけたのですが、その日はみなさん思い思いの場所で飲んでましたよ。

 

納豆が冷凍されていたのは驚きでした。

3回くらい食べられました。

嬉しかったなぁ。

納豆巻きにしたかったけど、海苔は貴重です。あきらめました。

 

魚は出たっけな、記憶にありません。

肉は炒め物として、豚バラなどが使われていました。

 

男性陣でほかの仕事を任されている人は作りませんでしたが、まかない飯は何人かで順番に作りました。

お客さんの朝夕食作りが終わりそうな頃から、取りかかります。

その前までにメニューを考えておいて、厨房のトップにその食材を使っていいか確認をとります。

悪くなりそうな葉物野菜などがあれば伝え、それらを使うようにします。

 

 

ご飯のお供として、「ゆかり」「塩昆布」を持参していました。

塩昆布はキュウリをたたいたものにパラリとかけ、ごま油をかければ一品になります。

ゆかりは茹でたパスタにふりかけるだけで完成。

 

「おかずを2つ作って」と言われて、自信作のキュウリを1つとして出したら、厨房トップに絶句されました…ダメですかね、1つとしてカウントするのは。

でも、けっこう好評でしたよ。

料理苦手って言いましたよね…と心の中だけで呟きます。

家では「おとなしく座っているのが、いちばんのお手伝いだよ」と言われるほどの要領の悪さなんです。

 

それでも容赦なく、何回も「まかない当番」がまわってきます。

レシピ本を見たりして私でも作れそうなものを…と探す毎日。

料理が得意な方々に言いたい。

料理ができない人は「適量」が分からないんですよ!

「味が足りないから塩を適当に入れてみて」 なんて言われても…「大さじ1とか、具体的にお願いしますぅ~」と、すがりつくしかありません。

 

レシピ本には、2人前や4人前で材料が書かれています。

20人前を作りたい私は、調味料を全て掛け算をするわけです。

しかし…単純に掛け算してはダメなんですって。

知りませんでした。勉強になりました。

ほかに学んだこととして、ゆで卵は下界で作るより茹で時間が3倍以上かかりました。

標高が高ければ沸点も低いですし、うどんなども2割増しくらいの時間がかかります。

 

こんな私が作ったまかない飯で好評だったのは

  • 酢豚(クックドゥなどを使わずに作れるんだ、と感動。ケチャップ万歳)
  • 野菜たっぷりのあんかけうどん(本当はかき揚げにしたかったけれど…油で揚げても私の技術不足でくっつかなかったため変更)
  • サツマイモとジャガイモの素揚げ(大学芋を作るはずが、いくらやっても蜜が作れずに、ただの素揚げ。つまみ食いしてみたら甘くておいしかったので、ジャガイモも揚げてみたらこちらもおいしかった)

 

15人前のうどんを茹でるはずが、計算を間違え(もったいない。本当に恥ずかしい)30人前も茹でてしまい、冷やす段階でザルに入りきらなくて気づいたりなど、たくさん失敗をしました。

茹ですぎたうどんは、次の食事でお好み焼きもどきになりました。

イマイチなまかない飯を作っても、失敗をしても、みんな寛大でした…ありがとうございました。

 

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山小屋で働くってこういうこと。すぐ山がある

 

 

ちょこっと手があいたときに食べる「おやつ」は、日持ちする個包装のお菓子がほとんどでしたが、差し入れで果物をいただいたときは…「キゥイ…なんてウマイんだ!」と感激でした。

 

果物、恋しかった。

リンゴとかスイカとか、夢にみましたもん。

異常に暑かったからか、凍らせる棒状のシャーベットも人気でした。

 

私は山歩き終盤、その日に下山するというときにお菓子(非常食分は残しますが)が余っていたら、泊まった山小屋に差し入れています。

以前、その小屋の売店に置いていないお菓子やパンなどを女性にあげたら、喜んでもらえて嬉しかったので。

自分が働いてみて、その場にないものは必ず誰かしらが喜んでくれるということが分かりました。

 

下山したらまず何を食べたいか。

いつも、そんなことを話していました。

「ファミレスのデザート全部!」

え? 全部って…本気ですか?

「焼肉!」

確かに。あ~、牛タン食べたい。

「ソフトクリーム」

ハーゲンダッツ

「〇〇のラーメン」などなど、思いつくまま食べたいものを言うだけ。

 

私は回転寿司。

イワシやサバが食べたいなぁ、って3日目からずっと思っていました。

下山して翌日の昼さっそく行きました。

イワシ4皿ください!」