山、はじめます。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

山小屋でアルバイト

2018年の夏、北アルプスの山小屋でアルバイトをしました。

そのとき一緒に働いた方が、今年は南アルプスにご夫婦で働きに行くとのこと。

これから秋までの期間だそうで、とても楽しみな様子にこちらまで楽しくなりました。

 

あれから1年たって、つらかったこと、楽しかったことを振り返ってみました。

ついこの間のように、全てが印象的で強烈な思い出です。

つらかった、と書きましたが「やってみなかったら後悔する」と思って自分で決めたこと。

今では本当に全てがいい思い出です。

「きっと一生に一度のことだから」と、飛び込めてよかった。

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こんな景色の中に、毎日いられるんですよ~

 

つらかったこと第三位

生魚が食べられないこと(甘露煮など加工された魚はありますが)

回転寿司大好きな私にとっては、下山の日を指折り数えてしまうくらいでした。

「いわし…」「サバ…」

食生活は思ったよりはいいですが、やはり野菜不足は否めません。

あと、牛乳も飲みたくなりました。

 

つらかったこと第二位

アルバイトの申し込みをしたときに「料理が苦手(というか、ほぼできない)」とお伝えして了承されていたので、てっきり受付をするとばかり思っていました。

ところがまさかの厨房。

大量の調理器具、40歳の脳はその収納場所すらすぐに覚えられない。

ほかには、3日目くらいから始まったスマホ指紋認証が不可能な手荒れも、まかないのメニュを考えるのも…

 

つらかったこと第一位

ダントツで、トイレ掃除。

昼間でも暗いトイレに、ヘッドランプを装着し完全装備で向かいます。

外のトイレも含めると、男女合わせて20ほどあります。

おそらく、みなさんが想像するより、丁寧な作業です。

3時間以上かかるんですよ。

汚れ具合によってはもっと長く。

ブラシで落としきれない、こびりついたモノをはいつくばって雑巾でこする。

水洗ではないので、レバーでジャーというわけにはいきません。

いかに自宅のトイレ掃除がラクチンか。

 

お尻のポケットに入れたスマホを落っことしてしまうお客さまへ。

「どうしても拾ってほしいんです!!!」

気持ちは分かります。

そうおっしゃるのであれば「承知しました…」と気合を入れて、糞便の中へ文字通り、完全装備の体ひとつで飛び込んでいきます。

底から見上げればいくつもの便器がぽっかりと口をあけ、窓のように光が入ります。

何百人もの糞便の中に、スマホがぽとり。

これをお客さまは一体どうするのでしょうか。

強力な消毒液に浸せば、耳に当てて通話する気になるのでしょうか。

 

つらかったこと番外編

早起きがつらい人は、これがいちばんかも?

私は仕事であれば、目覚ましナシで起きることが多いくらいなので、全く苦になりませんでしたがつらそうな人は多かったです。

 

 

楽しかったこと♪第三位

トロールの方を含め、いろんな方と話ができたこと。

年代も、普段の職業(下界での仕事)も、今まで出会ったことがないような方が多く、話をしているだけでおもしろかった。

 

楽しかったこと♪第二位

10日~2週間の間に半日しか休みはありませんが、早起きすれば往復10時間までの山には行けます。

軽い荷(中身はでっかいおにぎりと麦茶と雨具だけ)で、贅沢なお散歩気分でした。

 

楽しかったこと♪第一位

皿洗いをしていても、床を磨いていても、何をしていても、ふと顔を上げれば大好きな景色がそこにある。

何日たっても、「自分がここにいる」ということが夢のようでした。

 

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何日もいるから、絶景に出会える確率もぐんと上がります

もし、ご興味があればこちらもどうぞ。

その1~7まで。

https://www.海山香月.net/entry/2019/02/21/山小屋で働く_その%EF%BC%97

働く期間によってかもしれませんが、山小屋にいる間に使うものは事前に事務所へ送り、ヘリで揚げておいてもらえました。