登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

秋のアルプスへ

今年の紅葉は鮮やかだろうか。

最盛期はいつだろう。

まだまだ暑いけれど、心はもう9月半ばからのアルプスの秋へ。

 

書店には紅葉の山特集の雑誌が並び始める頃です。

でも図書館で昨年の雑誌を借りてきます。

山域ごとに紅葉の目安を掲載してくれていますが、山小屋の方はみなさん同じことを言います。

「いちばんきれいなのは、長くて3日」

1日、と言い切る方もいらっしゃいましたよ。

 

例えば「9月中旬から10月上旬」となっていたら、3週間は鮮やかな状態が続くのかと思いますが、違うそうです。

その中で3日。

天気とも相談しなくちゃいけないのに、そんなキビシイ条件の下で最盛期の赤や黄色に出会えたら最高ですね。

 

夏の山は、海の日3連休と8月上旬の週末からお盆あたりまでが最も混みますが、ほかは散らばります。

でも紅葉は、それを見たい登山者が短い期間にぎゅっと押し寄せるわけです。

 

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美しい紅葉で知られる涸沢は、聞いたことがあるかもしれませんが

「1枚の布団に3人」

という事態になることも。

これは穂高岳山荘に泊まったときに、「昨日の夜は全く眠れなかったよ…」というおじいちゃんから話を聞いたので本当です。

1枚の布団に3人…噂では聞いていたけど本当だったんだ。

眠れないでしょ。

暖かそうだけど。

 

布団も、みなさんが想像している大きさではないです。

山小屋の布団は小さめ。

3人で寝るには、交互に横になります。

目の前には知らない人の足(私は1人で行くことが多いので)。

そして自分の足は、誰かの顔の前。

いやだな…。

寝返りうてないでしょ。

しびれそう。

イヤなことばかり書いてしまいました。

 

週末や連休を外せるなら、それにこしたことはありませんが、平日でも紅葉シーズンは混みます。

体を休められないと翌日の行動にも支障が出ますので、計画段階からできるだけのことはしたいと思っています。

みんなが泊まりたいであろう山小屋やテント場を外すだけでも、少しは快適度が増すはずです。

 

例えば、槍ヶ岳を目指すなら、山頂に近い槍ヶ岳山荘に泊まるのではなく、殺生ヒュッテ、ヒュッテ大槍、ヒュッテ西岳を選び、ご来光はてっぺんからではなく、稜線から見る。

てっぺんでご来光を見た人たちが下山を始めるのを狙って、ゆっくり槍のてっぺんを目指す。

これで以前、1時間近くも自分たちだけしか山頂にいなかったことがあります。

人気の山でこれは珍しいことだと思いませんか?

そのあと、グループではないのに同時に何組も上がってきましたから、タイミングを外せてよかった。

 

涸沢の紅葉を見たいなら、涸沢に泊まって眠れない夜を過ごすのではなく、横尾山荘に泊まって軽い荷物で涸沢をピストンする。

 

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穂高岳山荘に泊まれば、上から涸沢を眺められます

または、穂高岳山荘に泊まって下山ルートで涸沢を通過する。

この下山ルートは、ザイテングラードといって岩場です。

事故も起きていますので、ご自身の経験などから難しいと思ったら、混んでいる時期はやめておいた方が無難です。

人が多いと当然すれ違いも多くなり緊張しますし、焦るといいことありませんから。

 

そして、涸沢のトイレの長蛇の列も覚悟しなくてはいけないかもしれません。

「これ、なんの列?」とビビったほどの長い列でした。

できればトイレはここで寄らず、横尾や徳澤まで行ければ時間のロスが少ないです。

 

どうしても涸沢に泊まりたいなら、昼に早めに到着して数時間眠って疲れをとってしまい、開き直って(防寒はしっかりして)夜を満喫するという手もありますね。

星空、ずっと見ていても飽きません。

 

今、山の地図をいくつも開きながら、標高が高い山から少しずつ下げて、北から南アルプスまで、9月下旬から10月下旬の計画をたてていますが、秋は雨が長引くこともありますからね…いくつ行けるかな。

雨なら、北八ヶ岳甲武信ヶ岳(こぶしがたけ)など、森の中をのんびり歩く計画も考えておくとガッカリせずにすみます。

秋の山の気温は、私たちが暮らしているところの真冬ほどまで下がることもあります。

ニット帽や手袋などを忘れるとご来光を待てない!

ダウンやフリースなど、それぞれの特性がありますがどちらかは必要です。

 

登山バスも要チェックです。

8月下旬や9月から本数が減ったり、土日祝しか運行しなかったりするバスが多いんです。

山から下りてきたらバスがなく、タクシーを呼んだけれど高かった…なんてことになったら、次の山に行けなくなってしまう。

 

今年も美しい赤や黄色に出会えますように。

 

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こちらは南アルプス 北岳