登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

北アルプス 五色ヶ原山荘

なんてすてきな場所にあるんだろう。

玄関を出れば、黄金色に輝く景色が視界いっぱいに広がります。

 

f:id:yueguang:20190929163454j:plain

声がでません

北アルプス 立山 五色ヶ原(ごしきがはら)

昨日、到着後すぐに雨が強くなりました。

頑丈な小屋の中にいられるありがたみを改めて感じます。

 

乾燥室でカラカラに乾いた衣類も、嬉しくて抱きしめてしまいます。

乾いた服を着られることを当たり前と思っちゃいけません。

 

同室になった30歳の女の子。

6人部屋に2人きりでした。

全体でも宿泊人数は20人以下。

紅葉シーズンにしては少ないような…天候に左右される山小屋の経営は、厳しいですよね。

室堂のある小屋も、240人の予約が入っていたのに、150人キャンセルになってしまったそう。

用意していた食材など…室堂は営業終了まで1ヶ月以上ありますから使い切れるかもしれませんが、小屋閉めが間近にせまっている稜線の山小屋はどうするのだろう。

 

彼女は

「テント泊の予定だったけれど、初日からテントを濡らしたくないから!」

と小屋泊まりを決めたようです。

確かに寝袋が濡れちゃうと、ちょっとイヤだよね。

保温も落ちるし、重いし。

 

室堂で昨日まで働いていて、地元に帰る前に薬師岳~雲ノ平~双六岳まで縦走し、新穂高へ下山するとのこと。

私は2日かけて薬師岳へ行くけれど、彼女はテント装備を背負って、その距離を1日で行く。

11時間30分かけて、薬師岳からまだ先のテント場へ着いたら、テント場を管理している太郎平小屋へ30分往復するのか…

薬師岳へはアップダウンの連続です。

300m下ってまた登り返す、といったような。

 

あまり初対面の人とは話さないけれど、2人きりだったこともあり、私も昨年は山小屋で働いていたのでその話で盛り上がりました。

大丈夫だったかな。

その日は本当に疲れただろうな。

アルファ米などしか持ってないと言っていたけれど、ちゃんと食べてから寝たかな。

寒くなかったかな(3℃まで冷え込んだと聞いたので)。

憧れだと言っていた雲ノ平を歩くとき、天気は良かったかな。

名前も知らないその子のことを、帰りの新幹線で思いました。

 

ここの小屋の部屋割りに感激しました。

小屋のスタッフからしてみたら、掃除が楽になりますから、使用する部屋は少ない方がいいはずです。

6人部屋なのだから、5人グループなんて1部屋にしても文句は出ないと思うんですよ。

それなのに、2部屋に分けてあげている。

 

混んでいるときはできないけれど、すいているときはゆっくり過ごしてください。

ということでしょうか。

1人だけの部屋もありました。

 

f:id:yueguang:20190929171015j:plain

 

 

温かいご飯と味噌汁。

山ではこれが本当にごちそう。

味噌汁をたっぷりいただけば、体を水分が巡っていくのが分かります。

おいしく塩分補給もできます。

味噌汁は必ずおかわり!

 

f:id:yueguang:20190929171218j:plain

 

気温がかなり下がっているので、もう水道は使えないとのことでした。

煮沸できるなら天水を分けていただけますし、お湯もポットに有料で入れてもらえます。

ペットボトルの水も販売しています。

 

台湾人のグループがいました。

飛行機代が高いから、なかなか日本に来られない。

だから今回、たくさん歩くんだ! とみんな笑顔でした。

薬師岳槍ヶ岳上高地へのロングルート。

無事に歩いてほしい。

日本の山を歩くのを楽しみにしてくれている。

 

みんな、いろいろな思いを持ってアルプスの短いシーズン、歩きに来ます。

 

北アルプス 室堂から薬師岳へ その2

信濃大町はマンホールもかわいい。
雷鳥柄ですよ。

f:id:yueguang:20190923165732j:plain

切符売り場は6時から開いています。
扇沢まで1,360円。

f:id:yueguang:20190923165255j:plain

扇沢から室堂まで5,880円。
立山黒部アルペンルートはお高い…でも自然を守るためなら仕方ないですね。
乗り継いでいく乗り物もさまざまです。
まず電気バス(2019年から。今まではトロリーバスでした)。
せっかくですから、早く歩きたい気持ちを抑えて、乗り物も楽しむことにします。
それにしても、観光客と登山者との温度差がハッキリしていておもしろい。
黒部ダムの放水も登山者はチラっと見るだけで、次のケーブルカーの駅に向けて一直線。

f:id:yueguang:20190929153026j:plain

扇沢を7時30分に出発する始発なので、観光客がほぼいないんですよ。
登山者が多い。

f:id:yueguang:20190929152415j:plain

今年、初めて購入した登山天気の有料アプリ。
前日の昼までは、今日は1日雨予報だったのが…夕方からどんどん曇マークに変わり、朝起きてみたら全て曇マークに!
ほんとか?
てんきとくらす、など無料の天気予報サイトや気象庁の予報も雨だけど…。
信じていいんでしょうか。

f:id:yueguang:20190929152918j:plain
晴れてるんだよなぁ

ロープウェイからも、まぁまぁの空でしたが…

f:id:yueguang:20190929153131j:plain
f:id:yueguang:20190929153225j:plain

すぐにこんな感じに。
アプリの予報、信じたいけど…信じきれません。

室堂に到着。
みどりが池で数日前に熊の目撃情報があったそうです。

本当は室堂で、職場のおじちゃんオススメの立ち食いソバを食べてから出発したかったけれど、その20~30分(猫舌なもので)が天候の変わり目かもしれない。
山には登らないのにライチョウ大好きなおじちゃんへのお土産に、ライチョウグッズを買ってすぐに出発しました。

この選択は正しかったです。
結果から言いますと…
室堂を9:15に出発し、ライチョウとの出会いが多すぎて合計30分ほど観察していたものの、五色ヶ原山荘に13:40に到着しました。

山荘に到着する30分前から雨が降り出しましたが「雨具を着なくても。着替えがあれば少々濡れてもいいや」くらいの強さでした。
しかし14:00を過ぎた頃から「こりゃぁ、傘があっても役に立たないな」という雨になりました。
間に合って良かった。
体もザックも濡れないのがいちばん。

乾燥室がある山小屋もありますが、当たり前と思ってはいけません。
ここでは雨よりも汗に濡れたものを乾燥室でカラカラに乾かしてもらえました。
ありがたい。

さて、ライチョウです。
どんより曇った空。
室堂を出発して20分も歩いてない。
立山室堂荘を左に見ながら、室堂山方面へ歩いていくと…つぶれたようなダミ声。
もしや、こんなすぐ見れるの?
どこにいるの?

あ、2羽いた。
何人もに囲まれ、写真撮られ放題。
モデルか!と突っ込みたくなるくらいの、ゆうゆうとした姿。

f:id:yueguang:20190929161404j:plain
f:id:yueguang:20190929161500j:plain

キリがないので、出発。

鬼岳東面から獅子岳にかけて、ライチョウ祭りでした。
3~5羽、いっぺんに出現し、そのたびにザックからカメラを出します。
いつ降るか分からないような空なので、いちいち収納していまして、だんだん面倒になってきました。
ただ、悔やまれるのが…傾斜のある岩に3羽が並んでいて、ライチョウの横顔の3段トーテムポールになっていた!
すごくかわいかった。
あれは撮りたかったなぁ…カメラを出すのが間に合わなかった。

それにしても天気が悪い時に遭遇するライチョウ
晴でも見ていますが、やっぱり確率は低いようです。
晴れているときは、ハイマツの中にずっといるのでしょうか。

f:id:yueguang:20190929162022j:plain

アップダウンはあります。
登ってきた分、きっちり下りました。
視界が悪いときは赤ペンキに助けてもらいましょう。
道に迷うことはないはずです。

今日はガスっていますが、晴れていれば草紅葉と岩の景色がきれいすぎて、なかなか進めない道だと思います。
地図で見ると、室堂をこの時間に出発すると、五色ヶ原山荘に15:00着予定。
私の中では、あまり計画したくない遅い到着時間です。
それもあって速足になりました。

室堂周辺から出てからは、2人としかすれ違わず、静かな山歩きでした。
やっと木道に到着。
ここはテント場と山荘の距離が離れています。
テント場への分岐からけっこう歩いているのに着かないので、ガスで見落としたか? そんなわけないよね? とちょっと心配になりました。

到着。
本日のライチョウ接近遭遇数18羽。
目撃数30羽以上。

北アルプス 室堂から薬師岳へ その1

夜勤明け、毎度お世話になっている高速バスに乗りました。
バスタ新宿から出ている白馬線。
これで信濃大町駅まで行き、前泊します。

途中、双葉サービスエリアで休憩。
先日、木曽駒ヶ岳に登ったときも休憩したサービスエリアです。
鯵の唐揚げ、食べたなぁ。
「♫毎日カラっと揚げられてぇ〜、おいしい唐揚げになるのさぁ〜♪」
陽気な音楽に誘われて、またふらふらと買いに…

f:id:yueguang:20190923174847j:plain

あ、売り子さんがいない。
残念。
もうバスが出る時間。

次の休憩は、梓川サービスエリア。
双葉サービスエリアから順調に行けば、1時間ほどの距離(バスタ新宿から双葉サービスエリアまでは、順調に行けば2時間ほど)。
梓川サービスエリアには、デイリーヤマザキがありまして、ここの食事系のパンが好きで〜。
夜行バスのときはショーケースが空だったから、昼間のバスで山に向かうようになってから、サービスエリアでの休憩も楽しみになりました。
私の行動範囲にデイリーヤマザキがないので、どれも食べたくなる。
迷う。
ピザは2段になっていて、真ん中にはタマゴが、上にはシャキシャキの野菜とたっぷりのチーズが!
おいしい!
カリッとした生地に、サルサソースとフランクが巻いてあるのも、辛いけれどおいしい。
会計時に温めてくれるので、ほかほか。
お腹がもつようなら梓川サービスエリアで買うようにしています。

この路線のバスは、私にとって北アルプスに向かうためにあるバスです。
安曇野穂高からは、路線バスを乗り継いで中房温泉へ行き、燕岳から槍ヶ岳常念岳上高地へ。
槍ヶ岳から西を目指せば、双六岳黒部五郎岳、雲ノ平、高天原(たかまがはら)温泉などへも。

白馬は、路線バスを乗り継いで栂池自然園から朝日岳を経て日本海(標高ゼロ!)まで下ることもできますし、もちろん白馬岳へも。
白馬八方、白馬五竜からはゴンドラを利用して、唐松岳五竜岳へ。

信濃大町は、裏銀座ルートへの登山口の七倉や高瀬ダムまで車で30分、剱岳立山への登山口の室堂への立山黒部アルペンルートの起点となる扇沢駅とはバスでつながっています。

扇沢駅から手前に15分ほど戻れば、5時間で登れる爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳、さらには五竜岳、白馬岳への縦走ルートが待っています。
途中に2ヶ所難所があるので、初心者の方は鹿島槍ヶ岳の南峰までにするといいと思います。
爺ヶ岳まで登ってしまえば、左に立山の絶景を見ながら稜線の散歩を楽しめます。

f:id:yueguang:20190921215402j:plain

扇沢駅そのものには宿泊施設がないんですよね。
あったらみんな、きっと泊まりますねぇ。
信濃大町から扇沢までの間には、温泉付きの宿から、朝早く発つから寝るだけでいい!という宿まで、選択肢がたくさんあります。

私は朝イチの扇沢駅行きのバスに乗りたいので、食事無しの素泊まり派です。
朝から満腹、朝風呂まで入っちゃったら、6時間とか歩きたくなくなるに決まってるし。

信濃大町駅から徒歩2分の竹乃家さんへ。
各部屋には山の名前がついています。
清潔な布団がすでに敷いてあり、湯をわかすポットやお茶セットがあります。
トイレと洗面台は共用。
5人ほど入れるお風呂でのんびり、しばらく髪を洗えないので念入りにシャンプー。

駅の周辺には、スーパー(デリシア)もありますし、商店街には飲食店が並び、食事には困りません。
マツモトキヨシ、DAISO(100円ショップ)もあります。

f:id:yueguang:20190923164708j:plain

f:id:yueguang:20190923164754j:plain

f:id:yueguang:20190923164842j:plain

スーパーってその土地の特色がでていて、おもしろい。
牛乳は、この他に都内のスーパーで見る種類も陳列されていました。

そして、スーパーの出口にはこんな標識…
どう気をつけよう…

f:id:yueguang:20190923165036j:plain


高速バスを降りたら、必ずすること。
明日の朝、どこからバスに乗るのかと時刻を確認。
バス停近くの切符売り場で、明日の朝バスに乗る前に切符を買うことが分かりました。
以前、毎年甲府駅から登山口へ向かうバスを利用しているので、確認しないで翌朝、乗り場に向かうと…乗り場がない!
1年前と変わっていて一瞬焦りました。
4時前なのでまだ暗かったのですが、目をこらせばザックを背にした長い列が見えて、ホッとしました。

信濃大町へ向かうには夜行バスもあるけれど、眠らないで登るより、少しお金をプラスして元気に登る。
若い頃には考えなかったことです。
特に、頻繁に行けない山ならなおさら、夜行バスで行くより前泊します。
この1回を大切にしたい。

さてさて、前泊するはいいが…山歩き初日が雨予報。
扇沢から室堂までの立山黒部アルペンルートが混雑していたら困る(以前、4時間待ちを目撃しました。扇沢に下山してきて、ジュースを買おうとしたときに)ので、初日の歩行時間はもともと短い計画ですが…
室堂から五色ヶ原は絶対にいい景色なのに、もったいないよなぁ。
雨があまりに強ければ室堂に1泊しちゃえ〜と心の片隅に置いときながら、早めに寝ます。

続きは帰ってから…

中央アルプス 木曽駒ヶ岳へ その4

さて、そうと決めたら下山開始です。
歩きながら頭の中では、おそらく来年になってしまうでしょうが次にここに来たらどんなルートで歩こう、宝剣岳空木岳も歩いちゃおう、とワクワクしています。
歩き始めて数分で、昨日の景色が再現されました。
また20m先も見えない幻想的な景色に…。
無音の世界、1人でガレ場(大きな石を歩いていくような道)を歩いていると、この世じゃない気がしてきます。
景色が見渡せるピーカンも好きだけれど、こんな景色もいいものです。
雨が降るから、晴れが嬉しい。
ご来光直前にガスることもあるから、雲海から昇る太陽を見たときの感動はなお大きい。

前から歩いてくる人たちと
「こっちで(木曽駒の山頂への道は)合ってますか?」「晴れの予報なんですけどねぇ」
「きっと晴れますよ、昨日も山頂はきれいでしたから」
などと言葉を交わしながら、サクサクと下山。

ホテル千畳敷が見えるところまで下りてくると、ガスから解放されました。
下界は晴れてキラキラと光っています。
う~、うらやましい~。

それにしても、私だけ?
今回も普通に呼吸していて、虫を吸い込んだ。
山を歩いていると、かむほどじゃないのだけれど鼻がグスグスいうんですよね。
だから虫は鼻水の海で溺れてしまうことになります。
鼻息が強いとよく言われるのですが、吸う力も強いのかなぁ。

2時間ほどかかった登りのほぼ半分の時間で、登山口まで戻ってきてしまいました。
ここから青空をバックにしたカール地形を見ることが最大の目的だったけれど、これもまた次回。

f:id:yueguang:20190917221410j:plain

待てば晴れたかー、やっぱり。
今更、ですけどね。
カールの緑も、新緑のときの鮮やかさは消えて秋の支度中。
新緑がやっぱり好きだなぁ。
あと2週間もすれば、華やかな赤や黄色に彩られるのでしょう。

ロープウェイ乗車中に車掌さんが教えてくれた1月1日と2日にダイヤモンド富士が見られるというのが気になる…
うしろには真っ白な雪をまとったカール、そのバックには冬ならではの濃い青空。
前には雲海とダイヤモンド富士
なんて贅沢な風景。
でも正月は仕事だなぁ…。

そしてバカだから!
最短距離でおりてきたのに、勢いよくロープウェイと路線バスを乗り継いじゃって
「わーい、どっちもすいてた!」

この路線バスの中から、カモシカを見ることができました。
運転手さんによると、縄張りがあるから複数見ることはないそうです。

f:id:yueguang:20190917221748p:plain

「こまくさの湯」の真ん前「菅の台」バス停で下車したら8時50分…そりゃ、まだ風呂やってないわ。
考えてみたら当たり前なんだけれど、ポカンとしてしまいました。
昨日の予定では6時間くらい歩いてから下山でしたから、開店時間なんて気にしなくてよかったから忘れていた。
1時間以上待つ。

決められたメニューになりますが軽食と入浴料がセットで1020円、ホームページのトップページの下に入浴料が610円から50円引きになる画面があるので、覚えていたらご利用ください。
信州駒ヶ根高原 早太郎温泉 こまくさの湯

湯船の中で体をなでると、どこもかしこもぬるぬると滑る。
昨日も国民宿舎で朝風呂したから、3日続けて早太郎温泉につかったことになる。
気持ちいい温泉。
毎日こんなお湯につかったら肌の悩みなんて、なくなるでしょうね。

それにしても駒ヶ根名物、ソースかつ丼はすごいボリューム…多すぎる。
前泊した国民宿舎で夕食に出た一口サイズのカツをご飯にのっけて食べたから、それでご当地グルメは終了!

また路線バスに乗り、女体入口から高速バスに乗り継いで帰りました。
伊那バスは座り心地がいいなぁ。

中央アルプス 木曽駒ヶ岳へ その3

ロープウェイを利用して、たった2時間でこの景色!

f:id:yueguang:20190911150710j:plain


木曽駒ヶ岳の山頂は、だだっぴろくて、みんなが思い思いの場所で楽しそう。
ふたつの社殿がありました。

山頂でのんびり過ごしました。
周りの話す声に意識をもっていかれたくないので音楽を聴いていますが、山では歌詞のある音楽は聴きたくなりません。
英語なら私にとっては意味不明なので、歌詞だと脳が認識しないのでいいのですが、歌詞があると連想して考えちゃうからでしょうか?
ともかく、山ではクラシックなどが私にはピッタリなようです。
あー、至福のとき

目をつぶって気持ちよくて、いつの間にかうとうとして、目を開ければ絶景。
太陽のおかげで、ポカポカです。
空は、ガスったり青空になったりを繰り返して忙しい。
でもダイナミックな景色は「雲があるからこそ」なんですよね〜。
どんどん湧き上がる雲が、ずっと見ていても飽きない絶景をつくってくれる。

楽しみにしていた夕陽は、ガスにおおわれていて見えませんでした。
ガスの色が橙色に染まっただけ。
暖かな色でした。
さ、寝よっと。
夜中はきっと、満天の星。
目が覚めたら、外に出てみよう。

…耳栓をしていても聞こえるイビキで目が覚めた。
隣のおばちゃんかぁ。
でかいイビキって音だけじゃなく、体にも振動が伝わってくるものなのね。
初めて知った。

いや、違う。
誰かに起こされた、なんてイヤだからトイレに行きたくて目が覚めたことにしよう。

そう思いながら外に出ました。
トイレは外ではないのですが、扉を開けると外の景色が見えるのです。

息をのみました。
見事な雲海が視界いっぱいに広がっていました。
昼間は見えなかった御嶽山も、雲海に浮かんでいて、その大きな姿を見せてくれています。
いくつもの山の頂が、雲海からてっぺんをのぞかせていました。
ところどころ雲海の切れ間から街の灯りも見えます。

見上げれば、月の明るさに負けないほどの満天の星と天の川。

やっぱり一眼レフ買おうかな…
欲しいな…

凍えそうなくらい寒かったのに、1時間近くもいたようです。
いい景色を見せてもらったな。
誰も見ていなくても、この美しい景色は、ここにあるんだよなぁ。
そう思いながら、おばちゃんのイビキをBGMに、軽い振動を感じながら浅い眠りにつきました。

朝は、ご来光の時間に合わせて山頂へ行けるような時間に電気をつけてくれるので、起きれるか心配な方でも目が覚めます。
周りもゴソゴソ用意し始めますし、まず寝過ごすことはないでしょう。

今回は、4時40分頃でした。
カメラ、温かい紅茶を入れたテルモス、防寒具をサブザック(山頂などで過ごすためのものだけが入るような薄い小さなザック)に突っ込み、飛び出しました。
起きたばかりの体には、昨日、何往復もした山頂までの10分弱の登りも息があがります。

早くあの色を見たい!
気持ちが前のめりになります。
しかし、足は少し遅れている。
年をとりました。

山頂まで、もうすぐ。
あ…大好きな色がそこにありました。

f:id:yueguang:20190913104827j:plain

山頂には、続々と人が集まってきます。
みんなが同じ瞬間を楽しみにしている。
いい時間です。
ご来光そのものも美しいですが、その前の時間の空の色が大好き。

f:id:yueguang:20190913105252j:plain

太陽が光の放射を始めました。
あぁ、今回はどんな朝陽を見られるんだろう。

f:id:yueguang:20190913105407j:plain

ほんとに寸前に、まさかのガス!
視界は真っ白!
笑えました。
こういうときもあります。
振り返れば、雲が稜線を飲み込もうとするように、どんどん湧いています。

f:id:yueguang:20190913105609j:plain

でも大満足。
毎回違うからいいんです。

温かい朝食をいただき、忘れ物がないかを確認して下山します。
本当はぐるっとまわるコースをとる予定でしたが、ガスがすぐには晴れなさそうだと判断して、最短距離でロープウェイ駅に下山することに決めました。
待てば晴れるだろうけれど、いつになるか分からない。
また来ればいい。

続きは次回…