登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

北アルプス 黒部五郎岳、三俣蓮華岳へ その3

今日は、トイレがない歩行時間7時間弱のコースです。

まず、それなの? と思われるかもしれませんが、トイレがあっても行かないのと、「ない」のとでは全然違います!

気がかりすぎる。

まぁ、夏は汗でほとんど出るから。

大丈夫ってことで。

 

4:30に電気がつきました。

みんなゴソゴソ起き始めます。

なーんだ、これなら支度しやすい。

 

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予定通りに5:00に出発。

小屋からすぐの太郎山に登っていくとスマホが通じました。

ここだけでなく、小屋の周囲は通じなくても、少し稜線に出るだけでいいことも多いのです。

太郎平小屋の場合、折立方面へ5分ほど下っても通じます。

 

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雲が鮮やかに染まっていきます。

木道の階段を上がったあとは、いきなりいい道の始まりです。

気分いい~。

ここの地形が丸いだけなんだけど、「地球は丸い」と思ったりします。

 

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6:15 槍ヶ岳の先っぽも見えました。

「槍の穂先」と呼ばれています。

いい景色だなぁ。

天空の散歩道に、勝手に認定します!

 

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雫をたっぷりまとったチングルマ

チングルマの花は、白い花びらに真ん中が黄色だそうです。

花を見たら素通り(多分気づかない)ですが、花のあとのこの状態が好き!

宝石よりも、ずっとずっときれいです。

今、ふと思いましたが、雫のツブツブが沖縄の海ブドウにも似ているような。

 

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木道が多いから、9月下旬くらいになると朝、凍りそうだなぁ。

昨年、別の木道ですがつるつる滑ってヒヤっとした記憶が…

 

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たまに登りはありますが、いい道をルンルン歩いていたら

6:50 北ノ俣岳 標高2661m に到着

 

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このあとは、背の低い笹でおおわれた箇所もあり、膝下(場所によっては~胸の下)が少しばかり濡れます。

でもすぐ乾きますから。

気になる方は、気温が低く天気が悪ければレインウェアを着たりするかもしれません。

 

7:40 赤木岳 標高2622m

ライチョウが多いってわざわざ書いてあるけど、ハイマツからちょこんとお風呂のように顔を出している1羽しか見つかりませんでした。

まぁ、ちょっと見飽きている感もあるので探さずに先を急ぎます。

 

アップダウンが続きます。

 

8:10 中ノ俣乗越

左には、ずっと歩いてきた道が見えます。

それにしても日差しが強い!

前回の大天井岳で鼻だけが真っ赤に焼けてしまったのですが、さらに赤くなりました。

とっくに日焼け止めは流れています。

「真っ赤なお鼻のトナカイさんか、ドラえもんだなー」

と職場で笑われました。

 

8:45 ここからガツンと標高差300m以上の登りが始まります。

黒部五郎岳の大展望が待っている。

黙々と歩を進めますが、燃料切れ~。

休憩に良さそうな岩があったので座って、アンパンをほおばります。

今回はローソンのアンパンにしたのですが、ずっしりとあんこが入っており、即エネルギーになりそう。

 

風が気持ちよくて、気づいたら30分も休憩してしまっていた。

さて、登りましょう。

くたびれると振り返り、こんなに歩いてきた、こんなに登ってきた自分を自分で褒めながら足を前に出します。

よし、肩まで着いたか。

あとちょっとだ。

 

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10:15 ぐるり大展望! の黒部五郎岳 標高2839mに到着

石仏が2体ありました。

何度か来ているのに初めて気づいた…

 

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薬師岳剱岳水晶岳、鷲羽(わしば)岳、槍ヶ岳笠ヶ岳

雲がちょっとかかってしまっている山もあるけれど、それでも本当にすごい景色です。

ウォークマンを聴きながら、しばし無になります。 

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「すみません」

少し離れた岩に座っていた男性に声をかけられました。

写真かな?

「お撮りしますか?」

「いえ、そうではなくて」

では何でしょうか?

「音楽を聴きながら山を眺めているのがすごくいい感じなので、お撮りしましょうか?」

いやいや…顔はまだらに焼けているし、髪は多分ボサボサだし。

だから1人で登っても、撮ってもらったことないのです。

お礼を言って遠慮すると

「じゃあ、顔は映しません! あ、失礼ですかね。どうしても撮ってあげたいんです」

そうですか…ではお願いします。

顔を撮らないで、みたいなこと言ったくせにポーズを取ろうとしたら、

「さっきのままがいいです!」

思わず吹き出してしまった。

 

あとで見てみたら、大きな景色の中にぽつんと座っている自分がいました。

撮ってもらって良かった。

ありがとうございます。

 

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さてと、景色を存分に目に焼き付けました。

黒部五郎小舎へ下りましょう。

トイレも心配になってきています。

 

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10:45 出発

「五郎」と名前についている山は、岩がゴーロゴーロしています。

カールの地形をどんどん下っていきます。

沢で手ぬぐいをひたして日焼けを冷やしたり。

 

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11:20 小舎まで2時間、と岩に白く書いてあります。

絶対、とは言いませんがそんなにかかりません。

振り返ると、あんなに高いところからもうこんなに下ってきたんだ…と驚きます。

静か。

水の流れる音、鳥の声、自分の足音しか聞こえません。

ずっと左に見えている赤い屋根の小屋は、雲ノ平山荘です。

 

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12:35  黒部五郎小舎に到着

暑い中、水も1.5リットルでよくもちました。

ギリギリでしたが。 

 

そして男性も読んでいるかもしれませんが、この日はツイてないことに生理2日目でした。

私は生理痛がほとんどなく、中学生の頃から水泳の授業なども平気で出ていたくらいですが、初めて貧血のような症状と頭痛が出ました。

調べたら、生理のときに激しい運動をすると頭痛になることもあるようです。

山に行くときにあたらないことがいいに決まっていますが、もしなってしまうようなら、1日の行動時間を短くするなど考えなければいけないと初めて気づかされました。

何歳なんだよ、おそっ!

 

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小屋でゆっくり休みます。

続きます。

 

太郎平(たろべー)小屋

太郎平。

何度も通ったことがあるけれど、泊まるのは初めてです。

ここを1泊目にするには歩行時間が4時間弱なのでもったいなく…でも今回は、今まで通ったことのない道で黒部五郎岳へ歩いてみようと思い、ここで1日目終了です。

 

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コロナウィルスの影響で、定員を例年の半分以下にしている山小屋ばかりです。

ここも、タタミ4枚のスペースに2人以下でした。


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山小屋がないと私は困ります。

トイレは?

水はどこで補給したらいいの?

歩いてきた後の冷たいビールは最高! CCレモンは最高(私)! という人もいます。 

昔の登山と違い、山岳地帯は国立公園になっていたりしますので、指定された場所以外で勝手にテントを張ったり、用を足したりできないのです。

山小屋がなくては、登山自体ができなくなってしまう。

こんな状態(収容人数の激減)が続いたら営業を続けられない、という山小屋はきっとたくさんあると思うのです。

通年営業している山小屋は少なく、ほとんどは夏から秋の短い期間だけです。

その短い間(雪山は別です)に集中して訪れるたくさんの登山者を収容すると、布団1枚に2人、多いところでは3人など寝返りどころか身動きすらとれない、脚と頭が交互に寝るので目の前に知らない人の足がある、なんて話も聞くのです。

私はハイシーズン(本当は紅葉ドンピシャに行ってみたい)や土日祝に登山をしないので、そういう状況になったことはありませんが、山小屋によっては宿泊客が少なくても詰めて収容するところもありました(山小屋に泊まったのが初めてで、当たり前なのかと思いましたがそうではありませんでした。そこにはそれ以降泊まっていません)。

みなさん、そういう状況になったことがあったり話を聞いたりするようで、今年の完全予約制を歓迎している人もいました。

私も、山小屋がなくなったら困る、でもギュウギュウは嫌だ!

でもワガママは言えない。

イヤならテントかついで登ればいいんです…しかし、テントをかつげる人しか山に泊まることができなくなってしまったら。

山小屋、なくなってしまう?

そんな人たちだって日数分の水を持ち歩ける?

今年は山を歩きながら、そんなことを考えたりしました。

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はっ!

昼寝をしていたら14:00過ぎてしまった~~~。

痛恨のミス!

太郎の行者ニンニク入りのラーメン(もちろん大盛にするつもりだった)おいしいのに…あーん。

11:40に到着したのですが

「混んでいるからちょっと寝たら食べよう」

と思っていたら提供時間(11:00~14:00)が終わってしまったではないですか。

山で食べるラーメン、とってもおいしいんです。

 

小屋の中を見学します。

それぞれの場所の掃除の仕方が丁寧に描かれていて、山小屋で働いていた頃を思い出しました。

雑巾がけとか、ホウキとか腰にくる作業が毎日だったなぁ。

ホウキは柄を長いものにしてくれたら全然違うのに。

雑巾がけなんて、小学生の頃は軽々だったのにさぁ…30年ぶりにやったらイメージどおりに全くいかなかったなぁ。

今はクイックルワイパーがありますからね。

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談話室で山の雑誌のバックナンバーを読んで、行ってみたい山をピックアップしたり。

空腹で夕食を待ちます

17:00 待ってました!

  

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ご飯と味噌汁をおかわりします。

下界では飲まないようなしょっぱい味噌汁も、汗をかいたあとだから。

対面で座らないよう配慮されているものの、やはり

「どちらから?」「明日はどちらへ?」

から会話が弾んで(しまって)いるテーブルもあります。

私のテーブルは…しーーん。

良かった。

もともと話したくない。

 

食べ終えて、「ごちそうさま!」でなくお辞儀で感謝を伝えて外へ出ます。

雲は多いものの、雨はやみ青空も見えています。

夕焼けはどうかな~。

 

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山に行くとき、ぜーんぶの日が晴れてほしい! と願うのは図々しい気がして

「明日だけは頼みます。いちばん楽しみな日なんです」

と太陽にお願いします。

しばらくすると分厚い雲の下からいきなり、ぽこん! と太陽が顔を出しました。

ぽかりと浮かびながら沈んでいきました。

矛盾している表現になってしまいましたが、そう思いました。

 

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この景色を見た18:30過ぎ、年配の男性が

「予約してないんだけど泊まれる?」

横柄すぎやしませんか?

マスクもしてないけど。

どの登山口にも注意事項で「予約してください」と書いてありますよ。

読んでないんですか?

今年に限っては調べないで来る、とかありえないと思います。

「空きがあるので泊まれます」と答えた女性に対して

「夕食できるよね?」

何時だと思ってます?

もう私たちは1時間以上前に終わり、小屋の皆さんも今、終えたとこ。

これから片づけや明日のお弁当の準備やらあるんですよ。

予約ナシも到着時刻も口調もヒジョーシキすぎる。

寝る前に、やなもん見た。

 

明日は朝食はいただかず、5:00頃出発する予定です。

ガサガサ音をさせて周囲の迷惑になっては悪いので、乾燥室で乾かしてもらった明日歩く格好に着替え、寝袋に入ります。

今年は直接布団ではなく、持参した寝袋やカバーに入ってから布団を使用する山小屋もあります。

それぞれの山小屋が工夫をして営業を続けてくれようとしているのですから、協力します。

 

さっき昼寝したばかりだけれど、おやすみなさい。

 

続きます。

  

北アルプス 黒部五郎岳、三俣蓮華岳へ その2

フシギですねぇ~、アラームが鳴る前にパチリと目覚めます。

牛乳、野菜ジュース、飲むヨーグルト、と普段飲んでいるけれど、山の上では飲めないものをゴクゴクいただきます。

トイレを済ませ、もう一度ザックのパッキングを確認し(登山口までクロックスのサンダルを履いていくので、登山靴を忘れたら話になりません)5:45にホテルを出ます。

う~ん、天気がいい!

嬉しいなぁ。

 

続々と登山者が駅に吸い込まれていきます。

駅前のコンビニにも、今日のご飯にするのでしょう。

おにぎりやサンドイッチを買う人の列が。

 

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電車は「立山」行きなので、登山者の割合はどんなもんなのかなぁ、と思っていました。

有峰口で降りるのは、私と同じように折立から、薬師岳黒部五郎岳、アルプスの秘境「雲ノ平」、水晶岳などへ向かう人。

下りない人は終点の立山から黒部アルペンルートで室堂まで行き、剱岳などへ向かう人、と大まかに分かれます。

昨年歩いたのですが、室堂から薬師岳に南下するステキなコースもあるので、一概には言えませんが。

 

有峰口で、思ったより下車しました。

予約をしている人から受付をして料金を支払い、バスに乗車します。

バス - 夏山バスのご案内(有峰線) | 富山地方鉄道株式会社

運転手さんから衝撃の発表が!

折立にはキャンプ場があり、夏はけっこうテントが張ってあるのですが、今年は閉鎖になったとのこと。

コロナの影響ではなく、熊が車の中をあさったり、登山者のザックを持って行ってしまったということがあったそうです。

自動販売機の横のゴミ箱の中もあさるようで、撤去されていました。

人間の食べ物の味を覚えてしまったら、野生のものを食べられなくなってしまうのではないか。

人間も同じですもん。

濃い味付けに慣れてしまうと、薄味では満足できない。

 

「折立に到着したら、サッと用意をしてすぐ登って」

とのことでした。

下山してきてバスを待つの怖いな…今回は岐阜の新穂高温泉に下るので違うのですが、折立に下るルートも考えていたので。

 

ビクビクしながら入ったのですが、トイレのコウモリがいなくなってる!

昨年は天井の二ヶ所にびっしりいましたけど。

よかった~。

 

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さて、ここは標高1350m。

今日はアップダウンがなく1000mほど登ればいいだけなので、暑いでしょうが軽めです。

急ぐことはない。

陽が差す明るい森の中をテレテレ歩きます。

時間が許すなら、鼻歌を歌えるようなスピードで歩けば体の負担も少ないですし。

 

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あ、シダかな?

葉が広がっているのと、針のように細長くなっているのがある。

ここで「なぜだろう?」と調べる人と、私のように「ふーん」で終わる人、差がつくんでしょうねぇ。

花の名前も全く興味が持てないし。

できるだけ軽くしたいザックの中に、ポケット図鑑を持ち歩いている人がけっこういることが衝撃でした。

 

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毎回思うこと。

ゆっくり歩いていても、年配の方を追い抜くことがあります。

私は別に抜かなくてもいいんです。

キョロキョロしながら歩いていることが多いし、すいていれば10mは距離をあけているので気にしていただかなくていいのですが、「どうぞ」と声をかけられれば、余力があれば行かせてもらいます。

疲れていれば「ゆっくり歩きますので、どうぞお先に」と答えています。

そして抜く場合、小さく緊張します。

なぜかというと、私が横に並んだ瞬間、どうしてか?

同時に歩を進める人がいるのです。

あぶない!

ぶつかりそうになるし、そもそもピッタリ後ろにくっつくなら、抜かさせてくれなくてけっこうです!

知らない人に、たとえ数歩とはいえくっつかれて歩くのはイヤです。

追い抜いてもらう、と決めたのならその人が横を抜けてしばらくしてから、せめて数mは距離ができてから歩き始めてもらえないだろうか…

今回もまたそんなことがあり、しょうがないから距離をあけるべくグングン歩く羽目になりました。

 

8:20 折立を出発

9:10 アラレちゃんの立て看板! なつかしい~。昨年下るとき見つけられなくて。

 

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9:40 景色のいいベンチ ただし暑い!

このベンチで森は終わりです。

景色が良くなりますが、遮るものがなくなりますので太陽を背負って歩きます。

ベンチはこのあとも、いくつもありますので混んでいたら先に進めばいいでしょう。

 

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右には有峰湖が見えます。

深いブルー。

 

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古くなった木材を取り換え、登山道を整備してくださっている人がたくさんいます。

炎天下の中、本当にありがたいです。

点検してくださる山小屋の人もですが、道を整備してくださる人がいて安全に歩くことができるのだと思います。

 

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のどかな道。

視界の両側は豊かな緑が広がっています。

今日はダーンタフの靴下をはいて歩いています。

メリノウールの靴下は汗を吸ってサラッとするので好きなのですが、けっこう高い。

1足3500円もする靴下を、両親が1足ずつ誕生日にプレゼントしてくれたのです。

靴下は消耗品ですが、大切に、たくさん山につれていこうと思いました。

 

あれ?

ちょっと黒い雲。

風も冷たい気がする。

雨降るの?

小屋まであと少し。

念のため、ちょっと急ごう。

 

正解でした。

最後の歩き20分を小走りで、半分くらいの時間で太郎平小屋に到着。

受付を済ませ、ザックを指定された寝床に置いたところで、ザーザー降り。

間に合って良かった。

たまにやむものの、5時間ほど降り続きました。

山の天気は、分からないですねぇ。

まだまだのときは仕方ないけれど、「あとちょっと」で降られると、濡れたものを乾かす面倒臭さなどを考え、がっくりきます。

特にこの道は雷にあった場合、ひらけていて怖いので。

 

続きます。

 

北アルプス 黒部五郎岳、三俣蓮華岳へ その1

山は天気が悪ければ行かないこともあります。
雨だけなら、もしかしたら山の上は晴れてるかも? と思いつつ向かうこともあります。
雨も風も強かったとしても、その日が森の中を歩くだけならやっぱり向かいます。
悪天候の翌日、澄み切った景色が見られることがありますから、それを楽しみに。

行けないこともあるから、と夏から秋にかけて、アルプスを歩く予定をたくさんたてるのです。
もう一度言います。
全部行けるとは思っていません。
そんな幸運、今まで1シーズンしかありませんでした。

しかし、先週に引き続き、今回も天気がいい予報。
8、9月と1回ずつ4連休をとっているのですが、運がありました。

勤務明け、北陸新幹線で富山に向かいます。
以前は池袋から高速バスで7時間以上かけて富山まで行っていたけれど、新幹線なら2時間半ですもん。
絶対に新幹線!
着くのが早ければ、富山で2回、おいしいご飯を食べられるではないですか!

富山はおいしいですよ〜。
寿司、氷見うどん、ぶりしゃぶ(冬)…

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ホームにある駅弁屋さん、昔の駅弁の包み紙が壁の模様になっている。
今のよりずっとステキ。
とりあえず、仮眠明けにトマトジュースしか飲んでおらずお腹がぺこぺこなので、東京駅で駅弁とサンドイッチを購入。
普段はちょっと高くて買わないようなサンドイッチ、こういうときにだけ買います。
久しぶりに来た東京駅は、ずいぶん様子が変わっていました。
お土産やさんも見てみたいところが増えていたけれど、小さな店舗にもそれなりに人がいる状況。
普段なら、すいてる! と思えるような人数ですが、これから山に行くのに荷物を増やすわけにもいかないし、またいつか、ゆっくり見に来ればいいか、とチラチラ見るだけにしました。
地下にもお店がたくさんあるようです。
食事ができるところも増えたようですね。
空港もそうですが、出発点・通過点としてではなく、そこに行くことが楽しみになる駅はいいですね〜。

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席に座った途端、サンドイッチにかぶりつき、お腹が満たされたら眠くなって、わっぱ飯を忘れてうとうとし、糸魚川駅のあたりで「海だ〜」なんてやってたら、富山駅に着いてしまいました。
改札に寿司(食品サンプルのでかいの)が置いてある…

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今夜の宿は駅から3分の「ホテルパークイン富山」
じゃらんの特別プランでお安くなっており、4000円弱。
私は早く出発するので食べられませんが、朝食もついています。
朝からカレーなんていいですねぇ。
卵かけご飯もあるんだ。

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ホテルにザックを置いて、駅前の「とやま鮨」へ。
1階が廻転(まわってないけど)、2階が座敷です。
1階に入ります。
ひらめのエンガワ
白身3種 鏡鯛なんて聞いたことない。おいしい…
特選5種 のど黒炙りが濃厚に溶ける〜。
1貫980円もするの?と思ったけれど、おいしい!
でも1貫でいい。
贅沢しました。

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ガリに昆布が入っているんですね。

明日の乗り場を確認しに、電鉄富山駅へ。
例年ですと、登山口となる「折立」まで直通のバスが出ているのですが、今年はここから立山行きに乗車し、有峰口駅でバスに乗りかえるのです。
SuicaPASMOは使えません。

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きときと市場とやまマルシェなどをぶらぶらしていると、富山駅の中へ頻繁に路面電車が吸い込まれていくのに気づきました。
駅直結は濡れなくていいなぁ。
ほんとに住民の足、といった感じですね。
今、見えるだけで4台も走っているんですもん。
のどかなメロディが流れており、井の頭公園にある汽車(?)を思い出しました。

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寿司を10貫にしたのは、ハシゴをしようと思っていたからです。
駅前の「立山そば」で、白えびの天ぷらがのったものを食べよう!と決めていたら売り切れ…
有名ながら食べたことのない、ブラックラーメンにしました。

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うぅ…しょっぱいよぅ。
喉が乾きそう…
おかずとなるラーメン、とのことですが良さが分からない。
周りをみると、男性はライスとともに食べています。
その食べ方じゃないとだめなの?

明日の朝飲む牛乳や野菜ジュースを買い、ホテルに戻ってザックをパッキングし直したり、お風呂に入ったり、地図を眺めたり。

やっぱり前泊はいいですね。
落ち着いて準備できます。
3日以上お風呂に入れないので念入りにシャンプー。

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大好きな黒部五郎岳や三俣蓮華岳を歩いてきます。

続きます。

再び北アルプス 燕岳〜大天井岳へ その4

4:30に目が覚めました。
今日の日の出は5時過ぎ。
昨日のうちに、「ここで朝陽を見よう!」と目星をつけていたところまで、寝起きですが、すぐに登ります。

小屋の前からもご来光は見えますが、昨日歩いてきた稜線もなるべくきれいに見えるように、とここを選びました。
以前赤く染まったのを見たことがあるのですが、本当にきれいだったので。
登っていれば暑いけれど、立ち止まると風もあって寒いのでダウンを着込みます。
あ、手袋忘れた。

富士山や南アルプス八ヶ岳浅間山なども雲の上にぽかりと頂をのぞかせています。
剱岳鹿島槍ヶ岳も。
鹿島槍ヶ岳は、マンタの口元のような特徴的な形の双耳峰(ふたつ山頂があること)です。

きた。
目が金色の光に射抜かれます。
声が出ません。
何度見てもいい。
いつもきれいだと思う。

小屋で朝食の人はすぐに下りていきますが、私はここでいただきます。
はぁ~、なんて贅沢な時間だろう。

いい景色でした。
出発の支度をします。

6:40
出発したらすぐに、荷揚げのヘリが飛んできました。
スムーズに下ろし、昨日まとめてあった荷を引っ掛け、あっという間に飛び立っていきました。
岩が多いところだから、私が働いた小屋みたいにもぅもぅと砂埃たたないのか!
いいなぁ!
建物内に入り込んだ砂を雑巾で拭くのが、すごく大変だった記憶が。

1分で、何事もなかったかのようです。
何往復するのかな。
しばらく音が聞こえていました。

ずっと天空の散歩道。
速く歩くなんて、もったいない!
ゆっくり行こっと。
東向きの道だから、こんなに晴れた日はサングラス必ず!
日焼けは目から、と言いますから。

12年前だったような気がします。
初めての北アルプスが、初めてのテント泊でした。
そのとき、妹夫婦と歩いた道を、今日はひとりで歩いている。
ザックや装備、衣類は格段に進歩しました。
体力は落ちました。
でも「山が楽しい!」と思う気持ちは、ずっとかわらない。
あのとき、常念岳の山頂手前で見た、どこまでも続く薄水色の雲海にぽっかり浮かぶピンク色の玉(ご来光)を見ていなかったら、登山を続けていたのだろうか。

8:40 常念小屋
おかしい…3時間のはずが2時間で着いてしまった。
なぜ?
地図、まちがってるな。
苦手な下りで、こんな早いわけない。
しかもいい道でもったいなくて、ゆっくり歩いてきたのに。
常念岳、そびえたってるなぁ。
400mも上がるのか…
ザックを置いて往復しようかと思ったのですが、帰りのバスに余裕をもちたい(蕎麦も食べたい!)ので、あっさりやめました。
今度、蝶ヶ岳を通って上高地まで下るときに歩けばいいや。
すぐラクな方へ流れます。

常念小屋付近では、docomo以外はつながらない(小屋を見下ろすところでは、つながったのですが…)ので、小屋の人に下山時刻などを伝え(100円お支払い)れば、タクシーを呼んでおいてもらいます。

トイレ掃除をしている女性に心から「おつかれさまです」を言いました。
フェイスシールドをして、ビニールのつなぎを着ています。
暑いでしょう。
トイレ掃除、大キライでした。
本当にありがとうございます。

常念小屋へのルートは、私が下っている道のほかにもあります。
そのひとつである三股ルートは、疲労で救助を呼ぶ人多いそうです。
水場もなく、オススメしないと常念小屋に書いてありました。

水は重いです。
今日は下りですので1.5リットル。
昨日は登りだったので3リットル。
水場があるルートがあるなら、そちらを選びたい。

さて下山です。
9:30 常念乗越
槍ヶ岳穂高にサヨナラをする。
また来ます、必ず。

大天荘がほぼ標高2900m、一の沢が1300m。
1600mも下るのかぁ。
少しアップダウンもしたしなぁ。
今回は、筋肉痛になりませんように(なりませんでした)。

2460mから2000mまで日陰がない。
夏はここ登るのキツイなぁ。

10:20 胸突八丁 2090m

水、つめたーい!
手ぬぐいをひたし、何度も顔や腕をぬぐう。
気持ちよか〜。
飛び込みたい!

登山道が沢のようです。
石を選んで歩けば、靴が濡れるほどの深さはありません。
水の流れる音が気持ちいい。
深い流れがあるたびに、手ぬぐいをひたします。

10:55 笠原沢 1900m

11:35 大滝

12:10 古池
きれいな池。

12:20 山ノ神

12:30 一の沢に到着。
終わっちゃった、と思うと同時に長かったなぁ、とも思います。
下りは飽きちゃう。
気温は27℃。
山の上も暑かったけれど、違う暑さでした。

タクシーは余裕をもって13:00に予約していましたが、すでに待っていてくださいました。
良かった〜、暑い中待つのかぁと思っていたので。

タクシーで穂高神社近くの「一休」へ。
蕎麦〜。
サーモン丼のセットで!
これじゃ足りない…
大盛にすべきだったか?
そのあと隣のテーブルにきた大盛をみたら、すごい量!
よかった、しなくて。

10日前に行った「ひつじ家」は、水木が休みだったし。
高速バス出発までの2時間、どうしよう…と、お店の女性に相談すると、ひつじ家を紹介してくれたのですが…
「水木が休みみたいなんです」
と言うと、
「さっき通ったとき、やってるみたいでしたよ?」
え!
行ってみます、ありがとう!

やってました。
しかもランチタイムに間に合った。
今月だけ、休みは木曜日のみにしたそうです。
うれしい〜。
またカレーうどん
すいかジュースはきた瞬間、半分近く一気に飲んでしまいました。
おいしい〜。
このメニュー、秋や冬にあるとは思えない。
あるうちに、また来れて良かった!

結論を申し上げますと、10日前に歩いたからといって、全く軽い足取りではありませんでした。
暑さとザックの重さと…
そしてこれがきっと最大の理由、体重です。
バテました〜。

それはそれ。
とってもとっても楽しかった。