登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

天国に近い場所

数年前の8月末、2日間の休みが取れ快晴の予報だったので、蝶ヶ岳へ。

上高地から徳澤までのんびり歩き、いつものようにジャムたっぷりの厚切りのトーストをいただき(高菜チャーハンも好き)、デザートにソフトクリーム。

 

気持ちの良い広場でしばらく休憩したら、樹林帯へ。

けっこう登りやすい道だと思うので、蝶ヶ岳ピストンなら徳澤から登って横尾へ下るコースをいつも選んでしまいます。

下りでは11時に横尾に着くよう調整して、豚スタミナ丼のランチ開始に合わせます。

大してスタミナ消耗してないけど!

 

ペースよく、蝶ヶ岳山頂へ。

ダウンを着こみ、これから5時間以上マジックアワーの終了まで、温かいお茶を飲みながらただ「槍ヶ岳穂高の稜線と空を眺めるだけ」という、なんとも贅沢な時間を過ごします。

 

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雲の影がいい!

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朝、太陽に染まります。モルゲンロートといいます。

 

「ここは電波はいりそうだなー、写真送ろっと」

と携帯の電源を入れると、会社からの留守電。

ヒラなので、休みに電話がかかってくることなんて普通ありません。

 

かわいがってくれた部長が突然亡くなった、という内容でした。

周りの音が消えました。

少し前に「富士山、つれてってくれよ~」

「しかたないなー、連れてってあげましょう」と言葉を交わしたばかり。

 

涙がとまりませんでした。

泣きすぎてのぼせた頭で「なんでよ?」とぼんやり問い続けていました。

 

天国があるかは分からないけれど、上から見守っていてほしいと思いました。

ここはアルプス。

飛行機に乗っている人にはかなわないけれど、今、私は部長に近い場所にいるかもしれないなーって思えました。

 

今日が出勤じゃなくてよかった。

会社でみんなと訃報を聞かなくてよかった。

1人でいたからいっぱい泣けて、楽しかったことをたくさん思い出すことができました。

 

その日の夕焼けは鮮やかで、やっととまった涙がまたとまらなくなりました。