登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

屋久島でリバーカヤック

静かな時間でした。

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カヤックをするのは初めて。

ずっと漕ぎ続けていないとバランスがとれなくて転覆するんじゃないか、とか想像していたのですが…

 

泊まっている民宿まで、早朝に迎えに来ていただきました。

早起きは苦ではないので、この時間にしてもらえて良かったです。

 

カヤックへの乗り込み方、漕ぎ方、転覆したらどうするか、などをレクチャーしていただきました。

「じゃあ、行ってみましょう」

座るところは見たとおりに狭いため、ガニ股状態になりながらお尻をもぞもぞさせてベストポジションに姿勢を整えます。

早朝のために貸切状態になっている安房(あぼう)川の上流を目指します。

 

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少し漕いで、すーっと流れに身を任せる。

 

がむしゃらに漕がなくても、それまでに漕いでいたおかげで、ちゃんと進むんです。

方向が違うなと思ったら、川面にパドルを差し入れて軌道修正してあげればいいだけ。

毎日の過ごし方もこれでいいんだ、と思いました。

考えても仕方ない、いろいろなことを考えて落ち込んだりしなくていい。

どうしようもないときもある。

そんなときは静かに身を任せてみる。

 

山を歩いているときもそうですが、こういう時間を過ごすと私は頭がからっぽになります。

何かを考えたくて山に向かっていても、なぜか

「足を前に出し続けて目的地を目指す」

という行為をしていると、いつの間にか考えなくなっているのです。

または、どうでもよくなっているのです。

 

カヤックをしているときも同じような気持ちでした。

帰る前日にガイドをお願いしていたのですが、朝起きて支度ができたときには

「明日は大阪まで飛行機でいって、新幹線で…」

などと「今」でなく、このときに考えなくたっていい先のことを考えていたのです。

カヤックを楽しみにしていたにも関わらず、です。

 

でも、少し漕いでパドルを両手で軽く握って水平にして身を任せていると、意外な速さで周りの景色が後ろにいくのです。

すぅーっと滑るような感覚がすごく気持ちよかった。

 

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こんなところもくぐれるようになりました

出発場所は海に近かったため海水が流れ込んでおり、川面をのぞき込むと中がゆらゆらと揺らめいていました。

上流にいくにつれ、水はどんどんクリアになっていきます。

前を行くガイドさんを見ると、まるで浮いているかのよう。

 

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1時間弱で、岩がごろごろある場所に上陸しました。

その日によって水がどこまできているかは変わるそうです。

周りは崖。

すごく静かです。

山の話だけでなく、他にもいろいろな話をしながら、ゆっくり温かいお茶をいただきました。

至福のとき

 

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橋や鉄塔を下から見るのがけっこう好きです

行きと違って、帰りは速いです。

流れにのっかって、スイスイ進んでしまいます。

「もう終わっちゃうんだ…」

とさみしくなりながら到着、というときに大勢がこちらへ向かってきます。

高校生? 部活なの?

すごい人数。

タイミング良かった~。

そうでないと下手くそな私は、彼らの進路妨害をしていたと思われます。

 

静かな時間を過ごし、せっかく無になった頭の中は…

カヤックから地上に降り立ったときには、

「川の近くに住んでカヤック買いたい!」

「何色にしようかな」

「さっき上陸した場所に、今度はおにぎりと味噌汁とミルクティを持って行きたいな」

と煩悩でいっぱいになっていました。