登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

やっぱりすごかった! 西田省三さんの北アルプス ドローン撮影

5日の夜、NHKで放送されました。
私のようなシロウトは絶対に踏み込めない、冬の北アルプス槍ヶ岳

仕事が休みで良かった!
暖かい部屋で
「みかんを食べながら観ようかな…」
と、チラっと思いましたが、ジムで歩きながらにしました。
なんか、ぬくぬく観てしまったら申し訳ないと思ってしまった…

今までの番組では、
「この景色を撮るために何日も山小屋で停滞して…」
というのが多かったので、そうなったら槍ヶ岳山荘が営業していないこの時期、食料など不足してしまうと心配でしたが、今回の長い停滞は麓で2週間だったとのこと。
良かった…。
あの人数分の、毎日の食事を担ぎ上げるだけでも大変でしょう。

西田さんのザックは30kg。
重いですね、やっぱり。
あと驚いたのが、発電機!
重さ20kgですが、これも担ぎ上げていました。
ドローンを飛ばすバッテリーの充電用だそうです。

撮影は、11月の下旬に上高地から。
梓川沿いにたくさんある白い木。
これがケショウヤナギという名前であることを初めて知りました。
今まで名前を知りたい、と思ったことすらなかった…
木肌が白いので、聞かれたらシラカバ? と思うくらい。
ケショウヤナギは、晩秋になると、上の方の小枝が赤く染まるそうです。
葉が染まるのではなく、枝ですよ?
驚きました。
11月下旬なので、もう上高地はホテルなどの営業も終わり、ひっそりとしていました。
あの赤く染まった光景だけでも、見てみたいなぁ。
今年の11月、行ってみようと思います。

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岳沢湿原の朝もや、幻想的でした。
静かに立ち上る朝もや。
この写真は、上高地から1時間弱の明神池で9月の早朝に撮ったものです。
このときの朝もやも、5分ほどですぅーっと消えてしまいました。
これを見るために明神に泊まったので、嬉しかったのを覚えています。
誰かが見ていても、見ていなくても、美しい景色は変わらず、そこにあるのだなと思いました。

槍沢までの道は、まだ雪もなく夏道のようでしたが、上の方はちゃんと雪でした。
結構な斜度ですが、アイゼンをきかせて、ザクザクと進んでいきます。
こんなに重いザックを背負っていても、1日で行けるんですね、すごい…。

槍ヶ岳山荘の冬季小屋。
風などは防げますが、室内でみなさんが吐く息は真っ白でとても寒そうです。

朝、どんな景色になっているのだろう…
マイナス20℃まで冷え込んだ朝、槍の穂先は想像していたより、ずっとずっと白く雪(というか氷?)
をまとっていました。
山頂直下の4本のハシゴにも、エビのしっぽと呼ばれるような形で雪がついているものもありました。

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これは岩についた状態のエビのしっぽですが、これが垂直のハシゴにびっしりついていたのです。
槍ヶ岳山荘から標高差100m。
夏であれば、下で見計らって混雑を避けて登り始めることができれば、ハシゴや鎖もあるし、一方通行でもあるので、登りにくいとは思わないのですが、
雪と岩のミックスは大変そうで、思わず息をとめていました。

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ここに雪がビッシリとつくんですよ。
でも登りきったあとの、360°の展望!
やっぱり、雪の白は景色を何倍にも輝かせるなぁと思いました。

そして、西田さんがいちばん撮りたかった、という槍の穂先を染める夕陽。
風もおさまり、ドローンで撮影していました。
あんな鮮烈な朱を見たことがありません。夕陽がつくる岩肌の陰とのコントラストが本当に迫力がありました。
槍の穂先をぐるっと一周。
本当にきれいだった。
美しいものをみると息がとまり、声が出なくなります。
涙がとまらなくなります。
トシのせい?

先日もジムで歩きながらモニタリングを見たら、平原綾香さんのJupiterにのせて、荒川静香さんがスケートをしていました。
金メダルをとったとき(も泣きましたが)より、ずっとずっと美しかった。
すごい、本当にすごい、と繰り返し思っていました。
今回も美しいものを見て、ほぇ〜っと放心状態になっていたらすぐにニュースに切り替わり、報復だとか爆撃だとか…台無しです。

あと、あと…
嬉しかったこと。
西田さんが着ているウェアの色が、私が着ているものと同じだった!
冬季小屋にいたときの、mont-bellの黄緑のダウン。
歩くときに着ていた、オレンジ(ファスナーか山吹色)のウェア。
私も同じ配色のストームクルーザー!

やったね!