いよいよ、大砂走の始まり〜。
「バスは何時ですか?」
五合目から御殿場駅までバスが出ています。
【2022年夏】御殿場駅~富士山五合目間のバスの運行について|新着情報|富士急モビリティ
バスの時間を気にしてケガしても…と思って、今まで言わなかったのです。
それに、このペースでは15:45のバスは絶対、間に合わないと思っていましたし。
その2時間後に最終バスがあるのですが、何もないところで待つのもつまんないから、バスよりは出費になりますがタクシー(6000円弱)呼ぼうと。
大砂走を下り始めて1時間たった頃でしょうか。
いきなりスピードが上がったのです。
え?
何があったのよ?
「コツをつかみました!」
そうなのか!
では、いけることろまでいってみよう!
14:55 次郎坊
ここでもう一度、地図を確認。
大石茶屋まで35分、そこからバス停まで10分とある。
道標も「バス停まで45分」とある。
45分を足すと15:40。
ギリギリか?
でも残念なことに、ここからは足元の砂がやわらかくない!
ということは…スピードが出ない。
同じような走り方をしたら、膝に衝撃もくるでしょう。
「もう急がなくていいよ。タクシーにしよう。ケガしたら大変だから」
そう声をかけました。
「がんばってみます、できるだけ」
承知した。
じゃあ、行こう。
その子を前に行かせて、後ろからついていきました。
なんか涙が出てきた。
休憩が入っているとはいえ、深夜に出発してからすでに13時間たってるんです。
これだけ長い時間歩き続けるなんて、今までなかったでしょう。
それでも「まだがんばれます」って言えるんだ。
すごいね。
15:20 △1520
そんなことを思っていたら、大石茶屋が見えてきました。
35分のコースタイムのところを25分で来れたってこと?
もしかして間に合っちゃうんじゃない。
大丈夫、ゆっくり歩いても間に合う。
もう走らなくていいよ。
「本当ですか?」
この大石茶屋では300円だったかな~、昔、たらいに冷水を入れてくれたんです。
砂埃で汚れた顔を洗った時の気持ちよさ!
今はコロナ禍だからでしょうか、ありませんでした。
「ゆっくりでいいって言われたのに、止まれません~」
ほんとだ、つき合うよ。
15:25 御殿場新五合目 △1440
「脚、ぷるぷるしてる〜」
バスの時間まで余裕があるので、リアルゴールドで乾杯。
これ、見てください。
山頂まで10km超。
スバルライン五合目からの距離の2倍です。
その子も下山したときは時之栖に行く気満々でしたが、御殿場駅行きのバスの座席に腰を下ろした瞬間に寝ました。
疲れたよね。
よくがんばった。
親の心境ですよ、勝手に。
だってご両親と私、同じ年齢らしいので間違ってないでしょう。
バスの中で酔いながらもスマホで検索したら、御殿場駅からすぐのところに銭湯があるみたいです。
レトロなものが好きだと前に言ってたし、汗を流すのはここにして…
「ラーメン食べたいです〜」って叫びながら下山してたから、ラーメン屋さんあるかな。
駅前にありました。
バスから降りて
「ここに銭湯あるからサッパリして、いっぱい食べて、早く帰ろっか?」
と聞いてみると
「銭湯に行ったことないから行きたい!」
と。
駅からすぐの人参湯へ。
入浴とバスタオルのレンタルで500円。
500円で、こんなに幸せ。
その子も、思った以上に喜んでくれました。
番台のおじちゃんと話したり、富士山の絵をみて「さっきまで、あそこにいました〜」と笑ったり。
ほかにお客さんがいなかったので、許可をいただいて撮影しました。
シャワーが壁にくっついているのも新鮮だったようです。
「あ! 座布団が富士山の柄ですよ」
ほんとだね。
食券の買い方がわからず、全部が2人前になってしまった。
トリプル炭水化物…
なんてジャンクなんでしょう。
でも完食〜。
おいしかった!
登山、続けてくれたら嬉しいな。
電車でもグッスリ眠る顔を見ながら、ちょっとだけ思いました。
8/23 追記
8/1〜21までに、富士山で24件もの遭難があったとの報道がありました。
初めての登山が富士山、という方も多いと思います。
装備については、ガイドブックにもインターネットにもたくさん情報がありますが、まずは往復で最低でも約10時間歩くことができるのか、を自分の体にきいてみてほしいのです。
登山口まであと40分のところで救助要請をしているケースもありました。
特に今は、体調が悪化していても搬送先がすぐに見つからないかもしれない状況です。
富士山に登りたい、と思ったら1年かけて、低い山を何回も登り体力をつけてから挑戦すれば、その1年も含めて大切な思い出になると思います。
引き返すタイミングも重要です。
天候悪化や体調不良など、決断の種類はさまざまです。
自分で決断できますか?
ここまでせっかく登ったのに…と思う気持ちもよく分かります。
でも動けなくなる前に、決断しないといけません。
楽しい思い出になるための決断です。
「今回はダメだったね〜、また来年がんばろうよ」と、温泉でも入っておいしいものを食べて笑顔で帰ってこられればいいじゃないですか?