登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

北アルプス 穂高岳山荘

穂高岳山荘 公式サイト | 北アルプス穂高連峰奥穂高岳・天空の山小屋

今年で100周年。

すごいですよね。

資材を人力で担ぎ上げ、こんな立地によくこれだけのものを…と、この小屋に来るたびに思います。

険しい山と山の間、少しだけ平らなところに建っています。

公式HPのトップページを見ていただくと、お分かりだと思います。

本当に「ようこそ、信じられない世界へ」ですよ。

 

90周年のとき、そうとは知らずに登ってきて泊まり、記念の巾着袋をいただきました。

とても気に入っていて、今回も下山後のお風呂セットを入れて持ってきています。

今回の100周年では、ピンバッジをいただきました。

穂高岳山荘は100周年を迎えました | 穂高岳山荘

穂高岳山荘では、けっこういろいろ買っておりまして。

行ったら必ず何か買ってるし、オンラインショップでも買いました。

今回着てきたTシャツは、このときに買ったものだったか。

からし色、好き。

受け付けしてくださったスタッフの方が「着てくださってるんですね~」と声をかけていただきました。

夕食、朝食付きで13,500円です。

あれ、値上がりしてない。

今回は注文しませんでしたが、お弁当もおいしいのでオススメ。

 

100周年のTシャツや手ぬぐいがありました。

手ぬぐい、買う~。

 

ロビーもすてきなんです。

太陽のロビー、と名前がついているんですよ。

 

トイレの個室にも、名前がついてる。

 

今夜の寝床は、ここです。

汗拭きシートをつかい、チャチャッと着替えて外へ。

さすが標高が高いだけあり、涼しくのんびりできる。

小屋に向かって下りてくる人をなんとなく見ていると、岩場を少し登ったところで、遭対協の方たちが登山者に声がけをしていました。

私も見ていたけれど、急な岩場を、肘を直角にして手をつき、お尻をすりながら下ってきた方がいたのです。

「こういうところでは後ろ向きになって下らないと、ザックが体と岩の間に入ることでかえって滑ってしまうこともありますから」

遭対協の方は、こういう優しい言い方だったのです。

でもその登山者の方は「そんなこと言われたことありません! 大丈夫ですから!」

言われたことないなら、これが初めてでいいじゃん。

誰だって初めてはあるよ。

今回言ってもらえたことで、未来の事故を防げるかもしれないじゃん。

「わかりました、ありがとうございます」でいいような気がする。

恥ずかしいことじゃない。

 

12:30

雨が降ってきました。

前穂高岳へ行かなくてよかった。

行っても間に合ったけれど、気が急くのは嫌ですから。

 

さっきのツアーの人たち、大丈夫だろうか。

すごい雨になってきたし、雷も。

半分くらいの人は慣れていない歩き方だったから、奥穂高岳まで参考タイムでは往復1時間弱だけれど、もっとかかるだろう。

濡れた岩場、怖いだろうな。

でも、真っ白けで何も見えないって分かっていても、たとえ神事であっても、山頂を目指して行かなくちゃいけないのかな。

私はほとんどひとりで歩いているので、景色が見えないと思ったら、たとえ山頂がすぐそこでも行くのをやめちゃう派です。

今回、小屋からすぐの涸沢岳も行きませんでした。

 

室内でこの気温。

快適だったのに、ストーブがついてしまった。

あちー。

ハシゴのときは「こんなに待たせんじゃねーよ」って思ったけど、心配になってきました。

あ、戻ってきた。

よかった。

山小屋に早く到着すると、景色を見てぼんやりしています。

雨が降り出せば、たいてい本棚があるので読みます。

 

17:00 夕食

え~、夕食4巡まであるの?

間は10分だけ?

その間に下げて準備するの?

すごい…

今日は2巡でした。

外から見ていましたが、あっという間。

 

夕食後、蝶ヶ岳のむこうでピカピカ光る雷を見ていると、太陽が沈む間際、いきなりガスがとれて世界が染まり始めました。

急いで小屋を挟んで反対側へ向かいます。

どんどん雲の色が変わり、最後にはまるで金色のオーロラのようでした。

 

21:00 消灯

 

3:00頃に出発する人が多いのか、8人部屋でしたが、ヒソヒソ話し声が始まりました。

前向きに言えば、目覚まし代わりになったってことで。

今回は、2日ともよく眠れなかったなぁ。

ライトを顔にピカーッって当てられたり、なぜかゴソゴソと部屋の中でパッキングしだしたり、いろいろで。

私は気をつけよう。

 

まぁ、起きてしまったので外に行きましょう。

ダウン、今回は着なかったなぁ。

なにかあったときや保温のために必ず持つけれど、このまま夏が暑くなり続けたら、いらなくなるかもしれない。

 

4:00過ぎには、空がいい色に染まり始めました。

気温は10℃です。

 

昨夜は金色のオーロラのようでしたが、今朝は桃色のオーロラ。

 

金色の夜明けを窓にうつす穂高岳山荘。

すごく幸せな時間だと思いました。

 

昨日下りてきた岩場も、どんどん染まります。

ここを下りてこられたのか。

私、やるなぁ〜。

がんばった!

写真真ん中、右側にハシゴが2つ見えます。

 

4:47

思っていたより手前から、太陽が現れました。

ほんとうに力強い。

どんどん気温が上がるのがわかります。

夜明け前は10℃、出発前に見たら18℃ですもん。

 

5:00から朝ごはん。

あぁ~、朴葉味噌じゃなくなったのか…

ちょっと楽しみだったけれど、しょうがない。

諸々の事情があるのでしょう。

もうもうと立ち昇る湯気も暖かで好きだった。

 

穂高岳山荘が110周年を迎えたとき、私はまだこの山に登ってこられるのだろうか。

登ってこられる私でいたい。

でも…

今決めることではないのかもしれないけれど、不安を感じたら、自分で線引きはしたいと思っています。

 

5:45

神事の団体さんが出発する前に出よう。

続きます。