毎日のゴールも設定しますが、登山は下山して終わりとなります。
登りで100%の力を使い切ってしまい、下ることができずに、救助を要請する。
今年多く報道されている、疲労での救助要請はそれも含まれています。
そんなことに決してならぬよう、体力の配分を気にかけておかないといけないな、と思いました。
それにもともと、登りより下りの方が神経をつかいます。
登りはなんてことなくても、下りでは技術が必要なこともあります。
5:45
今日は涸沢を経由して上高地へ下山します。
下り、苦手~。
朝イチが、急な下りだとより怖く感じる。
それにしても、こんな怖かったっけか。
下りながら、何度も振り返ります。
登らせてくれてありがとう。
山を下るとき、いつも思います。
涸沢から登ってくる人とのすれ違いもありますが、順調〜。
自分のペースで歩けるのがいちばん。
歩いているのは、こんな道。
鎖がついているところもあります。
6:40
ここは、少し休めるところ。
平らになります。
下りはずっと正面に太陽があるので、肌がじりじりと焼けていくのがわかります。
サングラスはかけた方がいいですね。
ずっとこんな道です。
浮石に足をのせてしまうと、バランスを崩すこともあります。
時間がたつにつれて、登りの登山者が多くなり渋滞が始まるようになりました。
写真の真ん中を横切る岩場、右から左に下りてきたのです。
ここまでずっとガレ場(大きめの石がゴロゴロしている道で、石にのりながら歩いていく)でした。
8:00
涸沢ヒュッテ(写真にあるのは、涸沢小屋です)
この景色も見おさめだ。
30分、ゆっくりしました。
雪がつもると、縦に書いてある「涸沢」という文字の「涸」も見えないくらいまでになるんですよ〜。
雪がまだ残っています。
5秒と手をつけていられないくらいの冷たい水。
顔や首をパシャパシャ洗う。
最高!
8:50
Sガレを過ぎたあたり、広く平らなガレ場の道になりました
ここです、残雪のときにズボズボと太ももまでうまりながら歩いたところ。
今日も、森のいい香りがする。
9:40 本谷橋
涸沢までの道と比べると、涸沢からはガレ場もありますが、散歩道のよう。
けれど、ここまでの疲労がたまってくるのが、なんでもないところでもつまづいている人をよく見ました。
気を抜かないようにしなきゃ。
それにしても暑い…
この気温では、もう夏山を歩くのは無理かも。
夏は、海に行くことが多くなっちゃいそうだ。
10:25 岩小屋跡
えー、横尾までまだ1km以上あるの?
早くサンダルになりたい。
ここからずっと、とぼとぼ歩きです。
さらに、横尾から上高地まで10kmあることを考えると…
今まで何回歩いているだろう。
20回どころじゃないよなぁ。
毎回、とぼとぼ歩いています。
いくら徳澤園でおいしいごはんを食べられようとも、上高地~横尾、ここを歩くのだけはもう飽きた。
登山口まで3時間歩くのは長すぎる。
今回見ることができたいい景色のことを思い出したり、これから帰る何日もしめきった部屋が何度になってるんだろう、と考えてもどうしようもないことが浮かんできます。
朝、10℃のところにいたのに。
あの涼しさが恋しい。
あぁ、この橋を渡れば横尾…
10:40 横尾
ポカリー!
サンダルに履き替えるー!
横尾に着くと、この2つが楽しみです。
顔から体から、塩の結晶がぽろぽろと。
顔をこすると、ザラザラで痛い。
ちょっと休んでいたら、もう30分たっていた。
涸沢と横尾で休んだのは合計1時間。
これをちょっと短縮していれば…と後悔するのは、まだ先です。
もしくは、とぼとぼ歩かず、さっさと歩けばよかった。
ここから1時間弱で徳澤園へ着きました。
11:00~13:00限定のチャーハンがあります。
うまい!
デザートはソフトクリームにしようと思っていたら「コーヒーソフト」とありました。
諏訪湖サービスエリアで食べたイメージが残っていたのでこれにしたけれど、ちょっと思ってたのと違ってた~。
コーヒーに、ソフトクリームがinのパターンだった。
12:45
再び、とぼとぼ歩きを開始。
たまに、道が川になっているので、足をひたします。
気持ちいい。
13:55 明神館
「奥穂高岳に登りました」と、穂高神社の奥宮がある方へ、心の中でご挨拶。
やな予感がする。
ここから上高地まで走ろう。
あぁぁぁ、やっちまった。
5分後、突然の豪雨。
ザックにカバーをかけるのが精一杯でした。
体は濡れてもいいけれど、ザックの中身が濡れたら面倒。
1分たたぬ間に全身グッショリです。
でも暑かったから、逆に気持ちいいわ。
上高地か平湯でひとっ風呂あびようと思っていましたが、雨水シャワーですませることになりそう。
予感のときにレインウェアを着なきゃいけなかったな。
それに、ポンチョを持ってこなかったことを後悔…
ポンチョをさっとはおれば、ザックカバーもかけなくていいし、ザックカバーに入り切らない背負うところや腰のベルトも濡れませんし。
mont-bellのポンチョ、いいですよ〜。
かぶるタイプより、前開きタイプにすれば、脱ぐときも濡れずにすみます。
風が強い稜線でなければ、ポンチョがいちばん!
風があると、下から吹き上げるのでめくれてダメですけどね〜。
バスターミナルまであと10分のところで、雷もバリバリし始めました。
怖い。
でもバスターミナルまでは行ってしまいたい。
手前の店やトイレの軒下で雨宿りしたくない。
ここまで濡れてしまったら、ホテルなどの立ち寄り湯には入れてもらえないでしょう。
バスターミナルの建物の中には、更衣室(100円)があるんです。
雨に濡れたのは気持ちよかったけれど、気温が下がってきた今、ずっと濡れたままではヤバイから。
汗は流れたけれど、ずいぶん体が冷えてきました。
更衣室には別料金でシャワーもありますが、もうあびる必要はないでしょう。
拭いて着替えて、サッパリしました。
濡れて歩きながら思っていました。
雨が降ると山道を歩くのは怖いけれど、午後、ちゃんと山に雨が降るようになって安心しました。
ここ数年、全く夕立がない日が続くこともあり、変だったから。
平湯バスターミナルから高速バスで帰ります。
窓から見える山々を眺めながら思う。
みんなそれぞれ、歩きたい道があります。
60代、70代で上高地~岳沢~奥穂高岳~涸沢、と同じ道を歩いていたお元気な方たちもたくさんいらっしゃいました。
でも見ていると、力が急に抜けたかのようにすとんとへたりこんだり、転倒したり、足元がおぼついてない方もいました。
それを見ている方も怖い。
次の瞬間の私かもしれない、と思うと。
休憩中に聞こえてきた話では、
「今、71歳。65歳を過ぎてから登山を始めて、日本の3000m峰はこれ(奥穂高岳)で全部登った」
とおっしゃる方も。
すごい、本当にすごいです。
何歳だからできる、できない、ということじゃないんです。
でも私は今回怖かった。
安全に歩ききりたい、という意味での緊張感はいつも忘れずにいたいと思います。
来る直前に、この山域の遭難記事を続けて目にしたからでしょうか。
今までと同じように、岩場をワクワクしながら歩くという気持ちには、最後までなりませんでした。
自分がそれを楽しめないと思ったらやめる。
好きでやっていることなのだから、好きなことだけやる。
このルートを歩くのは今回が最後になりそうです。
今回、無事に歩きとおせてよかった。
天気にも恵まれて、最高の山歩きになりました。