登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

白馬山荘 その2

夕食後、風は弱まってきたものの、雨は降り続いてます。

景色を見ていればいくらでも時がたつのですが、真っ白じゃねぇ…

他の山域の地図でも持って来ればよかった。

軽いうえに、いくらでも見てられますから。

 

あら、やんだみたい。

 

ストレッチをしていると、部屋の中に金色の光が射しこんできました。

二重窓を開けると…

うわぁ、いいなぁ!

そして、目の前には剱岳

外へ行かずとも、これだけの景色が見えるんです。

最高!

 

白馬館系列の山小屋の、黒くて四角い枕が苦手です。

前は、自分の服を丸めて袋に入れて、枕にした覚えあり。

これ、頭を直接のせるとプシュゥ~と沈むんです。

寝返りをうったりして、頭が少し浮くたびにプシュゥ〜。

むむ~。

あ、ひらめいた。

敷布団の下に置いてみよう。

これが正解でした。

もともと低い枕が好きなので、少しの盛り上がりがあれば満足。

頭を動かしたときの浮き沈みも感じなくなり、スコーンと就寝。

 

1時過ぎ、トイレに行きたくなって目が覚めました。

他の個室のみなさんを起こさぬよう忍び足のため、片道2分かかるトイレへ行ってからそっと外へ出ると、そこは宇宙の中でした。

夜空をうめつくす星。

天の川。

眼下には街の灯り。

日本海の沖を走る稲光。

 

北アルプスの山小屋で働いていたとき。

21時頃に仕事を終えると、そのへんに1時間寝ころんで、星空を見上げる毎日だったことを思い出しました。

目線より下で光る雷が、とても美しかったことも。

こんな星空を毎晩見られたら…

毎日そう思っていました。

この星空が見えることが、私の1日の当たり前であってほしかった。

それは、場所なのか、時代なのか。

ともかく、毎晩そう思うほどの美しさでした。

 

部屋に戻り、熟睡。

 

4:20

せっかく持ってきたのだから一度は着ようと、薄手のダウンを着こんで外へ。

そして、夜明けがやってきました。

泣けてきちゃう。

静かな気持ちで、太陽と向かい合います。

そのとき太陽は、暖かさと一緒に、希望というか勇気も届けてくれる。

そんな気がするのです。

山にいるときしか、こんなふうに思わないんですけどね。

そして、登った山から見えた山々へ、次は登りたくなる。

読んだ本にちょこっとだけ出てきた山に登りたくなる。

地図を見て、名前に惹かれて登りたくなる。

そうして、登りたい山がどんどん増えてゆくのです。

白馬岳の山頂で朝を迎えようと思っていましたが、昨日雨だったということもあるでしょう、かなりの人数が上がっていくのを見てやめました。

広い山頂ではありませんし。

山頂への道から右にそれたところで、ひとり静かにそのときを迎えました。

 

振り返れば、白馬岳の影がのびています。

 

剱岳も染まる。

どうして夜明けは、こんなにもきれいなんだろう。

 

5:30 朝食

夕食と同じシステムでした。

朝からおいしいごはんをありがとう。

今日も元気に歩けそうです。

 

 

部屋へ戻ると、まるで絵のような風景が迎えてくれました。

何もかもが最高です。

 

さて、出発しますか。

続きます。