「桜がきっと咲いているだろう」と、今月は1万円さんぽを3月末に予定していました。
開花の報道が、29日にやっと出ましたもんね~。
花粉症のため春が好きではありませんが、淡いピンクの桜を見るとやはり気分が浮き立ちます。
さて、どうしようか。
「豊洲に行ってみない?」とツレ。
いいね。
私は20代の頃、築地市場の場内で働いていました。
魚の値段が「符丁(ふちょう)」で飛び交うあのガヤガヤした感じ、ターレーがガァガァ走り回っていたなぁ。
騒がしいのはイヤなのに、あの空気はなんでか好きだったな。
ターレーとぶつかった場合は、ぶつかった人が悪いとされていました。
なんて無法地帯!
ぶつかった人を何度も見ています。
すごんだ人もいましたが「ぼさっと歩いてるやつがわりーんだよ」と、ターレーの運転手ばかりか、周りにいた人たちにもやりこめられていました。
ちなみに、車 vs ターレーなら?
へこもうがどうなろうが車の負けです。
「ターレーをよけながら、速度をゆるめずに歩けるようになれば一人前」とも言われました…
そして、符丁というのは暗号です。
今はもう、符丁でのやりとりはないらしいんすけどね。
近隣の店やその店に買いに来るお客さま(同じ魚でも、お客さまによって単価は変わりますから)方に単価を知られないようにするために、0~9に対応するカタカナをつけておきます。
カタカナは、店によって違います。
お店の奥には「帳場」と呼ばれている、買ったものの伝票をおこす人がいますが、帳場さんまでは距離があるので、必然的に怒鳴り声のような音量で伝えることになります。
例えば
「タイ1.2kg、タールーね」
そのお店では「タ」が1、「ル」が4だとします。
1.2kg✕1,400円=1,680円
このお店では、あるお客さまに対してこのタイは1,680円で売られるということです。
同じタイでも、いつもたくさん買ってくれるようなお客さまにはターキーで売られているかもしれません。
「キ」が2だとすれば、1.2kg✕1,200円=1,440円です。
もちろん、お客さまが買うものは1つだけではありません。
そのお客さまが店内を見て決めた魚や貝類などを、それぞれの担当者が次々に帳場さんへ通していきます。
ゆっくりなんて言ってくれません。
築地の人たちは、ただでさえ早口。
そのスピードで何人もが、注文を通してきます。
初日は、異国語に聞こえました。
2日目は、とてもできないと思いました。
3日目は、少しは聞き取れるけれど、このスピードでは書きとめられないと思いました。
4日目には、ゆっくりめに言ってもらえれば、メモできる(あとで伝票に清書する)ようになりました。
翌週には、通常のスピードでも伝票に直接書けるようになっていました。
集中力と若さ?
大江戸線の築地市場駅から出て左へ行くと、すぐに築地市場の入口でした。
そこのホワイトボードに毎日書かれている忘れ物・落とし物がおもしろくて。
「玉ねぎ8個」
「サンマ10尾」
「鮭の切り身1ケース」
などなど。
ターレーで運ばれているうちに落ちてしまったのかな。
仕事を終えて帰るとき、そのホワイトボードを見るのが楽しみでした。
築地の場内市場が豊洲へ移転してから、一度も行ったことがなかったのです。
「豊洲に行こっか~」となったときに、食事できるかを調べていたら…
え!
「やじ満」あるの?
働いていた頃、1週間に1度は通っていたお店です。
寒い季節は2日に1度。
10~3月はカキラーメンの季節で、カキラーメンとニラソバを交互に食べていました。
あと、少し大きめのシュウマイも。
カウンター内に立つおかみさんは、伝票なんて一切書かずに誰が何を注文したかを覚えていて、できあがればサッと目の前に出てくる。
「ごちそうさま」と声をかけるか、立ち上がればすぐに金額を言われる。
すごいなぁ、と思っていました。
たまに、おかみさんの娘さんもカウンターに立っていたのですが、目元がそっくりなんですもん。
おふたりとも美人さんでした。
懐かしいなぁ。
よし!
私はカキラーメンを食べるぞ。
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ん?
そんなこと、ある?
やっちまった…
最寄り駅は「豊洲」駅ではなかったのか。
スマホで調べるとバスなどでも行けますが、いちばん簡単なのは「ゆりかもめ」で行くこと。
2つめの「市場前」駅で下車。
豊洲駅からすぐだったので、帰りは歩こう。
やじ満へ。
なぜ、このお店が豊洲へ移転しないと思ったかというと…
通っていた頃、店員さんはすでに高齢な方が多かったからです。
どこかの駅の地下の食堂街のようだ。
こぎれいで変な感じ。
メニューを見ても、やっぱりいつものになります。
お腹ペコペコ!
まずはシュウマイ。
けっこう大きめですよ。
12名が座れる店内です。
見知った店員さんはおらず、男性ふたりで切り盛りしていました。
最後は10年以上前だもんな〜。
築地で働いていたのは20年前ですが、辞めてからも築地には度々来ていました。
でも、さすがにもう、あの頃の店員さんたちはいないよなぁ。
カキラーメンきた!
大粒の牡蠣が5個のっています。
この味、この味!
おいしい〜。
カキラーメンは3月末までだから、間に合ってよかった!
ツレは、五目めんにしました。
具がモリモリ。
ごちそうさま、をしようとしたら女性がカウンターに出てきました。
娘さんだ!
マスクをしているけれど、目元に見覚えがある。
築地では、ゴミはポイポイと平気で捨てられ、ハッキリ言って汚かった。
発泡スチロールのような大きなものでもポイポイ。
そんな発泡スチロール、きれいなものや洗えばきれいなものを拾って売る「箱屋さん」もいたなぁ。
整然としていて清潔で、雑然としていない。
こんなの築地じゃないって思うけど、確かに築地じゃないや。
ここは豊洲だった。
セリ場を眺めても懐かしい〜、とは思えませんでした。
ガラスの向こうだから、あの生臭さがないせいか。
音は少しだけ聞こえる。
思い出は、五感がフル稼働しているんですね~。
まとわりつく生臭さ、におい、音、真冬にじっと座って伝票を書いているときの痛いくらいの寒さ…
きれいなのはいいことなのに、あの汚さが懐かしい。
6時前に出勤したらこのサイズの包丁で、マジでケンカしていたり。
怖いっつーの。
丸山海苔店で、ツレの好きな海苔「こんとび」を購入。
クロマグロと背比べをしたり。
続きます。