登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

2024年3月 1万円さんぽ その1

「桜がきっと咲いているだろう」と、今月は1万円さんぽを3月末に予定していました。

開花の報道が、29日にやっと出ましたもんね~。

花粉症のため春が好きではありませんが、淡いピンクの桜を見るとやはり気分が浮き立ちます。

 

さて、どうしようか。

豊洲に行ってみない?」とツレ。

いいね。

私は20代の頃、築地市場の場内で働いていました。

魚の値段が「符丁(ふちょう)」で飛び交うあのガヤガヤした感じ、ターレーがガァガァ走り回っていたなぁ。

騒がしいのはイヤなのに、あの空気はなんでか好きだったな。

ターレットトラック - Wikipedia

ターレーとぶつかった場合は、ぶつかった人が悪いとされていました。

なんて無法地帯!

ぶつかった人を何度も見ています。

すごんだ人もいましたが「ぼさっと歩いてるやつがわりーんだよ」と、ターレーの運転手ばかりか、周りにいた人たちにもやりこめられていました。

ちなみに、車 vs ターレーなら?

へこもうがどうなろうが車の負けです。

ターレーをよけながら、速度をゆるめずに歩けるようになれば一人前」とも言われました…

 

そして、符丁というのは暗号です。

今はもう、符丁でのやりとりはないらしいんすけどね。

近隣の店やその店に買いに来るお客さま(同じ魚でも、お客さまによって単価は変わりますから)方に単価を知られないようにするために、0~9に対応するカタカナをつけておきます。

カタカナは、店によって違います。

お店の奥には「帳場」と呼ばれている、買ったものの伝票をおこす人がいますが、帳場さんまでは距離があるので、必然的に怒鳴り声のような音量で伝えることになります。

例えば

「タイ1.2kg、タールーね」

そのお店では「タ」が1、「ル」が4だとします。

1.2kg✕1,400円=1,680円

このお店では、あるお客さまに対してこのタイは1,680円で売られるということです。

同じタイでも、いつもたくさん買ってくれるようなお客さまにはターキーで売られているかもしれません。

「キ」が2だとすれば、1.2kg✕1,200円=1,440円です。

もちろん、お客さまが買うものは1つだけではありません。

そのお客さまが店内を見て決めた魚や貝類などを、それぞれの担当者が次々に帳場さんへ通していきます。

ゆっくりなんて言ってくれません。

築地の人たちは、ただでさえ早口。

そのスピードで何人もが、注文を通してきます。

 

初日は、異国語に聞こえました。

2日目は、とてもできないと思いました。

3日目は、少しは聞き取れるけれど、このスピードでは書きとめられないと思いました。

4日目には、ゆっくりめに言ってもらえれば、メモできる(あとで伝票に清書する)ようになりました。

翌週には、通常のスピードでも伝票に直接書けるようになっていました。

集中力と若さ?

 

大江戸線築地市場駅から出て左へ行くと、すぐに築地市場の入口でした。

そこのホワイトボードに毎日書かれている忘れ物・落とし物がおもしろくて。

「玉ねぎ8個」

「サンマ10尾」

「鮭の切り身1ケース」

などなど。

ターレーで運ばれているうちに落ちてしまったのかな。

仕事を終えて帰るとき、そのホワイトボードを見るのが楽しみでした。

 

築地の場内市場が豊洲へ移転してから、一度も行ったことがなかったのです。

豊洲に行こっか~」となったときに、食事できるかを調べていたら…

え!

「やじ満」あるの?

やじ満【中華】|豊洲市場ぐるめMAP|豊洲ぐるめ

働いていた頃、1週間に1度は通っていたお店です。

寒い季節は2日に1度。

10~3月はカキラーメンの季節で、カキラーメンとニラソバを交互に食べていました。

あと、少し大きめのシュウマイも。

カウンター内に立つおかみさんは、伝票なんて一切書かずに誰が何を注文したかを覚えていて、できあがればサッと目の前に出てくる。

「ごちそうさま」と声をかけるか、立ち上がればすぐに金額を言われる。

すごいなぁ、と思っていました。

たまに、おかみさんの娘さんもカウンターに立っていたのですが、目元がそっくりなんですもん。

おふたりとも美人さんでした。

懐かしいなぁ。

よし!

私はカキラーメンを食べるぞ。

 

各種一日乗車券 | PASMO・定期・乗車券 | 東京メトロ

24時間、メトロに乗り放題の切符で出発~。

 

有楽町線の「豊洲」駅に到着しました。

ん?

ららぽーと」とかの矢印はあるけれど、「豊洲市場」がない。

そんなこと、ある?

やっちまった…

最寄り駅は「豊洲」駅ではなかったのか。

スマホで調べるとバスなどでも行けますが、いちばん簡単なのは「ゆりかもめ」で行くこと。

ザ・豊洲市場【公式】

2つめの「市場前」駅で下車。

豊洲駅からすぐだったので、帰りは歩こう。

やじ満へ。

なぜ、このお店が豊洲へ移転しないと思ったかというと…

通っていた頃、店員さんはすでに高齢な方が多かったからです。

どこかの駅の地下の食堂街のようだ。

こぎれいで変な感じ。

 

メニューを見ても、やっぱりいつものになります。

お腹ペコペコ!

まずはシュウマイ。

けっこう大きめですよ。

12名が座れる店内です。

見知った店員さんはおらず、男性ふたりで切り盛りしていました。

最後は10年以上前だもんな〜。

築地で働いていたのは20年前ですが、辞めてからも築地には度々来ていました。

でも、さすがにもう、あの頃の店員さんたちはいないよなぁ。

カキラーメンきた!

大粒の牡蠣が5個のっています。

この味、この味!

おいしい〜。

カキラーメンは3月末までだから、間に合ってよかった!

 

ツレは、五目めんにしました。

具がモリモリ。

ごちそうさま、をしようとしたら女性がカウンターに出てきました。

娘さんだ!

マスクをしているけれど、目元に見覚えがある。

 

築地では、ゴミはポイポイと平気で捨てられ、ハッキリ言って汚かった。

発泡スチロールのような大きなものでもポイポイ。

そんな発泡スチロール、きれいなものや洗えばきれいなものを拾って売る「箱屋さん」もいたなぁ。

 

整然としていて清潔で、雑然としていない。

こんなの築地じゃないって思うけど、確かに築地じゃないや。

ここは豊洲だった。

セリ場を眺めても懐かしい〜、とは思えませんでした。

ガラスの向こうだから、あの生臭さがないせいか。

音は少しだけ聞こえる。

思い出は、五感がフル稼働しているんですね~。

まとわりつく生臭さ、におい、音、真冬にじっと座って伝票を書いているときの痛いくらいの寒さ…

きれいなのはいいことなのに、あの汚さが懐かしい。

 

6時前に出勤したらこのサイズの包丁で、マジでケンカしていたり。

怖いっつーの。

 

丸山海苔店で、ツレの好きな海苔「こんとび」を購入。

 

クロマグロと背比べをしたり。

 

続きます。