登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

北アルプス 燕岳へ その3

10:10 燕山荘に到着。

 

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良かった、ここに泊まることにしておいて。
せっかく景色のいい道を、真っ白の中歩くのはさみしい。

久々のアルプスなので、いつもは大天井岳まで行くのですが、今回はここをゴールにしておいたのです。

 

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これこれ! チキンカレー!
ほろほろと骨からはがれる肉がうまぁ。
食堂には、それなりの人数がいたけれど、室内だからか、静かなしゃべり声がときたま聞こえるだけ。
登山道はけっこう賑やかでしたが、やはり気をつかいますよね。

 

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ストーブついてます。
つい12時間前、寝苦しかったことを思うと…長袖を着ていることが信じられない。
山小屋に着いてからの着替えは必ず一式持っているので、汗拭きシートで拭き取ったあと着替えます。
汗かいたままの服で最初から最後までずっといられる人もいることは確かですが、下山後の温泉の着替えと兼ねていますから荷物が増えるわけでもありませんし、やっぱり着替えると気持ちがいいです。

 

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山小屋の利益を考えると申し訳ないのだけれど…
「今日は、ひとつの布団に何人だろ。ひとりだったらいいな」
と、昨シーズンまでは思いながら歩いていたので…
真ん中にロールスクリーンがあり、普段は3つ布団を敷いているスペースが半分になり、そこをひとりで使えるなんて…夢のようです。

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小屋番さんの話では、最近ずっと午後の天気が悪くて日没が見れてないそう。
今日も見られないだろうな、この雨じゃ。

 

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毎回思う。
信じられないくらい、きれいなトイレ。

山の上、というわけじゃなく下界にあっても驚愕のきれいさですよ!
そして水洗。
一昨年働いた山小屋と比べてしまう…すごい費用なんだろうなぁ。

 

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あ、ライチョウの親子。
天気わるいから、何度も出現。
ぐぇー、という変な鳴き声ですぐ気づけます。

 

少し昼寝すっか。

起きても、まだ雨は降り続いています。

歩いていたときよりも強いし。

ほんとに明日、やむんかいな。

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乾燥室に、干したものを取り込みに行きます。

2時間もしないのにカラッカラのホッカホカに乾いてる。

ありがたい〜。

汗や雨でびしょ濡れの冷たい服を着る寒さを想像すると…良かった!

水道の水も飲め、水筒に入れられる。

水って重いんですよねぇ…山小屋がなくなったら、私は山を歩くことができません。

それにしても、これだけ「予約を!」と各山小屋が発信しているのに、

「予約してないのですが」

と入ってくる人の多いこと。

驚きました。

「予約ナシでは宿泊できません」と明記している小屋もあるのに。

休業している山小屋も多いですから、営業しているかしていないかも含め、登る前に何らかの方法で確認しているはず。

しかも、登山口にも書いてあるんですよ。

今日(8月7日)はまだ、連休の前日&天候不良でキャンセルもあり、余裕があったから受けられたようですが、

「明日以降は、ダメなところもあるかもしれませんよ」

とやんわり言われていました。

予約の人でピッタリ埋まっているところに、予約していない人が入ったら、お互いの距離が保てなくなるということです。

まぁ、この天候では、先に進むのを諦めてここで泊まりたい、となったり、テント泊をやめたり、ということもあるかもしれませんが。

山小屋も、消毒や換気など、いつもよりずっと仕事が増えているので、できるだけ協力したいです。

明日、早く起きて雨じゃなければ稜線散歩に出かけようと思っていますが、予報は芳しくない。

大好きな景色は見れず、ただのいい運動になってしまいそうな予感。

でも仕方ない、山ですから。

毎回天気がいいわけではありません。

逆に雨の予報がピーカンだったことも何度もあります。


ライチョウと散歩もできたし、手ぬぐいも買った。

無事に下山できれば、すべてヨシ!

来なければよかった、とは全然思わない。

ただ、限りある資源(お金)なので、次回はあの景色が見たい!

どんな景色か、何度も歩いて知っているのに見たいのです。

燕岳の緑と白の模様も大好きなのです。

以前の写真を載せます。

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続きます。

北アルプス 燕岳へ その2

暑さに疲れてしまい、元気に帰ってきたのに山の記録が遅れました。

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登山口行きのバス乗り場が変わっていることはよくあるので、昨日チェックしておきました。
夏山シーズンなら、まず行列ができているとは思うのですが念のため。

いやー、それにしても寝不足です。
普段、28〜29℃にして寝ているのですが、簡易の温度計で室温32℃ありました。
拭いても拭いても、首筋にじっとり汗をかいてしまい、勤務明けで疲れているのに全然寝つけない。
ぐっすり眠ろうと、高速バスで眠気をこらえたのに台無しです!
次からは、倍の金額でもビジネスホテルにしよう…いつものホテルにすれば良かった。
山を元気に歩くための前泊なのに、これじゃ無意味。
でも「テレビがない」「湯船がない」とは書いてあったけど「エアコンがない」とは書いてなかった。
夏は、そっちの方がはるかに大事じゃないか?

あー! 燕山荘に着いたら、よく寝れそう! ←やけっぱち

朝焼けだー。
風も強いし、天気の崩れが早まりそう。
雨は夕方からってなってたけど、もつかな…

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5:10 穂高駅をバス2台で出発。
中房温泉行定期バス(燕岳登山口へのアクセス 時刻表あり) – 安曇野公式観光サイト 信州あづみのの旅

6:00に標高1462mの中房温泉に到着。
ここ、一度泊まってみたいなぁ。
勤務明けだと、中房温泉行きの最終のバスに間に合わないのです。
移動のためにさらに1日なんてもったいないし。

登山届を提出したあと、登山口手前で一列になり、検温されます。
すでに曇ってきちゃったなぁ。
蒸し暑い。

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6:15
はじめは意識してゆっくり歩きます。
15分で標高100m上がっていく感じ。
高尾山と同じくらいのペースでしょうか。

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6:45 第一ベンチ

雨がパラパラ、たまに陽も差しますが雲が優勢です。
やっぱり前倒しかな?

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7:05 第二ベンチ 標高1800mほど。
この少し前にある鉄骨より手前にリンギョソウが、ひっそり咲いています。

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第二ベンチ過ぎると、少し風を感じるようになります。
静かに歩きたいので、後ろから足音が聞こえれば水を飲んで休憩しているフリをして抜いてもらう。
でも、また抜くことになるんですよねぇ。
なかなか難しい。

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7:40 第三ベンチ
標高は半分に満たないけれど、距離は半分きました。
こんな具合に休憩の目安となるベンチがあるので、ペースを守りやすいのでさないでしょうか。
騒がしいグループと、さっきから前後しているので、ゆっくり塩むすびを食べることにします。

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8:00 体も冷えたし、出発!

北アルプス三大急登と言われますが、道は整備されており、アップダウンもなく歩きやすいアルプス入門の山です。
合戦小屋を過ぎるまでは展望もないので景色を眺めることなく、さくさくと標高を上げられます。
木々の傘がありがたい。
雨が葉を打つ音が強くなってきましたが、大して濡れません。
景色見えなくてつまんないな、って思うのですが、雨風が強いとき助かります。

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8:25 富士見ベンチ

花崗岩が目立つようになってきます。

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8:55 合戦小屋
空飛ぶスイカがやってきました。
実際はスイカだけでなく、いろんな物資が載っています。

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雨だと思ったら、ザックカバーだけは早めに装着します。
濡れて困るものは防水の袋に入れているけれど、ザックが濡れたり汚れると面倒なので。
雨に濡れるのは涼しくなっていいのですが、どうせ汗でビショビショですし、でも風はダメです。
冷えすぎてしまう。
標高も2000m超えていますし、レインウェアを上だけ着ます。

9:15 トイレを済ませて出発。
途中のトイレは、ここだけ。

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9:30 合戦沢ノ頭
いつもは槍ヶ岳がどーんと見えるんだけどな。

やっぱりポンチョの方がいいな。
レインウェアの下をはかないと濡れる膝上もカバーしてくれるし。
燕山荘までは風の強い稜線歩きがないので、まくれ上がることもありません。
明日は大天井岳まで天空の散歩道ですが、天気がよくなければ、そもそも行かないわけで…
ザックカバーもいらないし、下が開いてるから涼しく、いいことだらけなのに。
判断を誤った!

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あと1時間弱、足を前に出しさえすれば必ず着く。
とぼとぼ、がんばろー。
普段なら、小屋が見えるはずだけど見えない。
真っ白けっけ。
幻想的だなー。

続きます。

北アルプス 燕岳(つばくろだけ)へ その1

勤務明け、髪を短く切って、でっかい塩むすびもつくって、準備万端。
白馬行きのバスに乗り込みます。
普段なら間違いなく高速バスで向かうのですが、今は少し不安でした。
電車にしたほうがいいのかな。
高速道路を眺め、山中湖などへ向かうバス以外はすいているのを確認して、今回高速バスにしたのだけれど…まさか、3人しか乗っていないとは。
高速バスがなくなったら本当に困るけれど、減便してもこの利用率では、バス会社も相当きついですよね。

双葉サービスエリアで、恒例の「鯵の唐揚げ」を探しました。
屋台でなく、建物内にうつっていました。
良かった、なくなったかと思った。
夕方のせいか、半額だったので塩と醤油を購入。
からしっぽまで、パリパリと全部食べられます。
喉がとても乾くけれど。

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しばらく、左前方にぼやーっと沈みつつある太陽を眺めていたら、諏訪湖が見えてきました。
でかいよなぁ…
一周したいなぁ。
まだ暑さは残っているのでしょうが、空は柔らかな色になり、暮れゆく準備をしています。
周りの山々のシルエットも淡いグレー。
このゆっくりした時間を、山で過ごすのが大好きです。
普段は忙しい時間帯ですが、山では夕陽をみることと、ご飯を食べるくらいしかないですもん。

明日は夕陽みれるかな。
明後日は朝陽みれるかな。

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今夜の宿は、あづみの池田ゲストハウス。
穂高駅から車で10分ちょっとです。
送迎があり、明日の5:15発のバスにも間に合うように送ってくださいます。
コロナ対策で、グループごとに1部屋なので、4つベッドの部屋を1人で使います。
なんだか申し訳ない…。

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部屋にエアコンはありませんが、1台の扇風機と、各ベッドの枕元にミニ扇風機があります。
真夏はちょっと暑いかな。

シャワーが借りられますが、湯船はナシ。
人数が揃えば、19:00頃に温泉へ送ってくださるようです。

あー、勤務明けでともかく眠い。
今日は1時に起床でした。
高速バスの中では、あえて寝るのをガマン。
あとは、明日にそなえてぐっすり寝るだけ!

私の山開きは、明日です。

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闇が好き

勤務明け、図書館に寄りました。
何ヶ月も閉館していたけど、7月から少しずつ元に戻り、棚から本を選べるようになったことが嬉しい。
こんな本と出会えました。

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「闇と暮らす。」

私はナイトハイクが好きなんです。
マジックアワーハイク - 山、はじめます。
このブログでも以前書いたことがあるのですが、山はただでさえ非日常なのに、朝陽をみるために闇の中を歩こうとする。
闇に一歩踏み出す、あの瞬間。
暗くて怖いのに
「どんな景色が待っているんだろう」
高校からソフトボールをしていましたが、その試合よりずっと興奮します。

もちろん、昼に歩く以上に気をつけなければならないことはたくさんあります。
そんなことが苦にならない楽しさ、おもしろさがナイトハイクにはあるんです。

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ゴールに朝陽、というご褒美があれば尚いいのですが、それがなくたっていい。
闇に慣れた私の目は、こんなに見えるのか! と驚かされたりもします。
視覚だけでなく、全身で闇を満喫。

読み始めたらとまらず、洗濯機の終了のブサーも聞こえないほど、一気に読み終えました。
八丈島の闇も歩いてみたいなぁ。

そういえば、以前、伊豆大島でナイトダイビングをしたとき。
ダイビングを終えて、海面にぽこり、と顔を出したら遠くに輝く光の集合体に驚きました。
なんて明るいんだろう。
あれは何?

東京の光でした。

なんと…

伊豆大島は、竹芝桟橋から高速ジェット船で2時間弱もかかるんですよ。
その距離をものともしない眩さ。

その明るさと対極の、真っ暗な海にぽつんと浮かぶ頼りなさ。

私は、やっぱり闇が好き。

冬のほうが空気が澄んでいて夜景もきれいだろうし、虫もいないけど…
梅雨があけたら、まずは高尾山にナイトハイクに行こうっと。

穂高岳山荘のオンラインショップ

今夏は富士山の山小屋をはじめ、休業をすでに決めたところも多くなっています。

1月に計画していた山歩きも、半分以上は変更(というか、来年以降に延期)です。

コロナウィルスだけでなく、度重なる豪雨の影響で登山道の整備が追いつかない、なども出てきそうです。

 

山小屋の宿泊は、ハイシーズンであれば1つの布団に2~3人が当たり前になっていましたが、今は詰め込めるわけがなく、収入が大きく減ってしまうでしょう。

どこの山小屋も、誰かにとって大事な場所に建てられており、経営がたちゆかなくなって、廃業になっては困ります。

「テントで泊まる」という場合も、水やトイレ、冷えたビールなど、山小屋があるからなのです。

 

穂高岳山荘のHPで、このページを見つけました。

穂高岳山荘 公式オンラインショップ

 

山小屋に泊まるときはもちろん、途中に寄る山小屋でも、その山小屋だけでしか売っていない手ぬぐいなどを購入するのが楽しみなんです。

下山したら手ぬぐいが5枚も増えてた、なんてことも。

 

少しでも売上の足しになれば、と1泊2食分の代金と同じ、1万円ほどをオンラインショップで購入しました。

普段だと、手ぬぐいやバンダナが1000円を超えるとちょっと躊躇してしまうのですが、今回は「1万円買う!」と決めています。

何のためらいもなく、好きなものを買えました。

まぁ、躊躇すると言っても、結局は買うことの方が多いんですけどね。

だって、やっぱり欲しいってなったときに、そこまで行くの大変ですよ?

歩き始めて2日たって、ようやく着く山小屋だってあるんです。

「片道何時間かかると思ってるんだ!」と、自分に毎回ツッコミをいれるのです。

それにその年にしか売っていなかったり、在庫限りということもありますから。

言い訳のオンパレードになってしまいました。

 

今年、いくつか山歩きを予定しています。

そこでも同じように少しでも売上に貢献できるように、いつもよりちょっと多めにお金を持って行こうと思いました。


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山小屋で働くみなさん、例年以上に仕事も増えるでしょうし、神経をつかわなくてはいけないことと思います。

それでも、私たち登山者を受け入れてくださろうとしていること、ありがたく思います。

「こんなときに登山?」と批判されることもあるかもしれないこと、想像がつきます。

今までのように、「山に行くんだー!」と、おおっぴらに言えません。

けれど、お酒が好きな人がお酒を呑むように、映画を好きな人が映画を観るように、山を好きな人がいます。

山小屋で働くみなさんに感染させないよう、体調管理を含め、きっちり準備をして山に向かいます。


山で迎えてくださり、ありがとうございます。