登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

印傳のポーチ

1ヶ月迷って、ついに印傳(いんでん)のポーチを購入しました。

印伝 - Wikipedia

出会いは、南アルプスから下山して甲府で鶏もつやほうとうを食べて、高速バスの時間まで腹ごなしにブラブラしていたとき。

たまたま通った道に、専門店があったのです。

 

この格好で入ってもいいものか…と躊躇するくらいの高級な感じ。

ひとつ手にとると、なんともいえない質感と、思ったよりも軽い印象をうけ、柄の豊富さに驚きました。

伝統モノというイメージにはまらない、鮮やかな柄の数々。

 

なにかひとつ買って帰りたい、と思いました。

でも、どの柄もステキで迷う。

バス停に戻らなくちゃいけないから、あと20分で決めなければ。

あ〜、あ〜!

と焦り、結局そのときは買わずに帰りました。

 

それから、各所で印傳が目につくようになります。

好みでない柄ももちろんありますが、やっぱり迷って「これ!」と、決められない。

 

こんなにステキな柄ばかりなのだから、パッチワークみたいにしてくれればいいのに!

と思い、調べてみたらあったのです…

浅草前川印伝|印傳|財布・バッグ・合切袋

 

しかも、欲しいサイズぴったりではないですか!

印傳は、工程を知れば当然と思うのですが、安いものではありません。

13,200円というお値段はなかなかのもの。

そんな金額のカバン、買ったことないし。

まして、ポーチ。

山のザックなら20,000円以上しても、なんとも思わずに買うのになぁ。

 

一旦、心を沈めよう。

でも、自分が、こんなものあったらな…と思うものがあったことの喜びのほうが勝っています。

少し日にちをあけて、それでも欲しい気持ちが変わらなかったら買おう。

 

その後、お聞きしたいことがあり問い合わせをすると、ポーチは制作中とのこと。

できあがったら連絡します、と言われて猶予ができました。

 

3週間後、完成の連絡がきました。

2種類の柄から選び、買っちゃった。

写真は、表と裏です。

 

3日後、届きました。

ひとつひとつ、手でなぞりながら柄を眺めます。

きれいだな。

買ってよかった。

大切につかおう。

 

 

両親と秩父へ その2

秩父温泉 ゆの宿 和どう【公式】秩父七湯の和銅鉱泉

朝ごはんです。

昨日の昼、売り切れで食べられなかった味噌ポテトが2つ添えられていました。

前は食べ放題だったんだけどなぁ…

母が、これに大ハマリ。

おいしいよねぇ〜。

明日の朝も、きっと出るよ。

私も大好きです。

連泊ですから、宿に不要な荷物を置いて長瀞へ出発!

両親がポスターを見て、「これやりたい」と言った長瀞ライン下りは、3/1〜9まで休業中でした。

あちゃー。

父が「お前とくると、いつもこうだー」

確かに!

栃木の道の駅で年に2日しかない休業日にあたって、真冬に凍えながらバスを待ったりしたこともあったねぇ。

それを言えば、私にとっても父がそうなのですが?

こんなことでワーワーキャイキャイ笑えるのも幸せだと思うのです。

ほかにもパターンがあり、

「お前と出かけるといつも晴れだけど、(私の)妹とはほとんど雨だ」

それ、言っちゃダメなやつ!

妹がプリプリしてる顔が目に浮かぶ…

川下りは残念でしたが、それでも長瀞はいいところ。

とうふランチをしたかったけれど、うめだ屋は水曜日が定休日。

まずは、阿左美冷蔵へ。 

・柚子のかき氷

・しずく餅

・ほうじ茶のアフォガード

う〜ん、初めて食べたときの感動は、もうないなぁ。

20℃近く暑い日だったのにビックリするほどガラガラだから行ったけど、もう行くことはないかも。

かき氷がおいしいお店も、たくさん出てきてますしね。

 

宝登山神社も、いつ来ても美しいなぁと思います。

寶と寳、どっちの字が正しいんだろう?

 

ロープウェイで山頂まで〜と思ったら、晴れてるけど空が霞んでるからいいや、って。

じゃあ、岩畳へ行こっかね。

宝登山神社から1キロ。

両親にあわせて、ゆっくり歩きます。

一緒に来れてよかったな~。

岩畳の大きさに驚き、キョロキョロする両親。

これだけ驚いてくれたのですから、川下りができなかったのが悔やまれます…

 

夜ごはんが品数いっぱいだろうから、昼は蕎麦にしよう。

しゃくし菜飯もつけちゃう!

 

タンサンまんじゅうとは何?

重曹でふくらませてるから、だそうです。

中は粒あんで、もちもちして好み。

 

宿へ戻り、汗を流します。

露天風呂にゆっくりつかりたいのに、クシャミ鼻水がひどすぎて10分で終了。

ちぇっ。

なかなか、汗ひかないなぁ。

味噌ポテトにかかっているタレをジェラートにかけたものを注文し、部屋に持ってきてもらえました。

甘じょっぱくて、うまい〜。

もっと食べたいわ。

 

今夜のごはんは、懐石コースです。

器がどれもすてき。

そして、おいしい…

ちらし寿司には、土筆(つくし)がのっていました。

土筆を食べるなんて、いつぶりだろう。

 

ここに連泊したのは初めてです。

同じ月の食事を比べられたのはよかった。

3人で8千円ほどの差額でこんなにおいしいなら、これからは懐石プランにしよう。

 

朝、湯につかるとお腹がぐぅぐぅ鳴り出す。

「おいしいおいしい」と、ごはんをおかわりする両親を見て、宿での4食すべておいしく、珍しいものを食べてもらうことができて、ほんとによかったなぁと思いました。

 

館内の各所にあるツボを眺めたり、ロビー脇のテラスから河原へ下りたり。

のんびり過ごして、チェックアウト。

3日とも快晴だったな~。

 

わ!

秩父鉄道で、すてきな車両に乗れました。

たまに動物柄の車両に乗ったことはありましたが、秩父神社モチーフの車両は初めて。

ほんとにきれい〜。

車内も秩父神社ばかり。

 

御花畑駅の「はまゆう」で、味噌ポテトを2パック買いました。

さすがに、今はうどん食べられない。


西武秩父駅で、いつものジェラート

今回は「そばの実」と「いちごミルク」にしよう。

うまぁ〜。

さっき買った、みそポテトも食べちゃえ。

大きなジャガイモが、私のお腹へどんどん吸い込まれていきます。

この甘じょっぱいタレ、ほんとにやばいな。

お腹いっぱい…

 

豚肉の味噌漬けを父に、秩父銘仙の小銭入れを母に贈り、刺し子のトートバッグを自分に。

 

西武池袋線の沿線は、花でいっぱいでした。

窓から景色を眺めながら、旅行を振り返ってくれていた。

両親が「楽しかった!」と言ってくれたのが、ほんとうに嬉しかったです。

また行こうね。

 

両親と秩父へ その1

先日、母に

「よく秩父へ行くみたいだけど、そんなにいいところなの?」

と聞かれました。

秋~冬にかけて、確かに秩父の山へ毎年行きます。

「片道2時間もかけて?」と思うのでしょう。

都心ではないですが、都内に住んでいれば、たいていの山は片道2時間以上かかるものです。

「山もいいんだけど、長瀞ってところがあってね~、広い岩畳でぼんやりして、宝登山神社でおまいりして、山を歩いて、おいしいもの食べて、楽しいよ」

と答えると

「行ってみたい!」

と。

父とはよく出かけますが、母がそう言うのは珍しい。

両親も、80代半ばと70代半ば。

行きたいと言ってくれるところへ、元気なうちに一緒に行きたい。

そこで、花粉がおっそろしく飛んでいるであろうこの季節に、秩父へ行くことにしました。

 

1泊だと移動だけで疲れてしまうので、ちょっと奮発して連泊して、真ん中の日に長瀞で過ごすことにしました。

秩父温泉 ゆの宿 和どう【公式】秩父七湯の和銅鉱泉

ここは、ツレとたまに宿泊しています。

月替わりの懐石料理は毎回おいしくいただけますし、お風呂や部屋も好み。

早起き(2時過ぎ)してしまう父がいるので、3人なのに2部屋のプラン…

金額はけっこうアップしますし無駄だなぁと思いますが、快適に過ごすための必要経費。

まぁ、大人が川の字で寝なくてもいいですよね。

 

池袋駅から特急で秩父駅へ。

池袋線 特急ラビュー :西武鉄道Webサイト

父は乗り物が好きなので、こう決めただけでワクワクです。

両親は都心に出かけることなんて、年に1〜2度。

キョロキョロしまくって、人にぶつかり…

見事なオノボリさんっぷり。

申し訳ありません…と何度謝ったことか。

それでも楽しそうな顔を見るのは嬉しいのです。

池袋のデパ地下で、桜餅と草餅を購入。

「コドモかよ!」ってくらいに身を乗り出して、くいいるように外の景色を見ている父。

ほんとに乗り物からの景色が好きなんだね。

行き先を示す液晶画面の隣には、先頭車両(運転席)からであろう映像がうつります。

トンネル走行中の映像がすてき。

座席に座っていると、真っ暗な壁しか見えません。

行く手の光がどんどん大きくなり明るい世界へ続く。

トンネルは何度も通るので楽しみました。

 

西武秩父駅から、秩父鉄道御花畑(おはなばたけ)駅へ。

雲ひとつない青空が広がっていて、嬉しくなります。

先日寄った「はなゆう」で、かるくお昼ごはん。

立ち食いソバとなっていますが、丸椅子が5つあります。

あー、みそポテト完売かぁ…

天ぷらうどんにしました。

うどん、うま!

ソバと迷ったけど、うどんにしてよかった。

次はキノコうどんにしよう。

 

すぐそばの「慈眼寺」へ。

ここは、眼のお寺です。

いつまでもすてきな景色を見られますように。

さくらんぼ柄、春の御朱印をいただきました。

 

歩いて数分、秩父神社へ。

写真の左下に三猿がいますが、日光東照宮の「見ざる言わざる聞かざる」ではなく、秩父神社は「よく見てよく聞いてよく話す」だそうです。

ほんとに鮮やかで美しいです。

 

秩父駅から2駅、和銅黒谷駅へ。

チェックインまで、まだ時間があります。

歩いて5分の聖神社で、金運を…

一生、ごはんに困りませんように。

行きたいところへ行けますように。

正月に高尾山でひいたおみくじがあまりにひどかったので、ひく。

吉!

 

宿の車が迎えにきてくれました。

きっと、いちばん風呂だ〜!

思ったとおり、お風呂には誰もいません。

ノビノビ~。

深夜に男女が入れ替わります。

もうひとつのお風呂が、露天風呂が大きいほうです。

 

お腹がすいたぞ。

夜ごはんです。

今夜はベーシックプラン「春の訪れ」という献立でした。

ハマグリの土瓶蒸しが出ました。

そうか、土瓶蒸しって松茸だけのものじゃないよね。

 

茎蓮根なんて、初めて見ました。

細っこいのに、ちゃあんと穴があいている。

いちばん近い画像がこちらです。


まだお腹に余裕あると両親が言うので、別注料理を…と、キジのしゃぶしゃぶを頼もうとしましたが、今日は用意できないとのこと。

残念。

1月、河口湖の山へ登りに行ったときに、キジの刺身や、つくねが入ったほうとうを食べておいしかったから食べたかったなぁ。

 

寝る前に、満月を眺めながら湯につかってぐっすり。

露天風呂に入ったのが失敗で、クシャミがすごいですけど。

やっぱり秩父の花粉は、すげー。

 

続きます。

南房総へ

千葉県の館山、明るい海を見ていると1年半前に潜った伊戸の海を思い出します。

視界いっぱいに、サメが餌(定置網を食い破られないようにするため、朝夕に餌カゴが沈められます)を求めて暴れ狂う。

すごい迫力でした。

顔が怖いのに、歯が尖っていないので噛まれても全然痛くない。

そのギャップがおかしくて、海の中でゴボゴボ笑いました。

インストラクターさんと、ふたりっきりで潜れた幸運もあります。

人間が視界に全く入らない(インストラクターさんもどこかで写真を撮っていたと思われます)ため、目の前でおこっている非現実感いっぱいの光景に没頭できました。

 

房総半島の先っぽ、千倉で朝焼けを見ました。

この色に染まったのは一瞬。

 

こちら方面へ遊びに来ると、食べるお店は決まっています。

お昼ごはんは「浜の郷」

ツレはアジのたたき、私は丼が気に入っていて、もう20年くらい通っています。

浜の郷 (ハマノゴウ) - 千倉/海鮮 | 食べログ

 

そのあと、崖観音へおまいり。

崖と一体化しているんです。

大福寺

ご本尊は、損傷が激しいらしく少ししか見えませんが、天井画が見事です。

南房総の植物を中心に描かれているそうです。

護摩も焚いてくれるので、お願い事を書いておさめます。

景色もいいですね~。

 

那古観音も行ってみよう。

本堂では、天邪鬼がくつろいでいました。

とぼけた表情がかわいい。

堂内は撮影禁止でしたので、お見せできないのですが…

体が大蛇、髪を振り乱して鬼のような形相の女性の像(?)にビビりました。

ご住職に聞いてみたところ「安珍清姫」伝説だそうです。

安珍・清姫伝説 - Wikipedia

なぜ、ここのお寺にあるのか?

分かりませんが、ともかく恐ろしい表情でした。

 

そのあと、ツレと1年ぶりに「ろくや」へ。

南房総 岩井海岸 岩井湯元温泉の網元の宿ろくや 公式サイト 磯料理と温泉と海水浴の宿。

ここの料理が大好きです。

貸切でゆっくり入れるお風呂も好きですが、なんてったって刺身と翌朝の干物!

接客もすごくいいんです。

17室の宿ですが7つも貸切風呂があります。

そのうち3つは、1年前に新しくなったそうできれい。

2人なら、どこでもゆったりつかれます。

温度もちょうどよく、いつまでも入っていられそう。

いちばんのお気に入りが、この八角形のお風呂です。

 

部屋の冷蔵庫にあるおやつをいただいて、お昼寝をして。

このおやつ、内容がいつも違うので楽しみなんです。

桜のマカロン、なんて季節を感じますよね。

ごはんだ~。

今月のメニューは、こちら。

これが通常プランですが、本当にお腹いっぱいになります。

左下、カリフラワーの摺り流しなんてどうやって思いつくの?

おいしーい。

「マグロの兜焼き」はデカすぎて食べきれないので「季節の煮魚」を選択。

鍋も、お腹がたっぷんたっぷんになるので事前に伝えて「あら汁」に変更してもらっています。

 

春の魚の舟盛は、こちら。

12種類も!

鯛づくしでした。

シメのとろろご飯も最高~。

デザートも、3種類から選べます。

どれを選んでもおいしいと思います。

 

たっぷり寝て、朝ごはん。

朝ごはんは、いつも同じですがおいしくて飽きません。

ツレは金目鯛、私は鯖の干物です。

 

最後に、館山駅近くの「寿し甚」でお寿司。

寿し甚 (すしじん) - 館山/寿司 | 食べログ

シマアジって、なんでこんなにおいしいんだろう。

すまし汁仕立てのあら汁も大好き。

 

木更津のアウトレットに寄りました。

目的のものは見つかりませんでしたが、ゴルフのお店が目につくのです。

ゴルフを始める前は、こういったお店はもちろんゴルフ場も全く目に入りませんでした。

見ようとしないと見えないのかもしれないですね。

 

【公式】京都宇治 茶想もりた園

ここで軽食とかき氷をいただきました。

でかいな…

ほうじ茶のかき氷にのっているふわふわの白いクリームもおいしくて、大満足。

 

おいしい旅でした。

 

過去の遭難に学ぶ

山と渓谷」や「岳人」を毎月、読んでいます。

15年以上読んでいますので、毎年、似たような記事もありますが、ある年から遭難の特集は全て読むようになりました。

以前は、自分が行く山域のときにだけ、遭難に至った原因に目を通すくらいだったけれど。

 

数年前、北アルプス朝日岳から白馬岳へ向かう際に、台風の猛烈な風と雨にでくわしました。

台風の影響があらわれる直前の透き通った快晴の空のもと、

「やっぱり歩いてよかった〜」

なんて、ノンキに満面の笑顔で歩いていた自分を、今でも張り倒したいくらいです。

 

その1時間後に天気が急変するんだよ、と。

10キロ近いザックを背負ったガタイのいい私の体が、這いつくばっているにもかかわらず持ち上がるほどの風が吹き荒れました。

 

台風の接近は知っていました。

その前に山小屋へ到着できるはず、でした。

その頃は、地図に書かれているタイムの6〜8割でいつも歩けていました。

過信が、間違った判断につながったのだと思います。

 

朝日岳から白馬岳の標準タイムは8時間以上。

もちろん、休憩は含みません。

いつもよりもペースを速めるよう意識はしていたけれど、絶景に目と心を奪われ、景色を写真におさめながら…では、極端にタイムが縮まるはずがありません。

そして、風を感じ始めた瞬間、猛烈な風になりました。

横から、前から、後ろから。

遮るものなく、風は自由にバラバラの方向から吹き荒れます。

白馬岳の山頂までは10分ほど、山頂から山小屋までは20分強。

あと30分以上、この風の中を歩くのか。

 

間もなく雨も降り始めるかもしれない、と岩陰の地面に膝をつき、レインウェアの上だけを着て、ザックの中身が濡れないようにカバーをかぶせました。

レインウェアの下をはくのは時間がかかります。

その時間も惜しかった。

着替えのズボンを持っているから、30分の距離なら濡れてもかまわないと思いました。

 

レインウェアを着て、1分もしないうちに風と雨が全身をたたき始めました。

突風がくるのを感じ取っては耐風姿勢をとり、少し弱まったときにダッシュする。

これを繰り返します。

すごく長い時間に感じました。

ダッシュといっても、視界がクリアではないので、地面が見えているところを進むといった感じでした。

 

手をのばした少し先くらいの距離しか見えないほど真っ白になった視界に、いきなり建物が現れたときは本当に嬉しかった。

そして、二度とこんな判断ミスはしない、と決めました。

 

戒めの気持ちを忘れぬよう、他人事ではない遭難の記事は必ず読みます。