登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

やっちゃった…日焼け後の救世主ワセリン

何度助けてもらったか…

白色ワセリン

安く売られているものではなく「白色」とついているもの。

ジャータイプより、チューブになっている方が衛生的に使えます。

 

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もっと小さいサイズが欲しいけれど…

日焼け後だけでなく、日焼けする前にも塗ります。

顔だけでなく、手や唇(唇にはベビーワセリンのチューブタイプのリップを使用しています)、日焼けしがちな耳や首の後ろもカサカサになりますから。

ワセリン様、山でも大活躍です。

もちろん日常の手荒れ、かかとのガサガサにも毎晩つかっています。

眠る前だけでなく、できれば日中も数回できると手荒れは改善していきます。

手に塗ったあとに作業するなら、ティッシュで押さえるとべたつきは軽減されます。

 

手のひらに出して、両手を合わせて温めれば少量でもよくのびます。

 

山では、ハンドクリームを別に持つより、兼ねられるものは兼ねましょう。

それに、ハンドクリームは香りがついているものが多いです。

甘い香りは虫が寄ってくることもありますし、山小屋など他人と生活する狭い空間で使用するなら、その香りが好みでない人に迷惑にならないようにしたいものです。

 

 

日差しの強い山では1年中、日焼けには気をつけなければなりません。

しかし、数年前の5月、涸沢でやってしまいました。

北アルプスは残雪シーズンです。

日焼けを気にしない私でも、雪の照り返しはヤバイということは知っています。

5月なら気温もそんなに高くありませんし、夏のように日焼け止めを塗って数分後に汗で流れ落ちることもないでしょう。

「今回はちゃんと塗ろう!」と2回分(夜行バス+1泊2日なので)の小分けパックを持ちました。

眼も日焼けするっていうし、サングラスして歩こう。

対策は万全です、私にしては。

 

そして上高地行きの夜行バスを待っていた、21時過ぎの新宿のバスターミナルで思いついてしまったのです。

私が汗で流れた日焼け止めを塗り直さないのは、手が汚れるからです。

キシキシしたり、白くべたついたり。

塗ったあとに必ずウェットティッシュを使いたくなる不快感なのです。

ジェル状の日焼け止めも試してみましたが、思ったほど使用後の手はサラサラではなかったので、やはりウェットティッシュで拭わなければなりません。

ウェットティッシュ…少しは持って行きたいけれど、かさばるしゴミになるし、そんなにたくさん持ちたくありません。

 

その頃のターミナルの近くにはコンビニがあり、いつも翌朝・昼のパンを買っていました。

「さっきのコンビニで、化粧用のスポンジ売ってるかな」

すごくいい思いつきだと思えました。

普段、きちんと化粧をしている人なら真っ先に思いつきそうな案ではありますが…

「私、天才かも」そのときは本当にそう思いました。

24時間もたたないうちに違うって判明するんですけどね。

 

スポンジで塗れば手が汚れないから、いくらでも塗り直せるではないか。

習慣になっていないからきっと塗り直さないけれど、選択肢になる。

再びコンビニへ。

スポンジ…あった!

もう、思いつきにウキウキですよ。

翌朝、気温が氷点下の上高地バスターミナルへ到着しました。

いつも水筒に補給する水道も、凍っていて出ません。

水、持ってきておいてよかった~。

湯を沸かすのを待つ間に、さっそくスポンジに日焼け止めをつけて顔に塗りこみます。

やっぱり手、汚れない!

 

上高地から歩き始めて横尾までは散歩です。

横尾の橋を過ぎ、けっこう歩いてから雪道が始まりました。

天気は快晴!

照り返しで肌が焼かれる感覚がありましたが、「肌に注意が向いているから気づくんであって、普段なら何とも思わないんだろうなぁ」と、どこまでも前向きでした。

山小屋に到着後も、ずっと外でぼんやり。

汗もあまりかかなかったから、日焼け止めも落ちてないだろうし。

太陽に顔を向けて、ストレッチをしながら暖かな光を全身で受け止めます。

 

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私は日焼けしたいのです。

高校生まではコパトーンのサンオイルを塗って部活をしていました。

ただ、まだらになったり、部分的に黒くなる(=シミ)のはイヤなんですよね。

全体的にこんがり黒くなりたいのです。

じりじりと焼けていくのが分かりましたが、日焼け止めを塗っている安心感は相当なものでした。

きれいに焼けるのが楽しみでした。

 

夕方、他のお客さんのガイドさんに「ずいぶん焼けちゃいましたねぇ~、大丈夫ですか?」

えっ?

大丈夫って言われてる?

確かに昼間より、ヒリヒリする。

遭難した際に自分の居場所を知らせるために、小さな鏡をザックに入れているのですが(他のときも使えよって感じですね)それを取り出して顔を見て、言葉を失いました。

そりゃ初対面でも「大丈夫?」って聞くわ。

私でも聞く。

ところどころ、赤く水ぶくれ。

唇、左半分の周囲にもびっしり細かい水ぶくれ。20個ほど。

右の頬、真ん中だけ三日月の形に白い。

 

日焼け止めは立派に仕事をしてくれていました。

その三日月だけ、塗れてたんですね。

ちゃんと白いや!

 

下山して友達に聞きました。

「あー、新品のスポンジだと特に吸い込むからねー」

そうなんだ…

「ちゃんと鏡見て塗らないからだよ」

おっしゃる通りです。

 

翌朝、鏡を見る気にもなりません。

顔に触れてみると熱い。

触れられないくらい、痛いところもある。

こんなんじゃ、日焼け止め塗れないや。

そして、今日も快晴。

 

新緑を楽しむ観光客でいっぱいの上高地に戻ってきました。

すれ違う人たちに二度見されたり、驚かれたり。

女性にはけっこう声をかけられました…

「すぐに皮膚科へ行った方がいいわよ」

そんなですか…心配してくださってありがとうございます。

はちみつソフトクリームを食べる気にもならない。

心のダメージは重いです。

 

路線バスで、バスターミナルの温泉へ。

必ず入る大好きな露天風呂につかり、いつもの習慣で顔に源泉をパシャ。

どんだけアホなんでしょうか。

痛くて痛くて、湯船でずっと無言で足踏み。

 

せめて保湿を、とワセリン塗って顔をテカテカにして新宿行きの高速バスへ。

何回、声をかけられたか思い出せないくらいです。

ワセリンは塗って良かったそうです(皮膚科医に確認済)。

そのあと、水ぶくれは破けカサカサに。まぶたも腫れ、笑うのも喋るのも食べるのも痛い。そのときにもワセリン様。

 

翌日、申し訳ない思いでいっぱいになりながら出勤。

人前に出るシフトを、しばらく外してもらわなければと思いました。

「え? いつもと何か違う?」

上司の一言…出勤したときに会った出入りの業者にも驚かれたのに?

毎日会っているのに、それですか?

同僚が「え…相当ひどいですよ」

「そう? 分かんないけどなー。でもイヤなら、みんなで(シフト)まわしてくれればいいよ」

顔に大小合わせて水ぶくれ30個以上あるのですが?

風呂上りでもこんな色にならないってくらい、赤黒いですが?

それなのに「いつもと同じ」って…笑いがとまりませんでした!

(1ヶ月後には顔の皮が剥け終わり、元通りになりました)