登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

四国一周へ 2017年秋

新型肺炎

感染爆発が懸念されていた都道府県だけでなく、全国に緊急事態宣言がでました。

今年のお正月、当たり前に過ごしていた日常がいつ戻るか分からない。

けれど、医療従事者への感謝の気持ちを忘れることなく、私は仕事に行き、ご飯をいっぱい食べ、よく眠り、風邪をひいたりして誰かの手を煩わせることのないように、毎日を元気に過ごしたいと思います。

 

山を歩くのは当分、先になってしまうでしょう。

四国に行った頃はブログなどやっておらず、ノートに日記のようにメモしていただけでしたが、いつかまとめたいと思っていました。

この機会にここに書いてみようと思います。

 

今から約2年半前の2017年秋。

在籍10年目に突入した会社を辞めて、私は四国へ行きました。

 

昔からたくさんのお遍路さんが歩いてきた道を、いつか私もたどってみたいと漠然と思っていました。

「お遍路」は、大切な思いや誓いを胸に歩く方が多い道です。

信仰心もなく、迷いや悩みもない、そんな自分がその道へ混ざっていいのか分かりませんでしたが、日常でもよくお寺や神社には行っており、好きなのです。

「パワースポット」という言葉には違和感を覚えますが、緑が多いせいもあるのでしょう、私にとって落ち着ける場所なのです。

 

白装束をまとうことはやめました。

思いがともなわないのに、正装は失礼だと思ったからです。

今でも、どうすればよかったのかは分かりません。

遍路道をたどるのですから、その地で暮らす方々に失礼のないように、思いがともなわないこそ、やはり白装束の方がよかったのか。

 

般若心経を唱えることはできるけれど、御朱印をいただくスタンプラリーのようになってしまわないか。

でもやっぱりお寺は好きな場所だから、いろんなお寺との出会いを楽しみにしながら、感謝の気持ちをつなぐ旅にしたいと思いました。

 

お寺って不思議ですよね。

どのお寺でもいいわけではないんです。

門をくぐった瞬間「あ、ここ好きだ」と思うお寺って、そうそうない。

そんなお寺では、深呼吸しているだけで長い時間がたっている。

これも出会い、だと思います。

 

2週間前に京都の東寺へ行き、空海さんへ

「いってまいります!」

をしてきました。

弘法大師」ではなく「空海さん」と呼んでいる四国の方々の真似をして、私も途中から大師堂(本堂の他に必ず大師堂があります)で「空海さん」と呼びかけていました

 

御守りも買った。

ワクワクではないけれど気持ちが盛り上がっていました。

山へ向かう前日とも違う。

うまく言葉にできない、高揚感がありました。

東寺で大きな大日如来に圧倒されたからかも…

写真は撮れないので、絵葉書を買いました。

 

「いってまいります」は京都の東寺へ。

「ただいま」は和歌山の高野山へ。

この一言を伝えに行く旅というのもいいと思いませんか?

「身は高野、心は東寺に納めおく」と書いてありました。

実はまだ、高野山に行っていないのです。

だから私の四国一周は終わっていないんですね。

早く「ただいま」と言いに行きたいな。

 

旅行者がこんなに長く滞在する県は、ほかにないのでは?

全長1,400km。

一本道でなくて、ぐるりととじる巡礼の道って世界にもあるのでしょうか。

全てを歩くとなると、一般的に2ヶ月と言われています。

88のお寺だけでなく、「別格」と呼ばれている20のお寺も足すと、もっと日数がかかります。

1日でいくつものお寺をまわれる日もあれば、丸1日歩いてひとつのお寺にも着けない日もあるんです。

けっこう序盤に出てくるので、海沿いの道で景色には癒されるかもしれないけれど…

 

途中で出会った中には、毎年歩いているというご年配の方もいて驚きました。

今も誰かがあの道を歩いているのかな、と思うと不思議です。

今も昔もこれからも、誰かがずっと歩くんだな、と。

 

 

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