初めて宿坊に泊まった翌朝。
台風で朝ご飯の配達がないとのこと。
ザックは置かせてもらって、おまいりに必要なものだけ持って4番と5番の札所へ向けて出発しました。


途中、お遍路小屋と呼ばれている道端の小屋で寝袋にくるまっている男性が。
イメージとしては、田舎にあるバス停です。
何人か座れるベンチがあって、雨や風をよけられる小さな小屋。
う~ん、確かに宿泊費は浮くけれど…
ちょっと怖いなぁ。
山ならテントでも怖くないのに、道端は怖い。
山は、山を歩くことが目的の人ばかりで、悪い人はいない(と思いたい)。
でも誰でも通れる道は怖い。
「金を出せ」って言われたらどうすればいいの。
「お金がないからここに泊まっているんです」で通用するのでしょうか。
歩き始めて2日目。
なるべく「昔ながらのへんろ道」と書かれている道を選んで歩くも、気分が盛り上がらない。

やっぱり山道がいいよぅ。
みっともない話ですが、大してアップダウンのないコンクリートの道、住宅街を歩くことに、たった2日目で飽きてしまったのです。
山道なら1日10時間歩いても飽きないんだけどな。
舗装路を恨むなんて筋違いもいいとこ。
いつもその恩恵を受けているのに。
山歩きをしない休日には、知らない街を歩くことが好きなんだけどな。
あれは1日限定だったからなんだ。
初日に1~3番のお寺をおまいりしました。
昨日は台風のため、4,5番をとばし6番におまいり(宿坊に宿泊)したのです。
順番通りでなくてもいいや。
まず6番から5kmほどの距離にある5番「地蔵寺」へ。
大きなイチョウの黄色も、雲間から射し込む光も、本当にきれい。

普段、気がのらないことをしているとき「修行かよ…」とよく呟いてしまうのですが、忘れそうになってしまうのですが正真正銘の修行でした、今は。
これから先に出会う、外国から来て歩いている女性たちの方がよっぽど真摯だった。
おまいりをすませて、五百羅漢を見に行きます。
等身大は珍しく、日本一の規模だそうです。
眉毛が垂れている人多いのね。
おもしろい顔~。
怒っていたり泣き出しそうだったり。
ゆっくり、ひとりひとりの顔を見ました。
姪っ子が見たら泣きそうだなぁ~(ナマハゲの真似をすると泣く)と思いながら。



羅漢さんとはお釈迦さまの弟子で、仏道修行して阿羅漢果という人間として最高の位を得た人です。
喜怒哀楽の表情が豊か!
そして、4番「大日寺」へ。
このときは山門が工事中でした。
山門と仁王像を見るのが趣味なので残念。
空海さんの彫った55cmの大日如来像があるそうですが、秘仏で見ることはできません。
2016年は空海生誕1200年でした。
記念の年にお遍路をする人も多く、このときにほとんどのお寺のトイレがきれいになったそうです。
来た道を戻っていると、四国ナンバーの車のご夫婦が「下まで乗せてあげる」と声をかけてくださいました。
歩くことに飽きていた私は、遠慮する素振りすら見せずに乗せていただきました。
昨日すでに、台風で車でお寺まで送ってもらっていたため、
「全部歩くんだ!」
と決意して、羽田から飛行機に乗ったのはたった数日前なのに、なんの抵抗もなく。
自分の勝手さが恥ずかしいです。
しかし。
心は決まった。
「よし、原付を買おう」
そうと決まればバスで徳島駅方面へ。
徳島大学の近くのバイク屋さんを目指したのに、下車したのは四国大学。
そのことすら分からずにうろうろしていたら、事故現場で誘導していたおまわりさんが声をかけてくれ、
「ここ、四国大学だよ」
バイク屋さんへの道も教えてくれました。
ここから6kmくらいなら、バスに乗らず歩こう。
吉野川、なんてでかいんだ。
歩いても歩いても泥水の上(昨日の台風で濁っていた)だ。
橋の上でだけで徳島駅へ行くバスに3台も抜かれたわ。
迷わずに行ける自信が全くなかったので、素直にバスに乗り数分でバイク屋さんに到着。
ところが、
「(原付は)徳島県に住んでいないと、買えないよ」
そ、そうなの?
しばし考えます。
買えないとなると…
レンタルだと1ヶ月借りてどのくらい?
検索すると、高い!
高すぎる!
屋久島で借りたくらいの金額なら迷わないのに、倍以上する。
結局、実家の父(とても面倒をかけてしまいました)に電話をして、来年買い替える予定だった原付を廃車にした後に、役所で新しくナンバープレートを取得してもらい、宅配便で徳島へ送ってもらって購入することにしました。
1週間以内には乗れるとのこと。

ザックを置かせてもらったお礼と、昨日紅茶などをくださった女性へ渡すお菓子を買って、バスで6番の宿坊へ戻りました。
続きます。