登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

奥秩父 金峰山小屋

小屋に着くと、ほっとします。
ポンチョについた雪をはらって中に入ります。
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ご主人が迎えてくれました。
「なんで半袖? 寒くない?」
ちょうどよいです。
濡れたものを、竿を使って高いところに引っかけて乾かしてもらえます。
乾燥室があるのは北アルプスだけかと思っていたら…ありがたい!
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手ぬぐいと、1泊2食の料金をお支払いします。
山の手ぬぐいは、それを使うたびにその山を思い出させてくれます。
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登り始めは半袖でも暑く、たくさん汗をかいていたので、小屋に着いてすぐ着替えました。
あっと言う間に体が冷えていくのが分かるくらいでした。

トイレは外にあります。
小屋を出て右に10歩。
その中の気温はマイナス1℃。
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手を洗う水、冷たっ!
この水風呂に入ったら、間違いなく心臓とまる…
小屋内はストーブがついているので、ダウンを着ていると暑いくらいです。

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タツでまったり。
水を得るのも苦労が多い稜線の小屋なのに、ココアなど温かい飲み物が、滞在中飲み放題とは…

茨城県から来たご夫婦とぽつりぽつり、今まで登った山のことを話したり、本を読んだり。
今回は北村薫さんの「八月の六日間」を持ってきました。
コロナ対策で談話室の本がない(ここにはありました)ところもありますし、電車に乗っている時間にも読みたい。
山で、山の本を読む。
いいものです。

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ここの住所だ〜。
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15:30頃には雪もやみ、雲は厚めながら燃えるような夕焼けを小屋からすぐの場所で見ることができました。
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外は氷点下なのに、気づいたら40分も眺めてた…
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18:00
待ってました〜、夕食です。
なにこれ!
すんごいおいしそうなんだけど!
チキンステーキ、ポテトサラダ、でかいメロン。
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おかわりにいくと、カレーをかけてくれます。
おかわりお願いします!
「ご飯、どのくらい?」
お皿の半分くらいを指で示すと
「…けっこう食べるね」
スミマセン…お腹すいてしまって。
おいしかったので一気に食べてしまいました。
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55人定員を、今年は20人にして営業しているそうです。
今夜は12人。
ゆったり眠れそう、と思ったのに…寝床は羽毛布団だし快適だったのですが…
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夜中、目が覚めました。
隣の女性のイビキがまじですごい…

トイレに行きたくて目が覚めた、と思うことにしよう。
イビキで起きたんじゃいやだ!

外に出たら…ちょっと期待はしてたけど…
満天の星。
くっきり、天の川。
街の灯り。
風もまったくない、静寂の世界。
何度、息をするのを忘れただろう。
立ち尽くしていました。

夜中のトイレ棟の気温はマイナス3℃。
ということは、外はもっともっと低いはず。
バケツの氷は分厚い。
それでもずっと見ていました。
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5:00前に起き、登山靴にチェーンスパイクをつけて5:15に出発。
くるぶしまで積もっています。
深いところでは、ふくらはぎまで。
爪先がジンジンしてきます。

鹿の足跡を追っていきます。
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こんなに時間がかかっては、太陽が昇るのに間に合わない。
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早く早く、山頂へ。
山頂まで行かないと全く見えないから。

「おねーさんの足跡を追っていけばいいんだよ!」
下からそんな声が聞こえてきます。
いちばんに出発したら、そうなるわなぁ。
自信なし。
雪で道が完全に埋もれている。
ハイマツやシャクナゲかどうか、よく知らないけれど、ともかく植物を踏まぬよう、岩にだけ足を置くように、細心の注意をはらいます。

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5:45
やっと着きました。
富士山だ…
涙が出てきました。
あまりにきれいで。

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5:55
太陽が昇り始めました。

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五丈岩まで行こうと思いましたが、団体さんがワイワイ向かったのでやめました。
山では静かな時間を過ごしたい。
遠くから手を合わせます。

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前に鳥居があるんですよ。
小屋で買った手ぬぐいもその柄です。

朝食は6:00からですが、ご来光を見に行く場合は後ろにずらしてくれます。
6:40にしてもらいました。
瑞牆山に登るとなると、7:00過ぎには出発したいからギリギリ。

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干しエビ入りのお粥が出てきました!
ご飯のお供がなくてもいいくらいのおいしさ!
お粥だけでまず1杯、おかわり!
うまい〜、しみる〜。

冷え切っていた体が暖まりました。
出発です。

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続きます。

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