予定していた三本槍岳はあっちだ。
ありゃー、三本槍岳方面だけ雲の中。
行っても何も見えないよなぁ。
那須岳は、トイレがロープウェイの駅にしかありません。
三斗小屋温泉を出てから北温泉に着くまで、三本槍岳にも登るとコースタイムは6時間以上。
ぐるり歩くと、けっこうな距離とタイムなんですよね。
夏なら汗で出る。
しかし今、ここは冬。
三本槍岳が雲の中だったため、私の中でトイレが優先されました。
北温泉までここから5km、タイムは2時間。
そうと決めたらお腹が空いた。
おにぎりを食べます。
…冷えてない!
手ぬぐいでくるんでから、ザックの中の方に入れたから。
おいしーい!
でも、ちっちゃい…2セットにして良かった。
具は梅干。
アルミホイルに野沢菜や昆布が包んでありました。
何かあったときのために1つだけ残しておこう。
今回はピークを踏まず、温泉と温泉をつなぐ山旅になりました。
ひとりだからこその自由かもしれません。
自分で全部決められる。
おにぎりを歩きながらほおばっているうちに、どんどん視界が開けてきました。
今振り返ったら三本槍岳も、雲がとれているかもしれません。
でももう、先に進むことにします。
トイレに行かねばならないから!
これから歩く道の先に関東平野が180°広がり(うしろの180°は山!)、筑波山も見えます。
双耳峰(山頂がふたつある)という特徴があり、私でも見分けがつく数少ない山です。
「あれ、なんていう山?」
この質問がいちばん困ります。
分かんないのよね、ほとんど。
しずくが宝石のよう。
瞬間の美しさ。
北温泉までの道は、いい道でした~。
明るい斜面につけられた歩きやすい道。
つい15分前の雪はなんだったのだろう、という感じです。
ほとんど雪はありません。
鹿の湯で会ったおじちゃん、北温泉を教えてくれてありがとう。
そうじゃなければこの道を歩けませんでした。
土曜日でしたが登ってくる人も少なく、穴場かもしれません。
これから歩く道がずっと見える。
ほんとにいい道~、気持ちがいい!
太陽でぽっかぽかで無風だから、半袖になりました。
ついさっきまで冬だったのに。
そして油断していると顔に当たるエビのしっぽ。
当たって砕けない、落ちて砕けないのだから…
10:20
赤面山(あかづらやま)への分岐
北温泉まで5kmって書いてある…不思議ですね。
三本槍岳に雲がかかっているのを見た「北温泉分岐」でも5kmって書いてありました。
滑り止め(と思われる)の針金が菱形に張り巡らされています。
これがけっこう歩きづらいのです。
何度か滑りました。
そのあとは落ち葉でふかふかの道。
聞こえはいいけれどそこに足を置いたとき、どこまで沈むかが分からなくて怖い。
標高1500mを切ると、雪が幻だったかのように穏やかな秋の山になりました。
エビのしっぽに興奮してから1時間しかたっていないのに。
すっかり晴れました。
でも三本槍岳をおしい、とは思いません。
景色がいいことは以前登って分かっていたので、また見たかったけれど。
今はトイレに行きたくて切羽詰まっています。
これに、三本槍岳への往復1時間を足したら大変なことになっていました。
この周辺はハイキングコースのようで、年配の軽装の方がのんびり歩いていました。
ちょうど紅葉でいいですね。
昨日、姥ヶ平から茶臼岳を見ました。
その裏側をずっと右に眺めながら歩きます。
こちらから噴気孔は見えません。
歩くにつれて、茶臼岳はどんどん遠ざかっていきます。
熊をからかわないように…そんな余裕のある人、います?
12:10
北温泉に到着~。
券売機で700円の入浴券を買って受付へ。
温泉プール(水着着用)や露天風呂、いくつもお風呂があるようです。
北温泉は、いかにも湯治宿といった感じでした。
隙間からのぞけた部屋は、昨日泊まった三斗小屋温泉のような小さな和室でした。
どこのお風呂にしようかな。
うろうろしていたら「芽の湯(目の湯)」というところに着きました。
脱衣所は狭い。
3人でいっぱいです。
どんなお風呂なんだろう。
中は誰もいない。
向かって右の細い浴槽は何?
脱衣所に戻り、常連さんらしき方に聞きます。
「かけ湯よ~」
足湯かと。
それにしては座れないし、なんだろうと思っていました。
向かって左の浴槽からも、かけ湯の浴槽からも「もったいない」という概念が吹っ飛ぶくらいのかけ流しです。
鉄の匂いの薄い茶色い湯がダッバダッバとあふれて足元にどんどん流れます。
洗い場はないので、かけ湯をしてとぷんと湯につかります。
…あちぃ。
どっかぬるいところはないか?
奥よりは手前が若干温度が低いような…
でも熱くて痛いのにクセになりそう。
体を拭いたタオルも薄く茶色になりました。
ほかのお風呂も入ってみたかったけれど、汗がとまらない。
ここからバス停まで1時間歩かないといけないし。
このお風呂だけでいいや~。
サッパリした!
13:05
登山靴からサンダルに履き替えて、バス停へ向かいます。
北温泉を出て、1つだけ残しておいたおにぎりを食べながら駐車場への坂道を上っていると、4歳くらいでしょうか。
お母さんと手をつないだ男の子が
「何食べてるの?」
おにぎりだよ。山登ったらすごーくお腹がすいちゃって。
「かわいそう、お腹すいちゃったの?」
かわいくて笑っちゃいました。
温泉プールに入りに来たのかな。
13:20
駐車場から「駒止の滝」が見えます。
午後になったせいでしょう、陰になってしまいましたが黄色い山肌に一筋の滝。
きれいでした。
バス停に向かって舗装路をとぼとぼ歩きます。
車が多く、横を飛ばしていくのでヒヤリとします。
県道に出てバス停の時刻表を見ると、40分くらい待つ。
待っているのもつまらないので、行けるところまで行こう。
14:15
八幡崎、ここまでで北温泉から3km。
ここから那須湯本温泉まで3km。
なら歩いちゃおうっと。
14:35
つつじ吊橋からの眺め
15:00
殺生石まで戻ってきました。
その上には茶臼岳が見えます。
16:00の高速バスまで1時間ある。
お腹すいたなぁ…
この空腹をどうすればいいの?
バス停前の観光案内所で聞いてみよう。
聞いてみるもんですね!
一昨日泊まった清水屋さんのそば、お土産屋さんだと思っていた「みちのく」さんが喫茶も営業していました。
観光所のお姉さん、ありがとう!
視界いっぱいに、こけしが…
デザートも、温泉卵とミルクアイスを混ぜるなんて斬新。
小豆をポップコーンのようにサクサクさせたものがのっています。
これがおいしかったです。
満たされた~。
高速バスで新宿まで。
あ~~、顔がヒリヒリする。
バスの暗い窓にうつった顔は赤い。
日焼け止め塗るの忘れたな、そういえば。
夏以外(夏は5分で落ちるので塗るだけムダだと思っています。こまめに塗り直すのなんてめんどくさい)は塗ろう、って決めたのにな〜。
つい4日前に。