登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

秋の稜線歩き

暑がりの私でも凍えることがある、秋、3000mの稜線歩き。

例えば、燕岳から大天井(おってんしょう)岳への天空の散歩道。

何度も歩きたくなる、大好きな道です。

風がなければルンルンと歩けるこの道も、ひとたび強風が吹けば…

 

今日はマイナス予報ですし。

槍ヶ岳穂高岳の稜線は、積雪もあるかもしれないとのことでした。

気温がマイナスに加えて、北西の風が20m/s以上。

ガスの予報も出ているので視界不良で道を見失ったり、暴風による低体温症やテントの倒壊も考えられます。

 

稜線の登山道は、常にいちばん高いところにつけられているわけではなく、右の斜面だったり、左の斜面だったり。

太陽が出ているか、風向きによっても体感温度が全く違います。

右の斜面のときは、ビォビォと強風に吹かれて凍えていたのに、左の斜面になった途端に、のどかなぽかぽか陽気で一気に汗が吹き出たり。

信じられなくて、右の斜面に戻ってみたら再び凍えました。

 

体を冷やさないためには、当たり前ですが「面倒がらずに、こまめに脱ぐ、着る」の繰り返しです。

どんなに汗をかいても汗冷えの心配がないのは、標高が低い真夏の山だけです。

 

若い頃はお金がなくて、防寒着というとフリースを重ね着していました。

ダウンとフリースだったら、フリースのほうが安かったからです。

かさばって重たいんですけどね~。

思い切ってダウンを買ったとき、嬉しかったなぁ。

ダウンも消耗品だと聞きました。

とても気に入っていたので、寒くないのに、遊びに行くときにも着てましたもん。

今は、なんでもかんでもというわけにはいきませんが、3週間くらい迷って、それでも欲しければ買っています。

オトナになりました。

 

今月、迷ってやっと買ったものです。

10年近く、秋や冬の山で泊まるときにずっと着ていた「ミズノのブレスサーモ」がさすがにくたびれてきたので、メリノウール(ウールの最上級)のベースレイヤー(いちばん下に着るもの)を。

もっちりとした手触りに、やられました~。

フードがついたものや、バラクラバ(銀行強盗みたいな)、タイツもあります。

私は首周りにまとわりつくのがイヤなのでクルータイプにしましたが、フードがあれば稜線で寒さを感じたときにピッタリとかぶれていいかもしれません。

 

もうひとつ。

化繊のインシュレーションです。

写真では明るめのピンクですが、現物はもう少し紫がかった落ち着いた色です。

色の名前が「MYOGA」となっていました。

MILLETはフランスのブランドなので、たまに聞いたことのない色があるんです。

ハミルトンとか。

これもそのパターンと思ったら…

ミョウガでした!

確かに、ミョウガの外の濃い色と似ています。

ミョウガ、好き。

他の色もありましたが、これにする!

夏に持つ、薄手ダウンの代わりにもなるし。

フリースやダウンでは熱がこもる、でも脱ぐと寒い。

登山口付近では暑すぎて着ませんが、アルプスはすでに秋に突入しています。

 

これは、標高の高い稜線、風がある日に着たい。

保温と通気性が両立するのって、すごいと思います。

必要な保温はしてくれて、でも暑すぎない。

汗で濡れても保温力はそのまま、しかも着たまま乾くんです。

なんですか、それ!

中につかわれているのは、POLARTEC ALPHA。

これが買う決め手でした。

POLARTEC(ポーラテック)のALPHA(アルファ)は、米軍の要望により作られた中綿とのこと。

軍での使用なら、汗どころではない濡れも想定されますもんね。

いちいち脱いで乾かすこともできないでしょうし。

 

撥水性がある表地もいいなぁ。

私のはアウターとしても着られるものですが、この裏地部分だけも売っているんです。

上着は自分のがいい、軽く保温だけしたいという方はそれもいいかも。

 

ポーラテックアルファを使用した『ミレー ALPHA LIGHT SWEAT』-登山の行動着に最適|山旅旅

今年販売されたものは、POLARTECではなく、違う素材でした。

アウトレットなので、POLARTECを使ったものが残っていたのです。

今月、小屋で過ごすときの保温着としても活躍しそうです。

 

素材は、どんどん進化しますね。

軽く、着心地よく。