登って潜って、月をみて。

生きていれば、こんな景色に出会うことができる。こんなに幸せな気持ちにさせてくれる。

再び北アルプス 燕岳〜大天井岳へ その3

10:00 燕山荘に到着。

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ザックを玄関脇の棚に置かせてもらい、財布とカメラだけの身軽な格好になって、燕岳を往復。
往復1時間弱です。
コマクサ、ずいぶん少なくなっちゃったなぁ。
ひと株も小さめ。

イルカ岩と、バックに槍ヶ岳

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もうひとつの名物、メガネ岩。
私には、ムンクの叫びに見えるんですけど。

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山頂は三角点があるだけで狭いですが、少し離れるとお昼寝にいい岩がたくさんあるんですよ。
昼寝したいなぁ…誘惑に負けそう…ダメダメ。
まだ先が長いんだから。

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燕山荘に戻り、背中の荷を軽くするために塩むすびを食べる。
11:15 燕山荘を出発

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こんなすてきな道を、あと3時間も歩けるんだ〜!
歩いていて、ニヤニヤがとまりません!
でも、最後の登りがガレ場(石がゴロゴロ)で意外と長いんだよな。

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風が心地いい。
振り返れば、歩いてきた道が見える。

12:00 大下りスタート!
下って、また登ります。

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稜線歩きといっても、常にいちばん高いところに道がつけられているわけではありません。
右を歩いたり、左を歩いたりなのです。
燕山荘からみて右側、槍ヶ岳が見える道は風が気持ちいいのですが、左に踏み込んだ途端、無風。
そして登りなので、大量に汗が吹き出ます。
早くあっちの道に出たい!
でも、無風の道に助けられたこともあります。
何年か前、秋に上高地から登って、この道を逆に歩いていたときのこと。
雨は降らなかったものの、たまに四つん這いになってやり過ごすほどの強風で、体がヒエヒエ。
無風の道で一息ついて、太陽を浴びて体も気持ちも暖めて、意を決して反対の道に出る! を繰り返していました。
最後は結局、吹かれっぱなしなんですけどね。

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あー、ほんっといい道!
日焼けで顔が突っ張ってるのがわかる。
いいのいいの、天気が良くてこんなにうれしい!

合戦尾根を登っていたときはビショビショだった手ぬぐいもカラッカラに乾きました。
いかに陽射しが強いか。

途中、風が気持ちいい岩で少しお昼寝。

13:25 ハシゴを下ると喜作さんのレリーフがあります。
喜作さんは、この道を開拓してくれた人です。
ありがとう。

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最後の登りです。
疲れたら振り返る。
歩いてきた道が励ましてくれる。
雲にのまれそうになってます~。
気温が高いからもっと早いかと思っていました。

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大天井岳には、もうひとつの山小屋「大天井ヒュッテ」があります。
槍ヶ岳への近道ですが、2020年は休業です。
トイレも使用できません。

13:50 大天荘に到着。
受付を済ませ、ライチョウ柄の手ぬぐいと、お楽しみのCCレモンを購入。
うまぁーい!

普段なら定員6人のところ、2人しかいれられない。
私たちは快適だけれど、山小屋を維持できるのか心配になってしまう。
でも、山小屋に慣れていない方は、このスペースに3人寝ることが信じられないと思います。

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さて、カメラとCCレモンだけ持って山頂へ。
10分かかりませんが、石がゴロゴロしています。

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山頂は、360°大パノラマです。
今日歩いてきた道も、明日歩く道も、槍ヶ岳へ続く道も全部見えます。
富士山も見えたー。
ジリジリ暑いけれど、お昼寝タイム。

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明日、荷揚げのヘリが来るんだな、きっと。
下ろす荷を作っていました。
大変なんですよね、あれ…。

夕食前に、顔をクレンジングして化粧水をつけたら、しみるー。
突っ張ってピリピリするとこみると、化粧水や日焼け止め成分は全部汗で落ちていたと思われます。
顔は真っ赤。
頭皮も痛いけれど、平気だろうか。
蜂の巣のようにポロポロむけ、職場の人たちに取り除いてもらった経験アリなんです。
耳の後ろは、すでにやばい感じがする。
熱くてかゆい、痛い。
ま、いいや。
帰ってワセリン塗れば済むこと。

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山では水を得るのも大変なことです。
おかげで冷たくておいしい水を補給して、また目的地まで元気に歩けるのです。

夕食は17:00から。
肉か魚を選べるんですよ。
もちろん肉!
ご飯と味噌汁は、おかわり自由。
魚はサバの味噌煮だったようです。

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食事のとき、知らない人からの「どちらから?」から始まる会話が苦手だった私は、間引きされた席が居心地いい。

明日も明後日も晴れですって。
いいなぁ〜、私は明日下山しなきゃいけない。
休みと晴れがドンピシャ、って最高です。
10日前を思えば、贅沢は言っちゃダメ。
2日間の晴れに感謝しなきゃ。

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夕陽を待つ幸せな時間。
日没の1時間前からスタンバイ。
みなさんも、思い思いの場所で、そのときを待ちます。

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快く送り出してくれて、晴れていることを喜んでくれて、無事に帰ることを祈ってくれる人がいて。
そして、今、私はこの景色の中にいます。
幸せで幸せで、胸がいっぱいになってしまいました。

雲海が染まってゆく。
沈み始めると、あっという間。
急に寒くなりダウンを着ます。
姿を消したあともなお、空を、雲を、染め続ける太陽。
がんばって歩いてきてよかった。
へばったけど、あきらめなくてよかった。
山の神様、空の神様、ありがとうございました。

振り向けば、街の灯りがきらめいていました。
暗くなったし、私も寝床に帰ろう。
ちゃんと寝て、明日も元気に歩くぞ!

今夜は月明かりがないから、星もよく見えそう。
夜中に目が覚めたら楽しみだなぁ。

山小屋に戻ったらポカポカ。
ストーブがついていました。

そして…夕食をいただいた食堂はなんと、とてもおしゃれな、ランプの灯るカフェへと変貌をとげていました。
すてき〜。

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あお向けに寝転がったら、枕元の窓枠から満天の星が見えました。
天の川〜。
夜中、ずっと見上げていました。

山の景色に見とれて、ツレの誕生日を祝うのを忘れていました。

続きます。